「一日一日もっと上手くなろう」北陸学院 #8 水口朔太郎

北陸学院にとって鳥取城北は、昨年度のウインターカップ準々決勝でわずか4点差で惜敗した因縁の相手です。雪辱を期すこの一戦で、攻防にわたって際立つ存在感を放ち、チームを力強く牽引したのが3年生のフォワード、#8 水口朔太郎選手(187cm)でした。内外自在のオフェンスでチーム最多となる15得点を挙げ、盤石の4連勝をたぐり寄せた彼の姿には、この夏を経て逞しく成長を遂げた確かな足跡が刻まれていました。
試合は立ち上がりから北陸学院が持ち味である堅守速攻を仕掛け、主導権を握ります。しかし開始わずか2分余り、チームのテンポを作る司令塔の#7 伊藤騎士選手(169cm/2年)が2つ目のファウルをコールされ、早々にベンチへ下がるアクシデントに見舞われます。流れを失いかけた北陸学院に対し、鳥取城北は大分県出身の#7 小田昂明選手(185cm/3年)がゴール下で力強さを発揮し、ミドルシュートも沈めて一時は10-10の同点に追い付きました。
嫌な空気が漂いかねない場面でしたが、北陸学院の選手たちに動揺はありませんでした。水口選手は試合前のプランをこう振り返ります。
「鳥取城北戦は、チームとしてまずサロモン選手のポイントとリバウンドを止めること、そして3Pシュートが入るのでそこをしっかり抑え、自分たちのブレイクやディフェンスリバウンドをしっかりやろうと練習してきました。その準備が良い入りにつながり、結果に結び付いたと思います」
前線からのプレッシャーを強めて相手のターンオーバーを誘うと、そこから速攻を繰り出し、第1クォーターを17-12とリードして終えました。
第2クォーターに入ると、水口選手、#16 小笠原和真選手(169cm/3年)らのアウトサイドシュートも決まり、北陸学院のオフェンスが一気に加速します。
鳥取城北も懸命に攻め手を模索するものの、北陸学院の強固なディフェンスに阻まれてシュートがリングに嫌われる苦しい展開が続きます。水口選手は前半だけでチーム総得点36点のうち13得点を叩き出し、36-22とリードを広げる最大の立て役者となりました。
後半に入っても北陸学院の勢いは衰えません。第3クォーターの立ち上がりには、#5 藤原弘大選手(182cm/3年)が連続得点を奪って一気に突き放します。開始3分で点差を23点(45-22)にまで広げると、鳥取城北のタイムアウト後も集中力を切らさず、このクォーターを20-6と圧倒。勝負の行方を決定づけました。最終クォーターもベンチメンバーを含めた全員がハードワークを続け、最終スコア74-42で快勝。開幕4連勝を飾りました。

この快勝の背景には、チームが夏場に積み重ねてきた確固たる自信と自立心がありました。
インターハイを終えてからは、チームを率いる濱屋史篤コーチに加え、主力である藤原選手(FIBA U18アジアカップ)や小笠原選手(日・韓・中ジュニア交流競技会)がU18日本代表活動のためチームを離れる時期が続きました。そうした中、チームを支えたのが水口選手をはじめとする残された3年生たちでした。
「和真や弘大がいなくても、自分たちがやるべきことは徹底してやろうと、3年生を中心に声を掛け合っていました。その期間に下級生がたくさん試合に出て経験を積んだことで、チーム全体の底上げができました」と水口選手は振り返ります。
その成果は数字にも、プレーの質にも如実に表れていました。試合後、濱屋コーチは水口選手の成長について、以下のように話しました。
「彼自身、私たちが不在の間にしっかり努力を重ねてきたのが見て取れます。『努力の方向性』を定めてステップアップしてくれました。ローポストでのプレーなど、以前はあのレベルでできなかったプレーが試合を経験するごとに身に付いてきています。今日、チームハイの15得点というスタッツに結果として表れてくれたことが本当にうれしいですね」
試合後、汗を拭いながら落ち着いた口調で受け答えをする水口選手。コート上で見せる激しいハッスルプレーとのギャップについて尋ねられると、自身のプレースタイルについてこう語りました。
「本当は熱いタイプなのかもしれませんが、冷静でいる方が良いプレーができますし、周りにも良い影響を与えられます。熱くなる部分も大切ですが、そのバランスをしっかり保つことを意識しています」
代表活動を経験して高い基準を持ち帰ってきたコーチやチームメイトからの刺激を受けつつも、水口選手の視線は常に足元の一歩に向けられています。
「将来的に代表や上のカテゴリーでプレーしたい思いはもちろんありますが、それ以上に『一日一日もっと上手くなろう』という気持ちが強いです。今日の練習、明日の練習を大切にして成長していきたいと思っています」
目指す選手像について問われると、力強い言葉が返ってきました。
「どんな相手に対しても得点を取れる、そしてチームのやるべき約束事をしっかり遂行して勝利に貢献できるプレイヤーになりたいです」
北陸学院はこの勝利で4戦全勝。唯一、無敗を守っているチームですが、次節以降には東山高校、福岡大学附属大濠高校、柳ヶ浦高校といった強豪との対戦が控えています。
「とにかく次も準備がすべてだと思っています。1試合1試合しっかりと準備をして、それをコートで遂行する。相手が誰であっても失点を抑え、リバウンドを取り、自分たちのブレイクを出す。残りの3試合も一戦一戦に集中して戦っていきたいです」
水口選手がそう口にするように、北陸学院は初出場・初優勝という快挙に向けて、着実に準備を進めていくことでしょう。

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文/飯田康二(月刊バスケットボール)、写真/山岡邦彦









