月刊バスケットボール6月号

【好評連載中!】『第9回 アジア大会』1点を争う互角の戦い。韓国対日本 『今週の1枚』 ~月刊バスケットボール編集部が過去に掲載してきた写真の中から1枚を厳選。当時の出来事や選手たちの活躍ぶりを振り返る(22)~

 このコーナーでは、今まで月バスが掲載してきた写真の中から、編集部が独自の感覚で1枚をピックアップ。その当時の記事をもとに、選手たちの活躍ぶりを振り返ります。 

 今週はこの1枚を紹介!

 

『第9回 アジア大会』 1点を争う互角の戦い。韓国対日本

(1983年2月号より)

 

 

④北原憲彦

 

 11月27日、中国に1敗している日本は、この1勝を勝たねば銅しか取れない。しかも、韓国は81年のカルカッタABCで日本を破ったとき、うなだれる全日本の眼前で胴上げをしてよろこんだ。その悔しさは全員の胸の内にあった。「今度は勝つ。勝って胴上げするんだ!」 全員が一丸となって燃えていた。

 

 前半、日本はリードされながらも、じわじわとペースをつかんでいった。スコアは43-48。ファウルをおさえ、リバウンドに重点をおいた戦法どおりだった。「決して悪くはない。いけるぞ」 そんな感じだった。一番恐れていた、韓国の天才シューター⑧李忠煕も、今回はそう当たっていない。

 81年のカルカッタABCでは、彼のシュート力(39得点、野投成功率85%)の前に屈した日本だけに、そう思っても不思議ではなかった。李には日本⑮池内がつき、おさえていたのだ。李の前半の得点は13点。後半に入ってから、日本はぐんぐんとばし、10分ごろには、逆転に成功し、9点の差をつけた。「やった! このままいける!」と皆がそう思った。

 

 しかし、ここでまたもや李の必殺ミドル・シュートが爆発した。右のコーナーの、エンドラインとサイドラインの交わる際のあたりから、1本、2本と正確に射ち込んでくる。アッという間に追い上げ、同点だ。

 ここで、日本はさらに手痛い打撃をうけた。⑤岡山恭崇が、80-80の同点時に5反退場となったのだ(残り4分45秒)。岡山がいればこそ、北原が活躍できる日本。岡山の退場によって、3人のマークマンが、今度は北原をマークする。さすがの北原も苦しくなった。そのまま双方波に乗り切れないまま、1点を争うシーソーゲームとなった。

 

 それにしても、希代の天才シューター李は冷静につぎつぎとロング・シュートを沈めていく。最後、残り3秒で日本ボールとなったが、池内の射ったハーフライン後方からの超ロングシュートは、試合終了のピストル音とともに、バックボードの上を空しく飛びこしていった。それにしても韓国は特異なチームである。ロング・シュートを射ったとき、リバウンドに入ろうとしないのだ。それほどシュートに自信を持っている。

 

 うなだれる日本と、跳びはねる韓国。1点の重みがひしひしと伝わってくるゲームだった。

 

 来週もお楽しみに!

 

(月刊バスケットボール)

 

 



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