「SNSから離れろ」開幕戦白星のアルバルク東京、新指揮官が勝利後のロッカールームで伝えた言葉

10年前の開幕戦と同カード──アルバルク東京と琉球ゴールデンキングスの開幕戦は、84-73でA東京が勝利。歴史的開幕戦をホームでの白星で終えた。
前半は「殴り合いのようだった」と振り返った小酒部泰暉の言葉どおり、ペースアップを掲げる両クラブがその狙いを体現するかのような点の取り合いが続き、ハーフタイム時点で51-50と琉球が1点リード。100点ペースのハイスコアゲームで試合を折り返した。
しかし、後半に入るとA東京のディフェンスが琉球を飲み込んでいく。ペイントエリアの攻防は熾烈を極め、琉球のスコアが停滞する間にも、A東京はキヨンテ・ジョンソンとディー・ジェイ・ホグを中心に得点を重ね、最終スコアは84-73。琉球を後半で22得点に封じ込める堅守が試合を分かつ最大の要素となった。
A東京のライアン・リッチマンHCは、開幕戦勝利を以下のように振り返った。
「僕が日本代表のオフェンス面のアシスタントコーチをしていることもあって、皆さんオフェンスに目が行きがちだと思うんですけど、まずはディフェンスからしっかりと徹底してやって、そこから爆発的なオフェンス力を出していくのが僕のスタイル。そんな中で、アルバルクといえば伝統的にフィジカルにディフェンスをするところがあるので、そこの部分が今日の後半でしっかりと出すことができた思っています。明日はオフェンスとディフェンスの両方をしっかりと遂行できるチームになって、激しいディフェンスから爆発的なオフェンスにつなげていければなと思っています」
アルバルク東京は強い──見る者に、そう強烈に印象付ける後半の戦いぶりではあったが、9月2日のプレシーズンゲーム初戦では、ホームでカテゴリーが下の横浜エクセレンス(Bワン)に80-100の完敗。ライアン・ロシターが不在だったとはいえ、オフェンスは新システムがかみ合わず、ディフェンスでも相手のドライブからのキックアウトでいいようにアウトサイドを射抜かれた。負けるべくして負けたと言える試合内容だったが、リッチマンHCはその試合後の会見で「今日の結果は、自分たちの未来を見据えた上で最善の結果だったのかもしれない」と話していた。
本格的なチーム始動直後で、連係面は攻防両面で明らかに未熟だった。やろうとしていることは見えていたが、いざ試合となるとまだまだ実戦レベルではないことを思い知らされたこの試合は、チームの立ち位置と課題を再確認するのには、うってつけの「薬」となったわけだ。
実際、この試合の強度や連係は、横浜EXとの試合とは比べものにならないほどに練り上げられていたように感じられた。
一方で、リッチマンHCは今、この試合の出来を高く評価することはできないとも話す。「まだまだ発展途上だと思っていますし、もしここで『完成度が高い』と言っていたら…これだけターンオーバー(17本)をして、これだけゲームエンドのシチュエーションが良くなくて、これだけまだミスが目立っている中で、もしこれが完成形だったら問題があると思うので。やっぱり成長していくことが大事です」




