月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2020.01.24

初の“東京ダービー”を戦った津山尚大(A東京)「とにかく自分らしく」

 今シーズン4度目となったA東京とSR渋谷による“東京ダービー”。3戦目終了時点ではA東京が2勝1敗とリードしており、前回対決は大接戦の末の2勝目だった。そんなライバル対決は今回も終盤で怒涛の追い上げを見せたSR渋谷をA東京が何とかかわし、79-78で決着。A東京が通算3勝1敗とした。

 

 そこに登場した新戦力がA東京の#26津山尚大だ。海外挑戦を目指し、カナダのハリファックス・ハリケーンズと契約したものの、ロスターには残れず。その後、A東京入りを果たしていた津山にとってはもちろん初めての“東京ダービー”であり、今シーズン2試合目の出場だった。

 

 A東京の指揮を執るルカ・パヴィチェヴィッチHCは「(ケガをしている#1小島)元基とは違ったタイプのポイントガードで、比較することはできない。まだまだ準備段階ではあるけど、彼に求めるのは相手の激しいプレッシャーディフェンスの中でも、しっかりとボールを運んでチームをまとめること。また、彼の長所はアウトサイドのショットとピック&ロールからのプレー」とチャンピオンチームの司令塔としての津山の働きに期待を寄せている。

 

かつての仲間、SR渋谷#32山内とも東地区のライバルとして対戦した

 

 この試合では2038秒の出場時間の中で5得点、4アシスト。数字上は平凡なものかも知れないが、SR渋谷のプレッシャーディフェンスの前にターンオーバーをわずか1本にとどめたことは大きな収穫と言っていい。「あのプレッシャーは日本のチームでは感じたことがありませんでした。ただ、慌ててしまってはいたけど、ボールを取られることはなかったです。そこは継続していきたい」と津山も手応えを感じている。

 

 また、この試合は#32山内、伊佐勉HCという琉球時代に共に頂点を極めた仲間たちとの初めての"東京ダービー"となった。津山について山内は「東京のチーム同士で彼と対戦するのは不思議な感覚でした。津山は人見知りだから本当にアルバルクでやっていけるのか心配していたんですけど、大丈夫そうでした。相手チームではありますが、同じ沖縄出身として彼の相談には乗ってあげようかなって思っています(笑)」と同郷の弟分との一戦に思うものもあったようだ。

 

パヴィチェヴィッチHCとは試合中も頻繁にコンタクトを取っていた

 

 山内が「人見知り」と表現するように津山はそのパワフルな外見と違って繊細で謙虚な男だ。インタビューでもどんな質問にも丁寧な口調で答え、時に緊張しているそぶりを見せることもある。

 

 ただ、その謙虚さは、言い換えればパヴィチェヴィッチHCの指示をしっかりと吸収していることにもつながる。実際に試合中にも何度もパヴィチェヴィッチHCと会話する場面が見られ、こうした一つ一つがA東京での自身の地位を確立することにつながっていく。

 

「小島さんのようになろうとは思っていないし、小島さんの真似は僕にはできません。そこはとにかく自分らしく、でもガードとしてのボールのエントリーやハードなディフェンスはしっかりとやっていきたい」(津山)。目標は変わらず海外でのプレーと意気込む津山だが、まずはA東京で与えられた役割を全うし、3連覇を目指すチームの中で存在感を放ってほしい。

 

(月刊バスケットボール)



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