Bリーグ

2019.11.27

ディフェンスの最前線で活躍する関野剛平(SR渋谷)「プレーコールをさせないくらいのプレッシャーをかけることが僕の役割」

「勝負事は何でも負けたくないので、どんなに小さいことでも。普段は何をやられてもいいんです、テキトーなんで(笑)」。こんな本音を口にしたのはSR渋谷の関野剛平だ。色黒でコート上ではワイルドは雰囲気を醸し出す関野だが、ひとたびコートを出ると物腰の柔らかな口調でメディア対応を行う好青年だ。その姿はコート上でのそれとは全く異なるもので、本人も「勝敗が懸かると本性が出てきます。まあ、今もある意味本性なんですけどね」と笑う。

 

 今シーズン、北海道からSR渋谷に加わった25歳は、脚力と粘り強さを生かしたプレッシャーディフェンスが売り。千葉との開幕戦後には伊佐勉HCが「そのために連れてきた」と言うほどで、同じく新潟から加わった渡辺竜之祐と共に、チームのペリメーターディフェンスの要として活躍中だ。

 

 京都との第9節を終えた時点で11勝3敗としていたSR渋谷は、11月24日と25日にかけて行われた第10節で同じ東京の本拠地を置くA東京と対戦。東地区の首位攻防戦は、ゲーム1をA東京が20点差の完勝。迎えたゲーム2では、前日の大敗からカムバックしたSR渋谷が勝利し、東京ダービーは1勝1敗の痛み分けとなった。

 

(試合開始から積極的なディフェンスを仕掛けた)

 

 勝利を飾ったゲーム2では、関野、渡辺、山内盛久らガード陣がA東京の安藤誓哉、田中大貴といったBリーグトップクラスのボールハンドラー相手に40分間、フルコートでプレッシャーをかけ続けた。その結果、1Qだけで6個、計17個のターンオーバーを誘発し、そこから23得点(A東京は同13得点)を積み上げた。最終的にこの差がそのまま得点差となったことを考えると、ディフェンスの勝利であったことは明らかだった。

 

 その最前線で、言わばディフェンスの切り込み隊長としてプレーする関野は「少しでも相手のガード陣に遅く運ばせて、ハーフコートでプレーを作る時間をなくすこと。相手がプレーコールをしているときに僕がプレシャーをかけることができれば、それができなくなる。コールをさせないくらいディフェンスでプレッシャーをかけることが僕の役割」と、自身の役割を全うする考えだ。

 

 ディフェンス重視のチームスタイルは、関野自身の持ち味を最大限に引き出している。「センターもフォワードも、全員が連係して動いてディフェンスができる。その中で僕のディフェンスも生きるし、それがチームの強みでもある。僕がディフェンスに専念することで、(ベンドラメ)礼生さんたちのようにオフェンス面で活躍する選手が、相手のメインガードにディフェンスをしなくてもよくなります」と、本人も手ごたえを感じているようで、それがチームにも好影響を与えている。

 

(全員がディフェンスに重点を置くSR渋谷に欠かせない戦力となった)

 

 とはいえ、常にフルコートで当たることは相当ハード。競技経験者であれば、それは容易に想像が付くだろう。それはプロとて同じ、いや、高いレベルだからこそ、よりハードなものとなる。関野も疲れたときに「このくらいの距離で良いかな、抜かれない距離を保とう」と考えることがあるそうで、「常に相手のボールを触れる距離というか、相手が嫌だなと思う距離で付くのが僕の仕事。それを徹底できるようにしていきたい」と、伸び代はまだ残されている。

 

 移籍を機に一気にブレイクし、リーグ屈指のディフェンダーへと進化した生粋の負けず嫌い、関野剛平。SR渋谷を支えるそのディフェンス力には一見の価値がある。そして、試合後には穏やかな方の“本性”を垣間見ることができるだろう。

 

 (月刊バスケットボール)



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