東京八王子ビートレインズのクベマ・ジョセフ・スティーブ “元最強留学生”が後輩たちに示す背中と、盟友・河村勇輝への思い

当時高校3年生の河村勇輝擁する2019年の福岡第一高は、まさに最強だった。インターハイ決勝では北陸高を107-59で下し優勝。ウインターカップ決勝でも最大のライバル福岡大附大濠高を75-68で破り、大会史上初の福岡県勢による決勝対決を制した。
今では河村はNBA選手となり、当時のスタメンだった小川麻斗は神戸ストークスに、内尾聡理は佐賀バルーナーズに、神田壮一郎はヴォルガ湘南に所属し、それぞれがプロとしてのキャリアを歩んでいる。そして、スタメン最後の一人クベマ・ジョセフ・スティーブもプロとして堂々の活躍を残している。
彼は現在Bワンの東京八王子ビートレインズでのキャリア3季目を迎え、今季は開幕からの7試合全てにスタメン出場。平均23分17秒の出場でチーム4位の10.9得点と同1位タイの8.1リバウンドを記録している。10月17日の立川ダイス戦でもスタメン出場したスティーブは、インサイドで力強く体を張って立川の外国籍選手とわたり合い、10得点と5本のオフェンスリバウンドを含むチーム最多9リバウンドを挙げた。

特に印象的だったのが、見違えるほどたくましくなった体格だ。現在の登録体重は110kgと、「プロ3年目になって、体重も結構増えてきました」とスティーブ。「ジムでトレーニングもしっかりとやっていて、今のBリーグでは210cmあるような大きい外国籍選手もいます。だからその分、自分もフィジカルを付けて負けないようにするために頑張っています」とプロのフィジカルに適応してきた。立川戦でもいずれも211cmあるジョーダン・ブラウンとハリー・フローリングに対してペイントで体を張り、ベテランビッグマンのエドワード・モリスともわたり合った。
プロ入りした元留学生選手の多くは学生時代はコートで飛び抜けて大きく、身体能力の高さも際立っていたために圧倒的な活躍を残してきた。しかし、自身と同等以上のサイズを持ち、かつ世界レベルのフィジカルとスキルがある選手が年々増えるBリーグの外国籍枠の争いではなかなか生き残れない。結果として難しい立場に追いやられる選手も多い。スティーブも高校、大学時代はチームの大黒柱として絶対的な地位を築いていたが、Bリーグではその限りではなく、昨季まではB3独自の制度であった留学実績選手枠を活用してプレーしていた。
今季は同制度の廃止に伴って外国籍枠としてのチャレンジとなっているが、上位カテゴリーだったB2のクラブも多くいるBワンにおいても、高いパフォーマンスを残せている。スティーブを彼の1年目から見ている八王子の亀﨑光博HCは「彼の成長を非常に感じています。僕がヘッドコーチになってから彼をスタートで使うことも多くて、昨季も良くなっていきました。それが今季はより明確に自分の良い部分が本人も分かってきながら結果も少しずつついてきて、自信や手応えを感じていると思います。でも、まだまだ良くなる選手だと思うので、引き続き学び続けて成長してもらいたい」と話していた。

留学実績選手枠の廃止も
前述したように、昨季までのB3リーグに独自ルールとして存在していたのが留学実績選手枠。これは、日本の高校3年間または大学4年間を日本バスケットボール協会の登録選手としてプレーした実績を持つ選手に与えられたもので、各クラブ1名まで登録ができた。しかし、今季からB3リーグがBリーグと統合されたことで、この制度は廃止された。
それでも、Bワンでの今季はスティーブのほか、新潟アルビレックスBBのムトンボ・ジャンピエール(東山高→日体大)もスタメンとしてすばらしい活躍を残している。ただ、多くは留学実績選手枠の廃止によって居場所を失うという現実に直面することになるだろう。
そしてそれは、今後プロを志す留学生選手たちへの不安ともなる。だからこそ、スティーブは自身が結果を残すことが、後輩たちに対して希望を与えると強調する。
「留学生枠がなくなって悔しいですし、自分だけじゃなくて今は高校にも大学にもどこにでも後輩(の留学生)たちがいます。彼らも将来はプロを目指したいと思って日本の高校に入ってきて、日本語の勉強もすごく頑張っていますし、日本人ともしっかりとコミュニケーションを取っています。彼らの中にはBリーグを目指す選手も多いです。でも、今季から留学生枠がなくなって、彼らも悔しいのかなと思います。僕はビートレインズで外国籍枠でやらせてもらっているから、頑張らなきゃいけない。後輩たちがそれを見れば、『先輩も頑張っているな』と思ってもらえると思います」
特に近年の高校の全国大会を見ると、留学生がいないチームの方が少ないほど、多くのチームが彼らの高さと身体能力を強さの源にしている。それによって、共にプレーする選手たちは早くから日本人にはない高さに慣れ、異文化交流も貴重な社会勉強になる。プロを志す中学生の中には、留学生とプレーする「経験」を求めて進学先の高校を決める選手もいる。留学生の獲得は依然として賛否が分かれるトピックではあるが、日本バスケの発展の一翼を担っていることは間違いないことだ。
だからこそ、日本の大学を出た後の彼らの行く先については、もう少し関心が持たれてもいい。スティーブも「そこはBリーグにももう少し考えてもらいたいところ」だと話した。

