月刊バスケットボール9月号

Bリーグ

2026.10.20

「地域密着の活動で、我々の“エクセレンス”を体現する」、横浜EX杉山裕介選手、クーリバリ セリンムルタラ選手が語るプロの存在意義

写真は「りそなグループB.LEAGUE 2025-26 SEASON」中のもの

触れ合いから生まれるエネルギーをコート上の力に


2021年の横浜移転以降、ホームタウンとの結びつきを力強く深めている横浜エクセレンス。選手たちはコート外での活動を通じて、子どもたちやファンから何を感じ、それをどう日常のプレーへと還元しているのでしょうか。今回は、今季から副キャプテンに就任しチームを牽引する杉山裕介選手、地元・横浜出身でプロ2年目を迎えるクーリバリ セリンムルタラ選手に話を聞きました。
※桜井直哉代表取締役社長と、西山達哉アシスタントゼネラルマネージャーの記事はこちら

――杉山選手は今季から副キャプテンに就任されました。オフコートでの地域活動やファンとの関わりにおいて、チームをどう引っ張っていきたいですか。

杉山)今シーズンから、僕やキャプテンの大橋(大空)選手が、チーム内でも在籍年数が長い立場になってきました。だからこそ、新しく入ってきた選手たちに「エクセレンスのイベントはこういうものだよ」「ファンの方々とはこう関わるんだよ」と伝えながら、まずは自分たちが率先して行動で示していきたいと思っています。若い選手も増えたので、彼らが意欲的に参加できるよう、しっかり声をかけていきたいですね。


オンラインでのインタビューに応じる杉山裕介選手(左)・クーリバリ セリンムルタラ選手

――クーリバリ選手にとって、杉山選手はどんな存在ですか?

クーリバリ)チームが悩んでいる時など、大事なタイミングで必要なことを言ってくれるので、本当にすごいなと思っています。みんなが頼れる「お兄さん」という感じですね(笑)。



――そんな頼もしい先輩がいることも、活動へのモチベーションに繋がっているんですね。実際に地域の活動に参加してみていかがでしょうか?

杉山)クラブ全体でイベントの種類も増えていて、参加していて純粋に面白いですね。今年は特に横浜出身の選手が増えたこともあって、みんな意欲的に取り組んでいると感じます。個人的に一番印象に残っているのは田植えです。実際に田んぼに入って田植えをしたのですが、普段はできない職業体験のようで、とても面白い取り組みでしたね。


横濱武道舞(米)の田植えの様子



クーリバリ)僕は関内駅でのチラシ配りなどにも参加していますが、自分たちのことを知らずに通り過ぎてしまう方も少なくありません。それでも、まずはチームを知っていただく大切なきっかけだと捉えています。クラブを代表して参加している自覚を持ち、どんな時でも笑顔でしっかり取り組むように意識しています。


関内駅でのチラシ配りの様子

――先日、杉山選手は泉区役所を、クーリバリ選手は南区役所をそれぞれ表敬訪問されました。行政の方々と直接言葉を交わしてみての感想を教えてください。

杉山)区民デーなどのイベントを通じて、実際に試合へ足を運んでくださる方が増えている実感はありました。それに加えて、先日区長と直接お話しさせていただいた際に「区民の皆さんがすごく喜んでいます」というお言葉をいただき、自分たちの活動がしっかりと地域に届いているのだなとうれしく思った体験でした。

クーリバリ)僕は元々横浜出身なのですが、高校入学時に大ケガをして思うようにプレーできない時期がありました。多くの方に支えられながらプレーを続け、こうして地元のクラブでプロとしてプレーできていること自体がとても感慨深いです。今回、行政のトップの方々にお会いできたのは子どものころからは想像もつかないような貴重な経験でした。直接「成長を期待しています」と応援の言葉をいただき、感謝の気持ちと共に「もっと頑張るぞ」という強いモチベーションになりました。



南区表敬訪問の様子

――地域のお祭りやバスケ教室などで、ファンや子どもたちと直接コミュニケーションを取る機会も多いですね。

杉山)そうですね。イベントに参加した際、子どもたちや親御さんから「杉山選手推しだよ」と直接言ってもらえたのは、すごく嬉しく印象に残っています。試合中は真剣で硬い表情になりがちなので、コート外ではできるだけ優しく、親しみやすいイメージを持ってもらえるように意識しています。


