月刊バスケットボール6月号

【好評連載中!】一人一人の理解度の高いチーム『今週の1枚』 ~月刊バスケットボール編集部が過去に掲載してきた写真の中から1枚を厳選。当時の出来事や選手たちの活躍ぶりを振り返る(17)~

 このコーナーでは、今まで月バスが掲載してきた写真の中から、編集部が独自の感覚で1枚をピックアップ。その当時の記事をもとに、選手たちの活躍ぶりを振り返ります。

 

 今週はこの1枚を紹介!

 

 沼津市立沼津高校

(1982年8月号より)

 

 

 一人一人の理解度の高いチーム

 

 第12回全国高校選抜大会。前年度優勝の東京成徳短付は、今回も候補の一角に入っていた。しかし、2回戦(1回戦はシード)にして、まったく無名だった市沼津に、延長の末敗退してしまった。関係者も、勝った当の市沼津も驚いてしまった。

 

 全国大会初出場で、大金星を挙げた市沼津。どんなチームなのだろうか? 興味を覚えながら、私は校門を入っていった。体育館に入って、青木監督をたずねると、ステージの上にいる人がそうだという。あまりの若さに驚いてしまった。筑波大の1期生で、26歳。高校生にとっては兄貴くらいの存在だろう。しかし、練習に入ると、ニコニコした表情が一変し、厳しい表情になる。少しでも違ったプレーを行ったりすると、練習をストップし、指導を行う。練習内容については、大学ノートにびっしり書き込んであり、練習を見ながらチェックし、書き加えていく。一時流行した言葉に『管理野球』というのがあったが、青木監督のそれは『管理バスケット』といっても良いだろう。

 

 ノートの種類も多い。選手が管理しているのに『トレーニング・ノート』、『健康管理ノート』、『シューティング・ノート』(シュート率を記入し、グラフも作成)があり、さらに他チームに対するスカウティング用のスコアシートがあり、これにびっしり相手の特徴が書き込まれている。さらに、ビデオによるスカウティングも行っており、選手一人一人が相手チームのディフェンスなどを頭に入れている。ここらあたりにも、青木監督が目指す「選手一人一人が理解したバスケット』がうかがえる。選手たちも「ファイト!」とかいったものではなく。「今のシュート・タイミングはおかしいんじゃないの?」といった注意や、チェックといったものだ。ガッツが表面にでない「静かなチーム」(青木監督)だが、一人一人の理解度の高い好チームだ。

 

 来週もお楽しみに!

 

(月刊バスケットボール)



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