月刊バスケットボール9月号

Bリーグ

2026.09.16

「選手の強みを生かす」「コンセプトを入れていく」──“桶谷流”で古豪復活を目指す川崎ブレイブサンダース

復活を期する川崎ブレイブサンダースが、いよいよ本格始動した。

今オフに日本代表ヘッドコーチの桶谷大氏を新指揮官に迎え、アレックス・カーク、マット・ボンズ、松山駿といった実力者を補強した川崎。過去2シーズンは、ネノ・ギンズブルグHCの下で素速いトランジションから走るバスケにシフトチェンジしたが、なかなか成果を残せなかった。

「古豪復活」

桶谷HCは自身の就任会見で、その思いが強かった川崎の立て直しを、大きなモチベーションとしたことを明かしている。

同会見では、チーム合流初日ということもあり、どのようなスタイルで戦っていくのかの明言を避けた桶谷HCだが、一つ大切にしていたのが「いるメンバーの長所をしっかりと生かしながら、総合力を高めていくバスケ」だ。琉球ゴールデンキングスでのそれは、ジャック・クーリーとカークを中心としたインサイドゲーム。両者の強みを最大限に生かし、彼らの他にもリバウンドやフィジカルの肉弾戦に優れた選手をそろえた。そのスタイルを磨き上げたことが5年連続のファイナル進出と、うち1回の優勝につながっている。

9月11日に行われた公開練習後のインタビューでも、桶谷HCは同じことを繰り返す。アップテンポとも、ハーフコートゲームとも決め付けない、「選手の長所を生かすスタイル」をしっかりとできる集団になっていきたい、と。



その上で、練習を見ていてどんな構想が頭にあるのか──。「僕は日本代表でトランジションの練習なんか1回もしたことがないんですよ。でも、走る人がいたら走れると思うので。マット(ボンズ)だったり、ジェイ(ジェイデン・リディ)もどんどん走ってくれます。アレックスもコンディションが今年も良さそうなので、トランジションでは走ってくれると思います。(昨季までの)キングスと比較するわけではないですけど、もう少しそこ(トランジション)で点を取っていきたいかなとは思っています」

桶谷HCの中では、少しずつこのチームの長所を最大化させるイメージが出来上がり始めているのだろう。

その上で、重要なのは「コンセプトをしっかりと入れていくこと」だと語る。そしてそれは、長く練習すればいいというものではない。実際、川崎のチーム練習は「1時間〜1時間15分ほど」というコンパクトさで、日本代表や琉球時代は「もっと短かった」と桶谷HC。「選手たちそれぞれに課題が違います。チーム練習の後に個々でしっかりとワークアウトの時間が取れるように設定しています」と、基本的な共通認識の部分以外は、選手個人のマネジメントに任せる。それが桶谷流なのだ。


川崎に帰還したマット・ボンズ

その中で「トランジションが速いからとかではなくて、ハーフコートでもちゃんと人が動きながらボールも動く。ギャップがなく、それが止まらないようなものをオフェンスでは掲げていて、ディフェンスはどれだけソリッドに守れるかというところのコンセプトがあります」と行き着く先は明確。

今季からキャプテンに就任した米須玲音は、桶谷HCの指導法について「昨季と比べて分解練習が減ったのかなと感じています。すぐに5対0の練習から5対5に入ってずっとやっていくスタイルですね。ネノさんの頃は4対4や3対3が多かった印象です」と変化を話し、その上で「空いている時間に、自主練を何をするかがとても大事になってくると思う」と、桶谷HCが意図する個々の課題と向き合う時間の重要性を実感している様子だった。



新加入選手の多さに加え、桶谷HC自身を含めて日本代表活動でチームを離れる選手が多かったこの夏。取材日時点でもカーク、山内ジャヘル流人、モハメド-アリ・アブドゥル-ラフマンの3人がアジア競技会に出場していた。川崎がチームを完成に近付けていくとすれば、それはレギュラーシーズン60試合を使って徐々に形作っていく作業が必須となる。桶谷HCも「このチームは選手同士の5対5の積み重ねが少ないので、コンビネーションなどはシーズンに入ってからやっていかなければいけないと思う」と、1シーズンを通した長期的なチーム作りを視野に入れている。

新生・川崎ブレイブサンダースがどのような集団としてまとまるか、注目していこう。

写真・文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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