盟友・河村勇輝へ
冒頭に記したとおり、スティーブが最上級生になった年の福岡第一高のスタメンは全員がプロとして活躍している。
中でも、河村は、スティーブにとってまさに盟友。3年時のウインターカップ決勝では、河村が10得点、13リバウンド、11アシスト、スティーブが30得点、20リバウンド、11ブロックと、同じ試合で2人共にトリプルダブルを記録し、いずれも大会ベスト5に選出された。
今は全く別の舞台で戦う2人だが、スティーブは今でも河村の動向をしっかりと追っている。先日の河村のクリッパーズからの解雇についても「NBAでの契約がなくなったのを知ってすごくショックだった」と話した。ただ同時に「彼はバスケが好きだし、高いレベルを目指したいという気持ちが強い選手。だから、絶対にどこかで試合に出ると思います。世界で、日本で、NBAでもっと頑張ってほしいなと思っているし、彼は強い気持ちがあるから大丈夫だと思います」と期待した。
同期のスタメン5人全員がプロ。だからこそ、「自分もビートレインズも負けないように、お互いがもっと日本でも、海外でももっと活躍しなければという強い気持ちを持っています」と、同期たちの存在が大きなモチベーションになっている。
亀崎HCに求められる最大の仕事はディフェンスだとスティーブは語る。「ディフェンスとリバウンド、あとは自分の強みである走ることはもっともっとレベルアップしなければなりません。あとはシュートの部分、フリースローなどももっと上げられたら、Bプレミアにも行けると思います」
もし彼がBプレミアで活躍する日が来るのなら、今度は盟友たちとコート上で再会する日が来るかもしれない。
今では河村はNBA選手となり、当時のスタメンだった小川麻斗は神戸ストークスに、内尾聡理は佐賀バルーナーズに、神田壮一郎はヴォルガ湘南に所属し、それぞれがプロとしてのキャリアを歩んでいる。そして、スタメン最後の一人クベマ・ジョセフ・スティーブもプロとして堂々の活躍を残している。
彼は現在Bワンの東京八王子ビートレインズでのキャリア3季目を迎え、今季は開幕からの7試合全てにスタメン出場。平均23分17秒の出場でチーム4位の10.9得点と同1位タイの8.1リバウンドを記録している。10月17日の立川ダイス戦でもスタメン出場したスティーブは、インサイドで力強く体を張って立川の外国籍選手とわたり合い、10得点と5本のオフェンスリバウンドを含むチーム最多9リバウンドを挙げた。

特に印象的だったのが、見違えるほどたくましくなった体格だ。現在の登録体重は110kgと、「プロ3年目になって、体重も結構増えてきました」とスティーブ。「ジムでトレーニングもしっかりとやっていて、今のBリーグでは210cmあるような大きい外国籍選手もいます。だからその分、自分もフィジカルを付けて負けないようにするために頑張っています」とプロのフィジカルに適応してきた。立川戦でもいずれも211cmあるジョーダン・ブラウンとハリー・フローリングに対してペイントで体を張り、ベテランビッグマンのエドワード・モリスともわたり合った。
プロ入りした元留学生選手の多くは学生時代はコートで飛び抜けて大きく、身体能力の高さも際立っていたために圧倒的な活躍を残してきた。しかし、自身と同等以上のサイズを持ち、かつ世界レベルのフィジカルとスキルがある選手が年々増えるBリーグの外国籍枠の争いではなかなか生き残れない。結果として難しい立場に追いやられる選手も多い。スティーブも高校、大学時代はチームの大黒柱として絶対的な地位を築いていたが、Bリーグではその限りではなく、昨季まではB3独自の制度であった留学実績選手枠を活用してプレーしていた。
今季は同制度の廃止に伴って外国籍枠としてのチャレンジとなっているが、上位カテゴリーだったB2のクラブも多くいるBワンにおいても、高いパフォーマンスを残せている。スティーブを彼の1年目から見ている八王子の亀﨑光博HCは「彼の成長を非常に感じています。僕がヘッドコーチになってから彼をスタートで使うことも多くて、昨季も良くなっていきました。それが今季はより明確に自分の良い部分が本人も分かってきながら結果も少しずつついてきて、自信や手応えを感じていると思います。でも、まだまだ良くなる選手だと思うので、引き続き学び続けて成長してもらいたい」と話していた。

