月刊バスケットボール5月号

【好評連載中!】Wリーグ元年はシャンソン化粧品が10連覇を達成! 今週の1枚 ~月刊バスケットボール編集部が過去に掲載してきた写真の中から1枚を厳選。当時の出来事や選手たちの活躍ぶりを振り返る(10)~

 このコーナーでは、今まで月バスが掲載してきた写真の中から、編集部が独自の感覚で1枚をピックアップ。その当時の出来事や、選手たちの活躍ぶりを振り返ります。

 

 今週はこの1枚を紹介!

 

 Wリーグ元年はシャンソン化粧品が10連覇を達成!

(2000年5月号より)

 

 

 

 10月4日から開催しているWリーグは、今年で21年目を迎えた。

 今回は、Wリーグが始まった2000年に10連覇を果たしたシャンソン化粧品と、当時のライバル・JX-ENEOSとのファイナルを月刊バスケットボール5月号から振り返ってみよう。

 

 絶対に負けたくない!

 この一念が互いをリングに向かわせた

 

 シャンソン化粧品、Jエナジー(現JX-ENEOS)によるファイナルは、今年も熱かった。

 今シーズンのキーワードのひとつに、“萩原の抜けた穴”があった。当初、この穴は思いのほか大きく、シャンソン有利の予想では誰もが口にしていた。しかし、それを埋めるべくJエナジーの若手が急成長を果たす。特に#10矢野(良)、#11川畑がスターターとして定着し、シーズン終盤には、札幌の試合でJエナジーがシャンソンをチーム一丸で倒すと、シャンソン有利の評価は一変してしまった。

 

 3月4日、冷たい雨が降る名古屋での第1戦、序盤、Jエナジーが3連続スティールでシャンソンを翻弄し、10点もの差を付けた。

「ミスをしても選手が取り返す信頼がある。“危ない”と思ったときはなかった」

 中川監督のコメントのとおり、女王は慌てなかった。#5加藤がこの日の初得点をあげると、#13三木が1対1を果敢に仕掛け、連続で得点を重ねる。これで本来のペースを取り戻すと、流れは徐々にシャンソンへ傾いていった。

 シャンソンの攻撃はさらに激しさを増し、終わってみれば#7岡里を除いてスタート4人が2ケタ得点。リバウンドでもJエナジーを14本も上回り、まさに完勝だった(81-65でシャンソン勝利)。

 

 シャンソンの地元、静岡で行われた第2戦、牙をむいたのがJエナジーの激しいディフェンスだった。それに呼応するように矢野(良)が大爆発。3P、速攻と積極的に攻撃にからむと、シャンソンのリズムを狂わせていった(82-75でJエナジー勝利)。

 3月7日、代々木第2体育館に戦いの場を移しての第3戦、これまでとは一変して、重い試合展開となる。体力戦に引き込もうとしたJエナジーの目論見を打ち砕いたのが#9永田(シャンソン)だった。6連続得点を含む得点でじりじりとリードを広げ、先手を打つ。ただし、Jエナジー、特に大山の執念が試合をわからなくした。残り6秒、大山が最後の1対1を仕掛ける。放たれる3P、ボールはリングへ向かったが、最後は失速しリングに弾かれた(63-60でシャンソンが勝利)。

 

 第4戦、マジック1となったシャンソンが怒涛の攻撃を見せた。前半の終盤こそもたついたものの、#5加藤が、永田が、三木がリングを目指す。Jエナジーで対抗できるのは大山しかいなかった。

 カウントダウンが始まる。

 永田がボールをキープしてタイムアップ。五色のテープがシャンソンの応援団から投げ込まれ。コート上には歓喜の輪ができた(84-65でシャンソンが勝利。

 

「優勝したいという欲が10連覇の秘密だと思う。内に秘めた思いはどのチームよりもシャンソンが強い」

 10連覇すべてを経験した加藤が、インタビューに胸を張って答えた。

 

 

 来週もお楽しみに!

 

(月刊バスケットボール)



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