月刊バスケットボール5月号

【日本郵政 PRESENTS】Go to Tokyo 2020/東京五輪の出場権獲得を目指す3x3女子日本代表

 

 東京オリンピックで初めて採用種目となった3x3。男子は開催国枠での出場権を持っているが、女子は3月18日~22日までインドで開催される『2020年FIBAオリンピック選考会(以下OQT)』で出場権獲得を目指す。

 

 現在、Wリーグ中ということもあり、前回の合宿から約2か月のブランクがあった今回の第6次強化合宿だが、候補選手たちは代表入りを目標にしのぎを削っていた。そこで、1月15日~17日まで味の素ナショナルトレーニングセンター(東京・北区)で行われた強化合宿に参加した代表候補に熱い思いを語ってもらった。

 

 

★2020年FIBAオリンピック予選会(OQT)

2020.3.18~22@インド/参加20チーム

【試合方式】各5チームずつの4つのプールに分かれて予選ラウンドを行い、各プールの上位2チームが決勝トーナメントに進出、さらにその上位3チームが東京オリンピックの出場権獲得となる。なお、日本は、イラン、ウクライナ、オーストラリア、トルクメニスタンと同じプールB。

 

 

西岡 里紗

(三菱電機 コアラーズ)

 

命をかけてでも東京オリンピックに出たい!

 

――合宿に参加しての感想からお話ください。

西岡 11月の合宿から時間が空いてしまったので、その穴をみんなよりも早く埋めることを第一に考えていました。今はまだオリンピックというよりは、予選をどう突破するかです。そこで勝ち上がらなければその先も見えてきません。まずはメンバーに選ばれるように、自分の強みである高さとパワーを出していきたいと思います。

 

――西岡選手は昨年行われた3x3の試合には数多く出場し、経験をたくさん積んできましたね。

西岡 アジアカップやU23ワールドカップなど、一年を通していろいろな大会に出場しました。ここにいるメンバーの誰よりも多く経験させてもらったので、その経験が無駄にならないように頑張りたいです。そして、世界で戦った経験を自信にするだけでなく、自分がインプットした分を、他のメンバーにアウトプットできてこそ自分の力になったと言えると思うので、メンバーとコミュニケーションを取りながら伝えていきたいと思います。

 

――いろいろな大会に出場して感じたことはありますか?

西岡 日本は機動力のあるチームです。外国の中には身長の高さだけでやってくるチームもありますし、しんどくなってくると1対1に頼りがちになって、チームがバラバラになることがあります。しかし、そういうしんどい時こそ笑顔でバスケットボールを楽しみながら全員で一致団結して戦うのが日本の強み。チーム力が日本の強みだと感じました。

 

 

――東京オリンピックへの思い入れはありますか?

西岡 とても強いです! 年が明けた時に、今までにない燃えるようなものを感じ、命をかけてでも絶対に出たいと思いました。もちろん私が選ばれなかったとしても応援はしますが、地元開催の東京オリンピックは人生の中で最後だと思うので、そこで他の人が私の目の前で輝いている姿を見るのは悔しいです。だから、今は仲間だけどライバルとしてやっていきたいと思います。

 

――3x3の魅力は?

西岡 新しいスポーツということだけでなく、メダル獲得に近いスポーツだと感じています。また、5人制のバスケットボールは体の大きさも一つの鍵になりますが、3x3は5人制ほど強みにはなりません。崩そうと思ったら崩せるし、日本はそこがすごく強いと思います。それに、5人制は1試合40分ですから、一回波を崩されてもどこかで立ち直ることができます。でも、3x3は10分。その10分に何十時間も練習してきたことをぶつけないといけないし、試合の内容も濃い。だから、負ければすごく悔しい反面、逆に一つの成功で一気にいけます。そういうところが面白いと思いますし、魅力ですね。

 

――日本代表となった時、5人制も考えたと思いますが、いつ頃から3人制でやっていこうと思いましたか?

西岡 去年、5人制に呼ばれなかった時点でもう5人制はちょっと難しいのかなぁと思っていました。その一方で、3x3は新しい種目ですから、5人制と一緒にメダルを取りたい、3x3でも日本を引っ張っていく存在になりたいと思いました。あとは一昨年、予想外の時に5人制から落ちてけっこうメンタルにきていたんです。その時にそこ(体育館の入口付近)で、それまで面識のなかった長谷川さん(誠/3x3女子日本代表アソシエイトコーチ)から、『3x3の道で(オリンピックを)目指すという選択肢もあるんだぞ』と言ってもらって、その時はあまり分からなかったのですが、その後、呼ばれた時に『ああこれか』と思いました。長谷川さんは私のことをずっと見てくれていて、恩返しというか、一緒に頑張っていきたいと今は強く思っています。

 

 

馬瓜 ステファニー

(トヨタ自動車 アンテロープス)

 

レベルを上げて最高のパフォーマンスを!

