月刊バスケットボール9月号

「チームを勝たせる選手になる」ディフェンスの徹底と献身が生んだスタイルチェンジ / 藤枝明誠 #13 渡邊聖

クラサス武道スポーツセンター(大分県)で開催中の「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」第5週は、10月11日に大分開催の最終日を迎えました。その第1試合では、初勝利を目指す仙台大学附属明成(宮城県/5敗)と、3勝2敗と白星先行の藤枝明誠(静岡県)が対戦。お互いの持ち味である泥臭いハードワークと粘り強いディフェンスが激突する、白熱の熱戦となりました。

試合は序盤から互いに厳しいプレッシャーをかけ合い、激しいつばぜり合いが続きます。第2クォーター前半は両チームともに好ディフェンスを展開して得点が伸び悩む時間帯が続きましたが、タイムアウトを挟んでオフェンスのテンポを上げた藤枝明誠が、#9 高平爽太選手(3年/175cm)の力強いアタックなどで加点。対する仙台大学附属明成も#5 金城羽珀選手(2年/176cm)がレイアップや3Pシュートを決めて食らいつき、34-30と藤枝明誠の4点リードで前半を折り返しました。

後半に入ると、仙台大学附属明成は#14 丸山エンディ選手(2年/196cm)が得点源となって猛追。43-43の同点に追いつき、試合は一進一退の攻防へともつれ込みます。終盤、得点が止まっていた藤枝明誠でしたが、残り23.4秒に#13 渡邊聖選手(3年/180cm)が鋭いドライブからバスケットカウントをもぎ取って3点プレーを成功。52-48とリードを広げて勝負の最終クォーターへ突入しました。

第4クォーター開始直後、仙台大学附属明成に2点差まで迫られる緊迫した展開となりますが、ここで藤枝明誠はさらにディフェンスの強度をアップ。守備から良いリズムを作ると、合わせのプレーから渡邊選手が加点。さらに続く速攻では渡邊選手のアシストから#7 平岡泰介選手(1年/190cm)が得点し、一気にリードを8点へと広げました。そして残り4分、#6 徳田翔太選手(3年/185cm)が執念のオフェンスリバウンドでつないだポゼッションで、渡邊選手がディープ3Pシュートを沈めて66-55と勝負を決める2桁点差をつけます。仙台大学附属明成も丸山選手を中心に最後まで諦めずに追い上げましたが、藤枝明誠が逃げ切りに成功。68-61で接戦を制し、今大会4勝目を挙げました。






この試合、渡邊選手はチームトップとなる31分8秒の出場で11得点、4リバウンド、3アシスト、1スティール、1ブロックを記録。トレードマークである3Pシュートは7本中1本の成功にとどまったものの、その貴重な1本を第4クォーターの勝負どころで射抜き、2Pシュートは5本中3本を高確率で沈めました。
“渡邊聖タイム”と表現されるなど3Pシュートを連発する世代屈指の爆発力を持つ渡邊選手ですが、好不調の波もあったことは一つの課題でした。しかしこの日は、チーム方針である「40分間負けないディフェンス」を体現すべく守備に集中。効率の良いプレー選択でボールを動かし、ここぞという勝負どころでは自らアタックしてビッグショットを決めるというスタイルチェンジを印象づけました。

変化のきっかけとなったのが、8月中旬に開催された「第34回日・韓・中ジュニア交流競技会」への日本代表としての出場でした。
「ハイレベルな選手たちが集まる中でプレータイムを勝ち取るためにも、『まずはディフェンスからだ』と代表で言われました。それは藤枝明誠が目指すスタイルとも一致する部分でした」と渡邊選手は振り返ります。スコアラーとしてのこだわりにとらわれるのではなく、「ディフェンスから入ること、そして自分のプレースタイルを少しずつ変化させていかなければいけない」と意識を改めたといいます。
さらに、自身が代表活動でチームを離れていた期間、藤枝明誠が強豪相手に勝利を収めた姿を客観的に見たことも大きな転機となりました。「自分がやりたいプレーを優先するのではなく、チームメイトとプレーをすり合わせ、互いを認め合うことの大切さに気づきました」と語る通り、仲間を活かすためのスペーシングや我慢強さを身につけ、プレーの幅を大きく広げました。

その意識の変化をフィジカル面でも支えています。3月の入替戦終了後から「フィジカルな試合で押し込まれないように」とウエイトトレーニングと食事改善を徹底し、約5ヶ月で体重を10kg増量。「持久力やアジリティを落とさずに体を強くした」ことで、当たり負けしない力強いディフェンスと切れ味鋭いドライブアタックが可能になりました。

金本鷹コーチも、そんな背番号13の変貌を「少しお兄さんになったかな」と目を細めます。「以前はやりたいことを優先するスタイルでしたが、夏の悔しさや代表経験を経て、チームのあるべき姿を客観的に捉えられるようになりました。彼が外にいてディフェンスを引きつけてくれるからこそ、インサイドにスペースが生まれ、周りの選手も活きる。勝負どころで自ら判断してアタックできるようにもなりました」と成長を評価。その上で「だからこそ、ディフェンスでの我慢強さをさらに追求し、人としても選手としてももう一段階ステップアップしてほしい」とさらなる飛躍を期待しています。

チームとして勝ち越しを決める4勝目を掴み取った藤枝明誠。激戦を制した手応えを噛み締めつつ、渡邊選手は「ガード陣にプレッシャーがかかりすぎているので、自分がもっとボールコントロールやアシストで助けたい。接戦では自分が起点になり、チームの信頼を得て勝利に貢献したいです」と前を見据えます。
自分の得点よりも、チームの勝利のために何ができるか――。自らの殻を破り、攻守で大人へと進化を遂げた渡邊選手が、藤枝明誠をさらなる高みへと導いていきます。






「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」
・オフィシャルサイト
https://u18league.japanbasketball.jp/
・チケット情報はこちら
https://u18league.japanbasketball.jp/watching-top/ticket/
・観戦情報ページ
https://u18league.japanbasketball.jp/watching-top/venue/?ScheduleKey=11948&teamID=0&tab=schedule
・「U18日清食品トップリーグ公式YouTube」「バスケットLIVE」、「スポーツナビ」にて全試合配信
[配信・放送]https://u18league.japanbasketball.jp/streaming/






文/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)、写真/山岡邦彦

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