月刊バスケットボール5月号

【男子日本代表インタビュー3】辻直人(川崎)

 上位12チームに与えられるアジアカップ出場を懸けて、アジア&オセアニア地域の全24か国で争われる「FIBAアジアカップ2021予選(以下アジアカップ予選)」。日本は中国、チャイニーズ・タイペイ、マレーシアと同グループになり、3つのWindowにおいてホーム&アウェイ方式で全6試合を戦うことになった。

 

 2月21日に千葉ポートアリーナで開催予定だったWindow1の中国戦は、新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染拡大防止のため開催が延期。Window1のもう一つの試合、2月24日のチャイニーズ・タイペイ戦は無観客試合による開催となり、日本は96 – 57で快勝した。

 

https://www.basketball-zine.com/jm_asia0224

 

 ここでは2月19日の公開練習で聞いた男子日本代表のインタビューをお届けする。第3弾は、Window1のチャイニーズ・タイペイ戦のロスターには選ばれなかったものの、ケガや手術を乗り越えて代表候補に久しぶりに復帰した辻選手だ。

 

 

 

「昔から代表で一緒に戦ってきた仲間の存在は大きい」

 

◆辻 直人

(川崎/185cm/30歳)

 

――久しぶりの代表招集となりましたが。

「シーズン中ですし練習はきついですが、こういう環境でバスケットができることに、いい刺激をもらっています。みんな実力も備わっていて意識も高いメンバーですし、高いレベルでやるバスケットはすごく楽しいなと率直に思いました」

 

――昨年5月に左肩の手術をして、ワールドカップには出場できませんでした。予選を一緒に戦ってきた仲間たちの戦いぶりはどのように見ていましたか?

「今までやってきたことをやろう、という姿勢はすごく見えました。その中で決定力などの差から崩れる部分があって、ああいう点差につながったのかなと思いますが、でも大きな差は昔ほど感じなかったと思います。ただ、ちょっとした差が致命的になるというか、世界に出るってそういうことなのかなと感じました」

 

――大きな差は昔ほど感じない、ということですが、辻選手は2016年のOQT(FIBA男子オリンピック世界最終予選)でもチェコと対戦しましたね。その経験から?

「そうですね。僕がOQTでチェコと戦ったときよりも、今回のワールドカップの方がチームで戦えていたと思います。あのときは世界が初めてだったし、失うものは何もない、という感じでそれが僕個人の結果にはつながりましたが(3Pシュート5本を含む18得点)、チームとして戦えたかと言えば、ワールドカップほどではないかなと。そういう意味で、日本として力がついていると思います」

 

――ワールドカップを経て、代表チームに何か変化は感じますか?

「練習中の“激しさ”はさらに増していると思います。それはワールドカップを経験しているメンバーが、ミーティングで新しいメンバーを含めみんなに伝えてくれている部分です。出場していない僕から客観的に見ても、ワールドカップのメンバーは、そういう自覚がすごく強くなっていて、それがチームのいい雰囲気につながっていると思います」

 

――かなり熱いミーティングだったそうですね。

「選手同士でいい意見交換ができて、チームとして方向性が本当に一つになってきていると思いますし、それぞれ競争意識が強くなったなと。それが、より激しさを増すことにつながっています。あとはミーティングでも課題に挙がったのがコミュニケーションの部分で、お互いに一歩踏み込んで言うべきことを言うことが必要かなと。そこは国外組が帰ってきたときにも徹底できたら、日本としてももう1ステップ進めるのかなと思います」

 

――辻選手自身、ケガで一度は引退も考えたということですが、代表入りへの思いは強まっているのでしょうか。

「正直、手術をして、そういう意識が薄れてきていた部分があったんですけど、こういう合宿に呼んでいただいてプレーして、そういう意識が蘇ってきたというか…。何としても代表になりたい、という気持ちは強くなっています」

 

――なぜそうして再びモチベーションを燃やすことができたのですか?

「やっぱり比江島だったり田中大貴だったり竹内さんだったり、昔から代表で一緒に戦ってきた仲間の存在は大きかったです。当たり前ですけど、みんなまだまだモチベーションを高く持ってやっている。そういう姿を間近で見て、もう一回、『僕も負けていられない』という前向きな気持ちをすごく与えてもらいました」

 

――今後に向けて抱負をお願いします。

「コートに立つチャンスがあれば、全力で自分の持ち味を表現して、勝ちをもぎ取りたいと思います。それにアジアカップ予選もそうですし、その先にオリンピックがあります。オリンピックには国外組も帰ってきて、より激しい競争になると思うので。今、国内組で切磋琢磨して、国外組のメンバーが帰ってきても『去年とはレベルが上がった』と感じ取ってもらえるように、国内組がもっともっと頑張っていきたいと思います」

 

 

 

(月刊バスケットボール)



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