そして、そのコメントの直後に、試合後のロッカールームで選手たちに伝えた“あること”を明かしてくれた。
「SNSから離れろ」
リッチマンHCはそう話したという。前述したように、この試合の、特に後半の戦いぶりを切り取れば、A東京は非常に完成度の高い、強いチームに映る。ただ、リッチマンHCの言葉どおり、まだまだエラーも多く、直すべき点の方が先行する状況だ。だからこそ、指揮官は選手たちに警鐘を鳴らした。
「今、SNSを見れば、『アルバルクは強い』といった投稿が目に入ってくると思うんです。もちろん、今日は歴史的な1試合で、バスケファンの全員が僕たちの試合を見ています。僕たちを賞賛する声が多い中で、それを真に受けてしまうと僕自身も、チームとしても成長していけないと思うので。選手にいつも伝えるんですけど、良いときは良くなり過ぎず、悪いときも悪くなり過ぎず、平静心をキープしていくことがすごく大事。それを根本としてしっかりと頑張っていきながら、まだまだ発展途上のこのチームを成長させていければなと思っています」
注目度が高い事象であればあるほど、SNSで拡散される世の中だ。今は選手も当たり前のようにSNSを運用し、それが彼らのステータス、そして価値の一つともなっている。現代社会と切っても切り離せないSNSの世界を、だからこそ切り離す。周囲の声に一喜一憂せず、こなすべきことにフォーカスする。普通に生活していれば、それは言葉にするほど簡単ではない。このリッチマンHCの言葉は、言葉にするからこそ、効き目があるものだ。
ロシターも指揮官の声明に同意する。彼は「皆さんご存知のとおり、僕はあんまりSNSはやらないけど(笑)」と前置きしつつ、「それは良いメッセージだと思います」と話し、こう続けた。
「ライアン(リッチマンHC)は、『高過ぎず、低過ぎず』と言っています。それは勝ったときも同じだし、負けた試合もそうです。僕たちは常に平常心でありたいと思っています。自分たちのやるべきことをやるだけです。今日、みんなの目が僕たちに向いていたことに対してはうまく対応できましたが、試合後にXを見て『自分たちは何てすばらしいんだ』と浮かれて、明日リラックスして試合に臨むようなことはしたくありません。琉球は明日、より強い気持ちで戻ってくるはずですから」
リッチマンHCの言葉は、どう選手たちに伝わったのか──その答えが、明日の試合で表現されるかもしれない。
前半は「殴り合いのようだった」と振り返った小酒部泰暉の言葉どおり、ペースアップを掲げる両クラブがその狙いを体現するかのような点の取り合いが続き、ハーフタイム時点で51-50と琉球が1点リード。100点ペースのハイスコアゲームで試合を折り返した。
しかし、後半に入るとA東京のディフェンスが琉球を飲み込んでいく。ペイントエリアの攻防は熾烈を極め、琉球のスコアが停滞する間にも、A東京はキヨンテ・ジョンソンとディー・ジェイ・ホグを中心に得点を重ね、最終スコアは84-73。琉球を後半で22得点に封じ込める堅守が試合を分かつ最大の要素となった。
A東京のライアン・リッチマンHCは、開幕戦勝利を以下のように振り返った。
「僕が日本代表のオフェンス面のアシスタントコーチをしていることもあって、皆さんオフェンスに目が行きがちだと思うんですけど、まずはディフェンスからしっかりと徹底してやって、そこから爆発的なオフェンス力を出していくのが僕のスタイル。そんな中で、アルバルクといえば伝統的にフィジカルにディフェンスをするところがあるので、そこの部分が今日の後半でしっかりと出すことができた思っています。明日はオフェンスとディフェンスの両方をしっかりと遂行できるチームになって、激しいディフェンスから爆発的なオフェンスにつなげていければなと思っています」
アルバルク東京は強い──見る者に、そう強烈に印象付ける後半の戦いぶりではあったが、9月2日のプレシーズンゲーム初戦では、ホームでカテゴリーが下の横浜エクセレンス(Bワン)に80-100の完敗。ライアン・ロシターが不在だったとはいえ、オフェンスは新システムがかみ合わず、ディフェンスでも相手のドライブからのキックアウトでいいようにアウトサイドを射抜かれた。負けるべくして負けたと言える試合内容だったが、リッチマンHCはその試合後の会見で「今日の結果は、自分たちの未来を見据えた上で最善の結果だったのかもしれない」と話していた。
本格的なチーム始動直後で、連係面は攻防両面で明らかに未熟だった。やろうとしていることは見えていたが、いざ試合となるとまだまだ実戦レベルではないことを思い知らされたこの試合は、チームの立ち位置と課題を再確認するのには、うってつけの「薬」となったわけだ。
実際、この試合の強度や連係は、横浜EXとの試合とは比べものにならないほどに練り上げられていたように感じられた。
一方で、リッチマンHCは今、この試合の出来を高く評価することはできないとも話す。「まだまだ発展途上だと思っていますし、もしここで『完成度が高い』と言っていたら…これだけターンオーバー(17本)をして、これだけゲームエンドのシチュエーションが良くなくて、これだけまだミスが目立っている中で、もしこれが完成形だったら問題があると思うので。やっぱり成長していくことが大事です」




そして、そのコメントの直後に、試合後のロッカールームで選手たちに伝えた“あること”を明かしてくれた。
「SNSから離れろ」
リッチマンHCはそう話したという。前述したように、この試合の、特に後半の戦いぶりを切り取れば、A東京は非常に完成度の高い、強いチームに映る。ただ、リッチマンHCの言葉どおり、まだまだエラーも多く、直すべき点の方が先行する状況だ。だからこそ、指揮官は選手たちに警鐘を鳴らした。
「今、SNSを見れば、『アルバルクは強い』といった投稿が目に入ってくると思うんです。もちろん、今日は歴史的な1試合で、バスケファンの全員が僕たちの試合を見ています。僕たちを賞賛する声が多い中で、それを真に受けてしまうと僕自身も、チームとしても成長していけないと思うので。選手にいつも伝えるんですけど、良いときは良くなり過ぎず、悪いときも悪くなり過ぎず、平静心をキープしていくことがすごく大事。それを根本としてしっかりと頑張っていきながら、まだまだ発展途上のこのチームを成長させていければなと思っています」
注目度が高い事象であればあるほど、SNSで拡散される世の中だ。今は選手も当たり前のようにSNSを運用し、それが彼らのステータス、そして価値の一つともなっている。現代社会と切っても切り離せないSNSの世界を、だからこそ切り離す。周囲の声に一喜一憂せず、こなすべきことにフォーカスする。普通に生活していれば、それは言葉にするほど簡単ではない。このリッチマンHCの言葉は、言葉にするからこそ、効き目があるものだ。
ロシターも指揮官の声明に同意する。彼は「皆さんご存知のとおり、僕はあんまりSNSはやらないけど(笑)」と前置きしつつ、「それは良いメッセージだと思います」と話し、こう続けた。
「ライアン(リッチマンHC)は、『高過ぎず、低過ぎず』と言っています。それは勝ったときも同じだし、負けた試合もそうです。僕たちは常に平常心でありたいと思っています。自分たちのやるべきことをやるだけです。今日、みんなの目が僕たちに向いていたことに対してはうまく対応できましたが、試合後にXを見て『自分たちは何てすばらしいんだ』と浮かれて、明日リラックスして試合に臨むようなことはしたくありません。琉球は明日、より強い気持ちで戻ってくるはずですから」
リッチマンHCの言葉は、どう選手たちに伝わったのか──その答えが、明日の試合で表現されるかもしれない。
文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)








