月刊バスケットボール6月号

【記者の目】12/23ウインターカップ2015~因縁の対決~

 

  高校バスケの総決算となるウインターカップでは、様々な“因縁の対決”が実現する。両者の特別な思いが込められ、そうした試合がより一層の熱を帯びることも珍しくない。   12月23日の大会初日、同時進行で進む4面コートのうち最も試合が長引いたAコートの<広島皆実vs.明徳義塾>戦も、そんな因縁が込められた試合だった。奇しくも今からちょうど1年前の2014年12月23日、1回戦で両チームは対戦したのだ。   そのとき56-59と僅か3点差で敗れた広島皆実にとっては、1年越しのリベンジを懸けた試合。だが試合が始まると、明徳義塾が序盤から圧倒した。明徳義塾は202cmの#12ジャガニーに加えてインターハイはケガで出られなかった205cmの#14森下がゴール下で猛威をふるい、快調に得点を重ねていく。対する広島皆実は「立ち上がりは自分も含めて経験の無さが出て、硬くなってしまったと思います」(#8伊森)とリズムに乗れず、2Qには一時17-40と大きく水をあけられる形になった。   しかし、2Q終盤の連続得点で25-42となんとか差を縮めて前半を終えた広島皆実は、後半に入って怒濤の反撃を見せる。エース#8伊森の得点に加えて#14小川の速攻や#5江尻のアウトサイドシュートが効き、4Q残り3分73-75と2点差に迫ったのだ。   それでも、昨年同様に“あと1歩”が遠かった。試合終盤、フリースローで二度相手にオフェンスリバウンドを許す痛恨のミス。追い付くには至らず、79-85で試合終了を迎えた。   リベンジとはならなかった広島皆実。試合後、#8伊森は開口一番「負けたのは自分の責任です」と悔しさをにじませた。昨年U-18日本代表にも選ばれ、ずっとエースの看板を背負ってきたからこそ、チームを勝たせられなかった自分が許せなかったのだ。   ただ、「調子が上がらずイライラしてしまったけど、周りの人たちに支えられました」と伊森が言うように、江尻ら3年生がしっかりとチームを引っ張り、下級生も積極的にゴールに向うなど、夏とは一味違った戦いに成長の跡は確実に見えた。スタメンのうち#12倉富は2年生、#14小川と#16原は1年生。来年のチームに向けても貴重な経験を積んだ。   強い思いで戦い抜いた“因縁の対決”は、敗者にも大きな収穫をもたらした。次のステージで、この敗戦を糧にするはずだ。   (月刊バスケットボール編集部)    



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