月刊バスケットボール6月号

【好評連載中!】にぎりこぶしに明日をかけ・・・ 阿部成章(日本鉱業)『今週の1枚』 ~月刊バスケットボール編集部が過去に掲載してきた写真の中から1枚を厳選。当時の出来事や選手たちの活躍ぶりを振り返る(45)~

 このコーナーでは、今まで月バスが掲載してきた写真の中から、編集部が独自の感覚で1枚をピックアップ。その当時の記事をもとに、選手たちの活躍ぶりを振り返ります。 

 今週はこの1枚を紹介!

 

にぎりこぶしに明日をかけ・・・

阿部成章(日本鉱業)

(1977年5月号)

 

 

 ひたむきさ、誠実さ

 

 阿部に会うために虎ノ門にある日鉱本社まで乗ったタクシーの運転手さんが、思いがけずバスケットファンだった。これから阿部に会いにいくのだというと「へえ、そりゃすごいな」と、うれしそうな声をあげる。

 

「私はね、バスケット選手の中でだれが一番ってったって、あの阿部さんが一番好きだね。試合だってたくさん見たけど、なんていうのかあの人には、いつだって変わらないひたむきさがあるんだよね。それにまじめっていうのか、どことなく誠実そうでさ、人間がいいっていう感じがするんだよ。だからさ、たまにテレビでバスケットやってると、必ず阿部さんを応援しちゃうね」

 

『ひたむきさ誠実さ』ファンがコート上の阿部を見てそう感じる印象は、コートを離れた阿部の姿にもそのまま通じる。バスケットマン阿部からファンが勝手に作り出す、"阿部成章像”を、素顔の阿部は少しも裏切ることはない。

 

 山形県の鶴岡市に5人兄妹(下の4人はすべて妹)の長男に生まれた阿部は、小さいころから運動神経が抜群の少年だった。野球が好きで、小学校のころはもっぱら野球ばかりしていたが、従兄がたまたまバスケットをしていたことがきっかけで、大山中学に進学すると、バスケット部に入部した。

「自分でいうのもおかしいんですけど、僕は小さいころから結構脚力があったんです。だから、走ることが大好きで、どんなに走ってもあんまりくたびれなかったなぁ。そういう点ではバスケットに向いていたんじゃないかな」

 そのバスケットのおもしろさに気付き始めたのは中学3年生のとき。試合で、打つシュート打つシュートが、おもしろいように決まる。

 

「シュートが決まったときの気持ちってなんともいえないでしょ? とにかくそのころの僕は、シュートを打つことと走ることが何よりも大好きでした」

 

 来週もお楽しみに!

 

(月刊バスケットボール)



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