 

――2020年を迎えて改めてオリンピックの年をどう感じますか?

馬瓜 オリンピック前にどういう気持ちでいていいのか分からなくて、『出たい、出たい』とは言っていますし、もちろん出たいです。でも、姉のように前回のオリンピックぎりぎりに落ちたとかそういう経験もしたことがないので、今は自分の思っていることをやるしかないと思います。考え過ぎて空回るのが一番よくないので、その点に関してはオリンピックというよりは、今の自分のレベルをしっかり上げて一番いいパフォーマンスをそこに持っていけるようにと思っています。

 

――3x3のチームの中では競技経験が長いと思いますが、周りをリードするような意識はありますか?

馬瓜 もともと試合中はしゃべらなければいけない競技ではあるので、自分としてはコミュニケーションを大事にしています。たとえ相手が先輩であっても『ここはこうした方がいいんじゃないですか』というのは言うようにはしていますし、『引っ張っていけよ』というのも言われているので、意識はしています。

 

――OQTに出場するオーストラリアなどの印象は?

馬瓜 オーストラリアは勝ち方を知っているベテランが多く、手強い相手だとは思います。しかし、自分たちも勝てない相手ではないし、そこを突破しなければオリンピック出場も見えてきません。まずはそこをしっかり撃破することですが、あまりそこにフォーカスし過ぎないように、他のチームにも一つ一つ勝っていきたいと思います。

 

――1日に何試合もある大会を乗り切るコツはつかみましたか?

馬瓜 そうですね。常に全力でやらないといけないから、リカバリーというところにしっかりフォーカスしてやっています。

 

 

――ワールドカップやU23などの経験を経てつかめたものは何ですか?

馬瓜 私が3x3を始めた時は自分には2ポイント(5人制の3P)がなくて、たとえ打っても入らなかったんです。でも、今は何本も打つようになって入らない時でも打ち続けようという気持ちができましたし、2ポイントに対しての自信がけっこう出てきました。それは世界での経験が生きていると思いますし、5人制にも生かされるものです。

 

――3x3はスペースが広いですよね。

馬瓜 そうなんです。自分は腕が長いのでその幅を使ってやるのが一番相手にとって効くので、使えるスペースが広いとやりやすいですね。

 

――馬瓜選手の魅力は?

馬瓜 チームの中で自分が求められているのは、リバウンド、ディフェンス、そして、ドライブで相手からファウルをもらうプレイですね。そういうところは自覚してやっているので負けないように頑張っています。

 

――ちなみに腕の長さはどれくらいですか?

馬瓜 12月末頃にウィングスパンを測った時は197㎝(身長は181cm)で、身長より16cm長いです。それと、『猫背が直ったね』と言われることが多くなったから、そこは意識しています。猫背が直ると関節の可動域が広がるので、リバウンドの取れる範囲が広くなったり、パスの範囲などにも生かされてくるのでちゃんと直したいと思います。

 

――改めて日本代表についてどう捉えていますか?

馬瓜 小学生の時に日本国籍を取得しましたが、もともと自分をガーナ人だとか、日本人だとかあまり気にしたことはありませんでした。しかし、お母さんたちが私たちのために国籍を変えてくれました。日本国籍を私たちが取ってからいろいろな大会で活躍したり、メダルを取ったりすることで次の世代の子たちの希望になればと思いますし、どんな境遇の人でも自分自身の才能だったり、気持ちが強かったらオリンピックにも出られるんだというのを伝えられたらと思います。

 

 

【3x3女子日本代表チーム 第6次強化合宿参加メンバー】

伊集 南(G/168cm/デンソー)

篠崎 澪(G/167cm/富士通)

内野 智香英(G/177cm/富士通)

三好 南穂(G/167cm/トヨタ自動車)

田中 真美子(C/180cm/富士通)

西岡 里紗(C/186cm/三菱電機)

永田 萌絵(F/173cm/東京医療保健大4年)

馬瓜 ステファニー(F/181cm/トヨタ自動車)

山本 麻衣(G/165cm/トヨタ自動車)

※所属は1月24日現在

 

 

(月刊バスケットボール)



PICK UP