月刊バスケットボール9月号

大学

2026.09.18

「強い筑波を創る」筑波大、再始動の1年【大学バスケ】

1部復帰、インカレ出場を目指して戦う筑波大

強い筑波を「創る」

――強い筑波を創る。

関東大学バスケットボールリーグ戦の2部で戦う筑波大が、今シーズン掲げるミッションだ。

筑波大といえば、インカレ優勝5回、リーグ優勝10回を誇る大学バスケ界の強豪。日本代表の馬場雄大をはじめ、数々のプロ選手を輩出してきた名門でもある。

しかし、昨季はリーグ戦で6勝16敗、12チーム中11位に沈むと、入れ替え戦でも敗れ、2008年以来となる2部降格が決まった。さらに、76年続いてきたインカレ出場も途切れた。

失意の中で新チームに託されたのは、1年での1部復帰とインカレ出場。そして、筑波の伝統をもう一度築き上げることだった。

結果だけでなく、チームそのものを立て直す1年。再始動に懸ける思いを、キャプテンの#18天内悠斗(4年)に聞いた。


筑波大のキャプテン天内

名門を襲った、まさかの2部降格

前述のインカレ優勝5回のうち4回をもたらし、いわば筑波の黄金期を築いた吉田健司氏(現・流通経済大ヘッドコーチ)が退任。アシスタントコーチを務めていた仲澤翔大氏が新たにHCへ就任し、チームは新体制でシーズンを迎えた。

しかし、複数選手がケガで離脱するなど、思うように戦力が整わない。オフェンスが機能しない試合も多く、なかなか勝利をつかめない。最終的にリーグ戦は6勝にとどまり、入れ替え戦に回ることになった。

名門・筑波を背負う重圧と、結果が伴わないもどかしさ。

「みんな、口では『次頑張ろう』みたいに言っていたけど、俺はそんなに切り替えられていなかったし、多分チームのみんなも……」

天内自身、そう振り返る。リーグ戦は終わった。入れ替え戦に勝てば残留できる――。そう切り替えたつもりだった。だが、国士舘大(2部2位)の勢いに飲まれる場面もあり、通算1勝2敗で降格が決定。筑波が入れ替え戦に回ること自体が前代未聞だっただけに、敗れて2部に落ちたことは大学バスケ界にも大きな衝撃を与えた。

降格が決まった後も、チームは容易に現実を受け入れられなかったという。

4年生のミーティングが再起の1歩に

インカレのない年末を過ごし、年が明けてすぐ、新チームとなった彼らはミーティングを重ねた。

A、B両チームの現4年生約20人が集まり、まず「1部復帰、インカレ出場」という大きな目標を設定。そこから、そのために何をすべきかを細分化していった。

週2~3回のミーティングを約3週間にわたって実施。それぞれが意見を出し合い、議論は白熱した。一度決めた目標を「やっぱり違う」と白紙に戻すこともあったという。話し合ったのは競技面だけではない。小中学生を対象としたクリニックなど、地域貢献活動にも取り組むことを決めた。

この濃密な時間が、今季の筑波を形作っている。

意見を言うことに慣れてきたのか、4年生はこれまで以上に自分の考えを共有するようになり、それが次第に習慣化した。時には「あいつはもっと練習しているぞ」と互いに指摘することもある。

その姿を見た下級生も遠慮せず、自分の考えを発信する。上級生から下級生へ、そして下級生から上級生へ――。意見を交わす文化が、チームの組織力を高めている。

「4年生や上級生だけじゃなくて、下級生もどんどん発信してくれます。(#3金山)颯(1年)とか(#0髙田)将吾(2年)も『ミーティングしましょう』と言ってくれるので、チームの活気や仲の良さは、今年は目に見えていいと感じています」


今季は積極的なコミュニケーションが組織力向上につながっている

4年生が背中で示す「自分たちがやる」

今季のリーグ戦では、金山というゴールデンルーキーの活躍も目立つ。その一方で、天内と同じ思いを持つ4年生が要所を締め、勝ち星を積み重ねている。

8月26日の専修大戦では、リードを詰められた場面で#6副島成翔や#14坂本康成がスコア。最後まで逆転を許さず、勝利をつかんだ。

「『自分たちがやらないといけない』と自覚していて、それを実際にプレーで体現してくれています。キャプテンとしては本当にそういう存在が心強いし、4年生がしっかり引っ張っているチームです」

天内がそう語るように、今季の筑波にはコート内外で4年生がチームを引っ張る姿がある。

「創る」に込めた、伝統への覚悟

今回のミッションに「創る」という言葉を選んだのには、理由がある。

「長い歴史の中で、強くあり続けた中で、筑波らしい良い文化は自分も感じていましたが、去年負けて2部に落ちてしまった事実が残ってしまいました。ということは、やっぱりどこかを変えなきゃいけないです。今までの良いところを残しつつ、自分たちで新しい文化、新しい土台を創っていこうとしています」

受け継ぐだけではなく、自分たちの手で新たな筑波を創る。

1年ごとに学生が入れ替わる高校、大学において、伝統の継承は決して簡単ではない。それでも、後に筑波大バスケ部を振り返ったとき、「この1年があったから」と思えるような1年を、彼らはつくろうとしている。

筑波は第10節で江戸川大に敗れたものの、1巡目を10勝1敗の首位で終えた。

降格という大きな転換点を経て、筑波がどんなチームを創り上げるのか。その答えは、これからのコート内外で示されていく。

「結果もですが、その結果に見合ったオフコートの行動も気にしています。2部優勝して、昇格して良かったなと思える代になればいいなと思います」

筑波を引っ張るキャプテンは、力強く、未来予想図を語った。


仲間に声掛けする天内(中央)

文・写真/磯野雄太郎(月刊バスケットボール)

PICK UP

RELATED