森岡ほのか(日立ハイテク)が左ひざの大ケガから約1年半ぶりに公式戦復帰、チームは逆転勝利【Wリーグ ユナイテッドカップ】

約1年半ぶりの公式戦復帰となった森岡
昇降格対決は昇格の日立ハイテクに軍配
Wリーグの新シーズンの幕開けを告げる「大樹生命 Wリーグ ユナイテッドカップ 2026-27」は10月15日、2会場でグループステージ4試合を行った。日立ハイテク クーガーズ、新潟アルビレックスBBラビッツ、ENEOSサンフラワーズ、トヨタ紡織 サンシャインラビッツが勝利。日立ハイテクと新潟は同ステージ決勝、ENEOSとトヨタ紡織はファイナルステージへそれぞれ駒を進めた。「昇降格対決」前半は東京羽田がパスでほんろう
昨シーズン、フューチャーを制してプレミアに昇格した日立ハイテクと、プレミア最下位でフューチャーに降格した東京羽田との“昇降格対決”。日立ハイテクが最大13点のビハインドを背負ったが、後半にディフェンスで流れを引き寄せ、71-47で逆転勝利を収めた。好スタートを切ったのは東京羽田だった。#15吉田沙織を中心としたテンポの速いパス回しや、ガード陣と外国籍選手による2メンゲームで日立ハイテクのディフェンスを攻略。インサイド、アウトサイドの両方から着実に得点を重ねた。一方の日立ハイテクはシュートがなかなか決まらず、守備でも相手に隙を突かれて失点がかさんだ。

前半リードの要因となった吉田

本橋菜子(右)は要所で得点
東京羽田は2Q中盤、速攻からの好連係で#77金澤英果がシュートを決め、この試合最大となる13点リード(31-18)を奪った。ボールがよく回り、前半だけで12アシストを記録した東京羽田が、5点リードで試合を折り返した。

敗れはしたが、前半は素早いパス回しで主導権を握った
日立ハイテクが後半を11得点に封じる
「前半は羽田さんの勢いに押されて、自分たちのやりたいバスケットができなかったです。ディフェンスで後手を踏んでしまいました」(日立ハイテク#13池松美波)劣勢に立たされた日立ハイテクだったが、後半に入るとディフェンスの強度を一段と引き上げた。1対1では相手との間合いを詰めてプレッシャーをかけ、2線以降の選手も積極的にパスカットを狙う。3Qだけで東京羽田から7つのターンオーバーを誘い、相手の攻撃を抑え込んだ。

得点やスティールで流れを呼び込んだ池松
オフェンスでは#3クエイ ミラー、#11ファール アミナタを起点に攻め、徐々にペイントエリアを制圧。5点前後を追う時間が続いたものの、3Q残り51秒に#11ファールがフリースローを決めて42-42の同点に追い付いた。さらに勢いに乗る日立ハイテクは、#13池松のスティールから再び#11ファールがレイアップを沈め、ついに逆転に成功した。

ファールの連続得点で逆転
4Qに入っても日立ハイテクの守備の強度は落ちなかった。後半をわずか11点に封じ、最終的には71-47で快勝。最大13点のビハインドを覆し、決勝進出を決めた。一方の東京羽田は、4Qに2ガードの布陣を採用するなど打開を図ったものの、後半はシュートの精度が低下。日立ハイテクのプレッシャーに苦しみ、前半のリードを守り切れなかった。
途中出場で12得点、5アシスト、2スティールで流れを呼び込んだ#13池松は「ハーフタイムで『もう一回作り直して自分たちのバスケットをやろう』と話し合いました。(後半は)ディフェンスから入れたことが良かったと思います」と納得の色を示した。

