月刊バスケットボール9月号

Bリーグ

2026.10.10

苦境続く茨城ロボッツは開幕6連敗…それでも戦い続けるヴィック・ロー「信念というのは困難なときにこそ磨かれる」

彼らの大胆な補強には、何度も驚かされた。

ヴィック・ローや吉井裕鷹といったリーグ屈指の実力者を数多く獲得した今オフの茨城ロボッツは、リーグ内で1、2を争うほどの高い注目度を誇った。B1昇格以来、チャンピオンシップはおろか、勝率5割も超えたことがないクラブが、いよいよ強豪への第一歩を歩むのか──。選手も、スタッフも、ファンも、誰しもがそんな期待を膨らませていた。

だが、現実は厳しいものだった。6試合を終え、彼らは一つの白星も挙げられていないのである。

10月9日に、ホームのアダストリアみとアリーナで開催された宇都宮ブレックス戦。序盤から一進一退の攻防が続き、3Q終了時点で62-62の同点だった。しかし、4Q序盤に宇都宮が比江島慎やトレイ・ケルらを中心に連続12得点。この数分間が、最終スコア79-90での敗戦につながった。

「3Qまでは良かったと思います。ただ、残念ながら4Qに相手に突き放され、15-4のランを許してしまった。最後の5分間でそこから追い付くのは、明らかに厳し過ぎました」

ポール・ヘナレHCは肩を落とした。宇都宮戦以前の5試合も同様だった。終盤まで競り合って、しかし勝ち切れない。群馬クレインサンダーズとの1戦目は、あとコンマ数秒あればローの逆転ブザービーターはカウントだった。宇都宮戦の2日前に行われた広島ドラゴンフライズ戦でも、残り10.3秒にクリストファー・スミスに4点差に広げられる3Pをねじ込まれた。少しの差で勝敗がひっくり返っていた試合ばかりだ。

最初の5試合の得失点差は、全敗にもかかわらず僅かマイナス28(平均5.6点差の敗北)で、「2勝を挙げていても、僕たちよりも得失点差が悪いチームもあった。それは僕たちがどれだけの接戦を演じているかを示している」とヘナレHC。だからこそ、また同じような形で白星を逃した宇都宮戦は悔しい負けだった。



なぜ終盤の接戦に勝てないのか──その質問は野暮だ。それは、即座に言葉にできるほど容易な問いではないからだ。それでも、ローはこう話す。

「僕らは多くの試合でリバウンド、フリースローの数、ターンオーバーで負けてしまっています。その3つ全てで負けていたら、試合には勝てない。惜しいところまではいっているけれど、ここに来たのは『惜しかった』と言われるためではありません。僕たちは勝利が欲しい。だからこそ、自分たちのミスから学び、立て直していかなければなりません」

間違いなくチームは進歩しているが、それでも結果が伴わない。だからこそ、歯がゆくて難しい。宇都宮にしても、広島にしても、群馬にしても、数年をかけて構築された選手間のケミストリーがあり、それが勝負どころの遂行力の高さやプレーの一貫性につながっている。だが、コーチも選手も大半が入れ替わった茨城には、まだ彼らのようなケミストリーは求められない。だからこそ、戦い続けなければならないとローは話す。

「今、僕たちは長く一緒にいるチームと対戦していて、彼らは自分たちがどう動けばいいかを知っています。例えば、今日の試合であれば比江島が僕らのベンチの目の前で3Pを決めたシーンがありましたが、その前に(竹内)公輔が比江島に本当に良いフレアスクリーンをかけました。そういうプレーこそが勝利につながるものです。彼らはどこにカットインすべきか、どこにポジションを取るべきかを知っているけれど、僕らはそれらを学んでいる最中であり、今のところ僕らのミスの許容範囲は少ない。勝つためには完璧でなければならないけれど、僕らは現時点ではまだ完璧にはなれていません。でも、僕たちはそこにたどり着けると確信しています。今はただ戦い続けなければなりません」



その上で、5連敗という「結果」の受け止め方も慎重になる必要がある。ヘナレHCは「メディアやファン、オーナー、スポンサーの皆さんが結果を求めているのは分かっているし、僕たちもそうです。ただ、一つ言いたいのはチームとしてそのプロセスに集中することが本当に重要だということ。この困難な時期を結束して乗り越えれば、良い時期が来ると本当に信じています」と力を込めた。白黒の結果だけを並べるのではなく、今こそ試合の質やプロセスに目を向けることが必要だ。

ローも「以前にXにも投稿しましたが、信念というのは困難なときにこそ磨かれるものだと思います。全てが順調にいっているときは、誰でも自分のことを信じられるけれど、全てがうまくいっていないときにこそ、本当の意味で信じる必要があります。僕らは僕らの信念を信じ続けます」と話した。

そして彼は、琉球ゴールデンキングスでの昨季序盤の戦いを引き合いに、こう話した。

「昨季、開幕節で横浜ビー・コルセアーズに連敗したとき、周囲は『今年のキングスはダメだ』というようなことを言っていました。でも、結果的に僕たちはチャンピオンシップを争う試合をしました。だから、どうなるかなんて分からない。シーズンは長いし、浮き沈みがあって当たり前。波に乗り、ミスから学び、毎試合良くなっていくことが必要です」

チームは明日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズを再びホームに迎える。中で1日の試合が続く茨城に対して、名古屋Dは丸1週間ぶりの試合と、コンディションには大きな差がある。日程的にも、メンタル的にも厳しい戦いになることが必至だからこそ、ローはファンの声援が必要だと話す。

「これまでにないほどファンの力が必要です。シーズンは長いし、その一歩一歩の道のりでファンのサポートが必要。僕たちは君たちのサポートや情熱をエネルギー源にしています。だから、できる限りの勝利をつかむためには、その全てが必要なんです。いつも感謝しているし、日曜日にみんなに会えるのを期待しています」

今こそ、チームとファンとが一丸になるときだ。



写真・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

PICK UP