月刊バスケットボール5月号

Bリーグ

2019.12.12

踏ん張りどころの琉球を引っ張る田代直希「自分が行動で示せるかが重要」


(Photo by Shinichi Maruyama)

 

 昨シーズン、リーグトップクラスのディフェンス力を武器に西地区を制覇、チャンピオンシップでもセミファイナルでA東京と激闘を繰り広げた琉球が苦しんでいる。

 

 第11節の京都戦を終えた時点で11勝7敗で西地区2位。成績だけ見れば決して悪くはないものの、11勝のうちのほとんどが格下のクラブから挙げたものであり、上位クラブにはなかなか勝利を挙げられない状態が続いている。第10節の川崎との第2戦でも1Q終盤に14連続得点を許した。結果的には、その点差が響いた4Qに集中力が切れ、完敗(75-98)。

 

 今シーズンからキャプテンを任され、川崎戦でもスターターで出場した#24田代直希は「ディフェンスに対する意識の低さがすごくある」と、険しい表情で危機感を募らせる。

 

 自分がキャプテンとなって、メンバーも大きく様変わり。チームを勝利に導けないもどかしさは大きいようで「自分ができないことは人には言えないと思っているので。それに『ああしろ、こうしろ』と、僕はあまり言いたくない。自分が行動で示せるかが重要だと思います」と、まずは自らが手本となってチームの悪いムードを払拭するプレーを意識している。

 

(キャプテンとしての役割も大きい/Photo by Shinichi Maruyama)

 

 琉球はリーグ屈指の人気クラブであり、bjリーグ時代には地元出身の選手を集め、4度の優勝。日本の最南端で勝つ文化を築き上げてきた背景がある。アリーナの雰囲気も他のクラブとは全く別物で、根強いブースターで毎晩のように会場はぎゅうぎゅうになる。

 

 そんなブースターの期待を一身に背負うからこそ、そんなクラブのキャプテンを務めるからこそ、田代は厳しい言葉を発している。「昨シーズンはディフェンスの仕事を受け入れてやる選手が多かったし、橋本竜馬選手(北海道)なんかは前からバチバチ当たって、それを見ている僕らも必然的にやらなくちゃと思えました。今シーズンは昨シーズンと同じスタンスだと噛み合わないし、やられてはいけないようなプレーをやられることもあります。意識の問題です」と、その表情は晴れない。

 

 しかし、まだシーズンの3分の1を消化した段階であり、修正する時間は十分に残されている。それには田代本人も可能性を感じており、今シーズンのチームの強みにも自信を見せている。「今シーズンは僕たちの気迫が突き抜けたとき、チームとしてすごく爆発力がある。これは昨シーズンにはなかった大きな強み」と田代。実際に前日の川崎との第1戦では3Qの怒涛の追い上げを見せ、勝利とはならなかったものの、爆発力を垣間見せた。

 

 まだまだ完成形にはほど遠い琉球だが、11日の京都戦では相手を60点に抑えての勝利。一歩一歩前進していることは間違いない。琉球にやってきて4年目。いわゆる独特の雰囲気をもはや「日常」「ホーム」と表現する田代。背中で示すキャプテンは、琉球の勝つ文化を継承していくことができるか。これからも見守っていきたい。

 

(月刊バスケットボール)



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