月刊バスケットボール9月号

「誰でもできることを精一杯やる」努力の才能と献身性で王者を支える要 / 福岡大学附属大濠 #9 廣田翼

「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」第5週は、10月11日にクラサス武道スポーツセンターで大分開催の最終日を迎えました。そのラストを飾る第4試合で激突したのは、地元・大分県の柳ヶ浦と、夏の王者・福岡大学附属大濠(福岡県)です。前日の悔しさを糧に地元ファンの大声援を背に受けて王者に立ち向かう柳ヶ浦と、世代を代表する選手を多数擁し盤石の強さを誇る福岡大学附属大濠。九州のライバル同士による意地とプライドが真っ向からぶつかり合いました。

会場を埋め尽くした地元の大応援団が送る声援を力に変え、立ち上がりから猛烈なプレッシャーを仕掛けたのは柳ヶ浦です。相手のミスを誘うと、大黒柱の#34 ファデラ ママドゥ選手(3年/207cm)のバスケットカウントや、合わせのプレーから#14 古閑蓮選手(3年/186cm)が得点し、開始4分で7-2と最高のスタートを切ります。しかし、柳ヶ浦は残り5分46秒、ママドゥ選手が3つ目のファウルを喫しベンチへ下がらざるをえなくなります。代わって入った#43 アン イスマエル選手(2年/209cm)がすぐさまゴール下で加点しましたが、ここから福岡大学附属大濠が地力を発揮。#14 本田蕗以選手(3年/190cm)の3Pシュートで10-10の同点に追いつくと、#6 中村文哉選手(3年/190cm)の3ポイントプレーや3Pシュート、さらに#23 白谷柱誠ジャック選手(2年/194cm)らの得点で残り4分強から怒涛の16-0のランを展開。23-10と福岡大学附属大濠が一気に逆転しました。

第2クォーターに入っても、福岡大学附属大濠の勢いは止まりません。点差を縮めようと粘り強く守る柳ヶ浦も、#13 桃宇航大選手(2年/171cm)の技ありレイアップや、ママドゥ選手の豪快なアリウープダンクで会場を沸かせますが、福岡大学附属大濠は多彩な攻め手でこのクォーターも26-14と圧倒。49-24とリードを25点に広げて前半を折り返しました。

後半、点差が開いても柳ヶ浦の闘志は衰えません。ママドゥ選手がチームの魅力と語る「リードされていても最後まで諦めずに戦い続ける姿勢」を体現するように食らいつきます。しかし、盤石のゲーム運びを見せる福岡大学附属大濠は66-38で第3クォーターを終えると、最終クォーターはベンチメンバー主体の布陣で時間を使いながらリードを保持。最後までアグレッシブに攻め立てた柳ヶ浦の追い上げを振り切り、福岡大学附属大濠が83-61で勝利を収め、今大会4勝目(1敗)を挙げました。





世代を代表する選手を多く抱える福岡大学附属大濠にあって、数字以上の絶大な存在感を放っているのが、インサイドで体を張り続ける#9 廣田翼選手(3年/190cm)です。この試合、廣田選手は25分半の出場で5得点、オフェンスリバウンド4本を含む計8リバウンド、2アシスト、1スティール、1ブロック、3つのファウルドローンを記録。柳ヶ浦が誇る207cmのママドゥ選手や209cmのイスマエル選手に対し、好ディフェンスを披露しました。
「相手のホームでの試合でしたが、勝利できて嬉しいです。ママドゥ選手は内外ともに素晴らしい選手なので、まずはボールを持たせないことを徹底しました。持たれた際も1人ではなくチーム全体で守ることを話し合っていたので、チームでしっかり守れたと思います」と振り返る通り、出足からプレッシャーをかけて相手エースのファウルトラブルを誘発し、序盤で試合の主導権を手繰り寄せる大きな要因となりました。

中学時代(岡山県・倉敷市立南中学校)に全国中学校大会で準優勝を果たすなど実績を積んで名門の門を叩いた廣田選手。高校入学後は「インサイドに専念した方がチームで活躍できる」と自らの役割を見出しました。しかし、全国屈指のビッグマンがひしめく高校バスケ界において、190cmの身長は決して大きくはありません。そこで磨き上げたのが、卓越したポジショニングとリバウンド技術でした。

「僕はインサイドのプレーヤーとしては小さい方です。力で制するというより、相手よりもリバウンドが取りやすい有利な位置に早く入る『位置勝負』を意識しています」
そのヒントとなったのが、高校2年生の春に動画サイトで出会ったNBAの伝説的リバウンダー、デニス・ロッドマン(元ブルズ、ピストンズほか)の存在でした。「リバウンドが取れずに苦しんでいた時期に、NBAを参考にしようと探してロッドマンを知りました。身長はそこまで高くなくても、インサイドでの存在感が凄まじい。ポジショニングや戦い方を参考にしています」と明かす通り、相手より一歩早く懐に入り込み、泥臭くリバウンドを奪い切る職人技を確立させました。

そんな廣田選手に、片峯聡太コーチも全幅の信頼を寄せています。
「廣田には何よりも『努力できる才能』がありました。コツコツと体をいじめ抜くようなハードなウエイトトレーニングを重ねて、あの強靭な肉体を作り上げた。これは間違いなく努力の産物です」と指揮官はその姿勢を称えます。片峯コーチはまた「『留学生がいるからやられる』という世間の通常を、僕らは絶対に認めてはならないと思っています。留学生とフィジカルでガンガンやり合える選手を育て、留学生がいたって戦えるというバスケをしたい」と熱く語り、戦う気持ちを前面に出してプレーする廣田選手の存在を高く評価しています。

コート上では冷静沈着に泥臭いタスクを全うし、ベンチに下がれば誰よりも大きな声でチームに火をつけるエネルギッシュな廣田選手。片峯コーチからはさらなる進化として、「ツービッグの布陣でもハーフコートオフェンスを停滞させないために、トップからのキャッチ&シュートの3Pシュートを5本中2本決められるようになってほしい」と高い期待をかけられています。

「まずはリバウンドやルーズボールなど、誰にでもできることを精一杯自分なりにやり切ってチームに貢献したいと考えています。そしてチャンスがあれば、片峯先生から言われているトップからの3Pシュートも高確率で沈められるようにしたいです」

華やかなスター軍団の屋台骨となり、痛いプレーや泥臭い仕事を率先して引き受ける背番号9。コートに立ち続けるその揺るぎない覚悟と献身こそが、福岡大学附属大濠を真の強者たらしめている原動力です。





「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」
・オフィシャルサイト
https://u18league.japanbasketball.jp/
・チケット情報はこちら
https://u18league.japanbasketball.jp/watching-top/ticket/
・観戦情報ページ
https://u18league.japanbasketball.jp/watching-top/venue/?ScheduleKey=11948&teamID=0&tab=schedule
・「U18日清食品トップリーグ公式YouTube」「バスケットLIVE」、「スポーツナビ」にて全試合配信
[配信・放送]https://u18league.japanbasketball.jp/streaming/






文/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)、写真/山岡邦彦

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