地域イベントに参加する杉山裕介選手


クーリバリ)僕は「埋地ミニ夏まつり」に行きました。エクセレンスに加入して初めて参加するイベントだったので最初は緊張しました。でも、子どもたちや親御さんが「頑張ってね」と温かく声をかけてくれたのが、すごく印象に残っています。地元出身ということも知っていただいていて、地域の皆さんとハイタッチをしたり、一緒にカルタやストレッチをしたりと、本当に楽しい雰囲気で交流できました。


埋地ミニ夏まつりでのクーリバリ セリンムルタラ選手

――イベントなどで子どもたちと触れ合う機会も多いと思います。お二人とも、子どもの頃や学生時代にプロ選手から夢をもらった経験があるそうですね。

杉山)はい。僕が小さい頃はまだB.LEAGUEがありませんでしたが、当時bjリーグの浜松・東三河フェニックス(現 三遠ネオフェニックス)のプロ選手と触れ合った記憶が、今でも鮮明に残っています。だからこそ、今の子どもたちにも「プロ選手と会えて楽しかった」という特別な思い出や夢を与えられたらと思って活動しています。まずはバスケを知ってもらい、会場に来て楽しさを味わってほしいという思いが強いですね。

クーリバリ)僕は学生時代に初めてB.LEAGUEの試合を見たんです。迫力がすごくて「プロ選手ってすごいな」と夢をもらう体験でした。今度は自分がプロとして、同じように小さな子どもたちに夢を与えられる存在になりたいです。ありがたいことに僕は若いうちからプロの世界に入ることができました。プロを目指すなら早い方が良いと思うので、そういうことも自分から積極的に発信して伝えていきたいですね。

――そうした経験を踏まえ、今の横浜エクセレンスの魅力や、試合観戦の楽しさをどう伝えていきたいですか。

クーリバリ)エクセレンスの一番の魅力は「速い展開のバスケットボール」です。そして、どんなに点差が開いても絶対に諦めないというチームのルールがあります。全員が常に全力でプレーしているので、「今日は惜しかったけれど、来週の試合も楽しみだな」と応援したくなるような、熱いプレーをぜひ見ていただきたいです。

杉山)バスケットボール自体の魅力はもちろんですが、エクセレンスの試合は会場が見やすく、駅から近くてアクセスが良いのも大きなポイントです。そして何より、会場の一体感や雰囲気がすごく良いところが、チームの大きな魅力だと感じていますね。

――昨シーズンは、ファンの方と一緒に廃材を使ったモザイクアート*も作成されたそうですね。
*「B.LEAGUE Hope×日本生命 地域を元気に!バスケACTION」として実施した廃材の再利用によるサステナビリティの推進と、障がいのある方・地域住民・来場者が一体となって参加できる場づくりを通して、社会的包摂と環境保護の両立を目指した取り組み

杉山)作りましたね。ファンの方々と一緒に1つの絵を完成させるという取り組み自体が新鮮で面白かったですし、完成した作品を見た時は純粋に「すごいな」と感動しました。

クーリバリ)僕もモザイクアートは初めての経験でしたが、その場にいた選手たちと「これはどこに貼ろうか」などと話しながら、楽しく制作することができました。


ファンの方々と一緒に制作したモザイクアート

――最後に、今後オフコートの社会貢献活動として形にしてみたいことや、目標はありますか。

クーリバリ)僕は母子家庭で育ったので、同じような環境にいる子どもたちを試合に招待する活動をやってみたいですね。千葉ジェッツの原修太選手が取り組まれている「ハラの輪*」のような活動にすごく憧れています。チームの先輩たちをお手本にしながら、自分でもいろいろなことを学んで、いつか必ず実現させたいですね。
*難病の潰瘍性大腸炎(IBD)などの経験をもとに、同じ病気や長期療養と闘う子どもたちや家族を支援する社会貢献プロジェクト

杉山)私はもっと子どもたちと触れ合う機会を増やしたいと考えていて、特に「バスケットボール教室」をやりたいですね。まずは実際にボールを扱ってドリブルができるようになったり、シュートが決まる感覚を味わってもらいたい。そうやってバスケットボールの楽しさを一人でも多くの子どもたちに知ってもらうことで、地域に貢献していけたらと思っています。

取材協力:Bリーグ
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文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

タグ: 横浜エクセレンス

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