留学実績選手枠の廃止も
「後輩たちに向けて…」
前述したように、昨季までのB3リーグに独自ルールとして存在していたのが留学実績選手枠。これは、日本の高校3年間または大学4年間を日本バスケットボール協会の登録選手としてプレーした実績を持つ選手に与えられたもので、各クラブ1名まで登録ができた。しかし、今季からB3リーグがBリーグと統合されたことで、この制度は廃止された。それでも、Bワンでの今季はスティーブのほか、新潟アルビレックスBBのムトンボ・ジャンピエール(東山高→日体大)もスタメンとしてすばらしい活躍を残している。ただ、多くは留学実績選手枠の廃止によって居場所を失うという現実に直面することになるだろう。
そしてそれは、今後プロを志す留学生選手たちへの不安ともなる。だからこそ、スティーブは自身が結果を残すことが、後輩たちに対して希望を与えると強調する。
「留学生枠がなくなって悔しいですし、自分だけじゃなくて今は高校にも大学にもどこにでも後輩(の留学生)たちがいます。彼らも将来はプロを目指したいと思って日本の高校に入ってきて、日本語の勉強もすごく頑張っていますし、日本人ともしっかりとコミュニケーションを取っています。彼らの中にはBリーグを目指す選手も多いです。でも、今季から留学生枠がなくなって、彼らも悔しいのかなと思います。僕はビートレインズで外国籍枠でやらせてもらっているから、頑張らなきゃいけない。後輩たちがそれを見れば、『先輩も頑張っているな』と思ってもらえると思います」
特に近年の高校の全国大会を見ると、留学生がいないチームの方が少ないほど、多くのチームが彼らの高さと身体能力を強さの源にしている。それによって、共にプレーする選手たちは早くから日本人にはない高さに慣れ、異文化交流も貴重な社会勉強になる。プロを志す中学生の中には、留学生とプレーする「経験」を求めて進学先の高校を決める選手もいる。留学生の獲得は依然として賛否が分かれるトピックではあるが、日本バスケの発展の一翼を担っていることは間違いないことだ。
だからこそ、日本の大学を出た後の彼らの行く先については、もう少し関心が持たれてもいい。スティーブも「そこはBリーグにももう少し考えてもらいたいところ」だと話した。

盟友・河村勇輝へ
「強い気持ちがあるから大丈夫」
冒頭に記したとおり、スティーブが最上級生になった年の福岡第一高のスタメンは全員がプロとして活躍している。中でも、河村は、スティーブにとってまさに盟友。3年時のウインターカップ決勝では、河村が10得点、13リバウンド、11アシスト、スティーブが30得点、20リバウンド、11ブロックと、同じ試合で2人共にトリプルダブルを記録し、いずれも大会ベスト5に選出された。
今は全く別の舞台で戦う2人だが、スティーブは今でも河村の動向をしっかりと追っている。先日の河村のクリッパーズからの解雇についても「NBAでの契約がなくなったのを知ってすごくショックだった」と話した。ただ同時に「彼はバスケが好きだし、高いレベルを目指したいという気持ちが強い選手。だから、絶対にどこかで試合に出ると思います。世界で、日本で、NBAでもっと頑張ってほしいなと思っているし、彼は強い気持ちがあるから大丈夫だと思います」と期待した。
同期のスタメン5人全員がプロ。だからこそ、「自分もビートレインズも負けないように、お互いがもっと日本でも、海外でももっと活躍しなければという強い気持ちを持っています」と、同期たちの存在が大きなモチベーションになっている。
亀崎HCに求められる最大の仕事はディフェンスだとスティーブは語る。「ディフェンスとリバウンド、あとは自分の強みである走ることはもっともっとレベルアップしなければなりません。あとはシュートの部分、フリースローなどももっと上げられたら、Bプレミアにも行けると思います」
もし彼がBプレミアで活躍する日が来るのなら、今度は盟友たちとコート上で再会する日が来るかもしれない。
文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)









