【岩手全中記者の目】勝負の夏
8月22日、開会式の約3時間前、一関総合体育館の最寄駅となるJR一ノ関駅に、JAPANのウェアを身にまとった玉島北④土家大輝の姿があった。 本来、出場チームは前日入りし練習等をこなすが、土家は8月15日からU-16ドイツ遠征のためチームを離れ、帰国後はそのまま一関入り。 コンディションが不安視されたが「飛行機に乗ったときに日本時間に合わせてご飯や睡眠も取りました」という。 とは言うものの、疲れは当然ある。 時差を調整する間もなく翌日には予選リーグを戦い、それから2日間、決勝まで6試合をこなした。 しかし入学時に仲間たちと誓った日本一の夢をかなえるため、最後の全中をコンディションを理由に諦めるわけにはいかない。 厳しい中でも、体にムチを打ちコートを駆け抜けた。 だが決勝は、チームとしてシュートが決まらず、実践学園の高さに及ばなかった。 日本一を目標に玉島北に入学し、仲間とともに挑み続けた3年間。 今年はジュニアオールスターでMVPを受賞し、優勝候補のチームの司令塔に君臨。 追いかけられる立場になったプレッシャーとも戦い続けた。 試合後ベンチでは涙に暮れたが、「僕たちは小さかったですが、大きな実践学園相手に助け合いながらできました。小さくても戦えることは全国の皆さんに分かってもらえたと思います」と、悔しさをかみ締めながら冷静に今大会の戦いを振り返った。 そして全中終了と同時に、7月末の県大会から中国大会、ドイツ遠征、全中と休みなしに駆け抜けた夏休みが終わりを告げた。 「チームでも日本代表でも頑張らなければいけませんでした。そこはきつかったけど、自分が抜けたときにみんながカバーしれくれました。絶対に勝たなければいけない勝負の夏でした」。