中野由希のペイントアタックもチームを勢い付けた
新しい自分を――。復帰の森岡
勝利した日立ハイテクに、うれしいニュースがあった。左ひざの大ケガで戦線を離れていた#14森岡ほのかが、約1年半ぶりに公式戦復帰を果たしたのだ。
「すごく緊張していて……(苦笑)。試合感覚が戻り切っていない分、まずは自分のできることを一生懸命頑張ろうと思ってプレーしました。(スタッツは)満足のいく結果ではありませんでしたが、今の自分に足りないものを考えながら、チームの勝利に貢献できるようにしたいです」
負傷したのは2025年5月。女子日本代表のセレクションキャンプに参加していた際のことだった。診断は「左膝前十字靭帯断裂、左外側半月板損傷」。待っていたのは、長期にわたるリハビリだった。
ウインターカップ2022では、札幌山の手高を11年ぶりの決勝進出に導き、自身も6試合で計165得点、38アシスト、3Pシュート20本を記録し、この3部門でトップに立った。ハイレベルなスコアリング能力を武器に世代別代表にも選出され、卒業後は日立ハイテクに入団。
3季目となった24-25シーズンには28試合に出場し、うち19試合で先発を務めた。平均9.4得点、3.3リバウンド、3.5アシストを記録するなど、着実に存在感を高めていた。まさに、これからという時期の負傷だった。
手術やリハビリのため、昨季は公式戦を全休した。懸命にリハビリに取り組む一方で、コートで躍動する仲間たちの姿を見守る日々が続いた。「チーム(日立ハイテク)にも申し訳なかったですし、代表に入りたかったという思いも強かったです」。そう打ち明けた。それでも、悔しさをにじませながらも前を向いていた。
「いるべき場所(日本代表、日立ハイテク)に戻ることを想像しながら、つらい時でもチームメイトの姿を見て頑張ろうと思えました」。長く険しいリハビリを乗り越え、再びバスケットボールコートへ。練習に復帰したのは今年6月だったという。
チームメイトの#13池松も「すごくリハビリを頑張っていて、みんなが待ち望んでいました」と語る。ファンにとっても、待ちに待った瞬間だったに違いない。
森岡に出番が回ってきたのは、1Q残り1分39秒。9点を追う場面だった。前半に好調だった東京羽田#15吉田にプレッシャーをかけ、簡単にはゴールへ向かわせない。2Qには3Pシュートを放ち、3Qには#3ミラーへのアシストも記録した。
出場時間は8分49秒。1リバウンド、1アシストをマークし、得点こそなかったものの、復帰戦で確かな一歩を踏み出した。

この日が復帰戦となった森岡
高校時代はドライブや3Pシュートを武器とする、オフェンス面の印象が強かった森岡。しかし、この試合では対人のディフェンスで強いプレッシャーをかけるなど、ディフェンスでの貢献が目立った。本人も、その課題を意識して取り組んでいる。
「ケガをする前から、ずっと自分に足りないものだと思っていました。ジャレさんがディフェンスにフォーカスする方で、復帰後の練習でも、ジャレさん(イゴア・ジャレティッチヘッドコーチ)がみんなの倍ぐらい(自分に)指摘してくれます」
取材の途中、森岡は「ケガをしたことはマイナスには受け取っていない」とも語った。「ケガをした期間も、もっと良くなるために頑張ろうと思っていました」。その思いが表れているのが、前述のディフェンスへの意識だ。持ち前の得点力とアシスト能力に加え、守備でも存在感を発揮できれば、攻防で隙のないオールラウンダーへと成長していくはずだ。

中村華祈(右)を守る森岡。ディフェンスへの意識が増したように見えた
大ケガを乗り越え、心身ともにたくましさを増した森岡。輝く笑顔と、芯の通った声で新たな一歩への決意を口にした。
「『今までの森岡ほのかじゃないな』と思わせるようなプレーをしていきたいですね。Wリーグに入って思うように自分のプレーを出せていない気がするので、楽しんでやりたいです」
文/磯野雄太郎(月刊バスケットボール) 写真/石塚康隆









