千葉ダービー“シーズン2”の行方——「千葉ジェッツvs.アルティーリ千葉」新時代への期待
9月13日にららアリーナ東京ベイで開催された「ちばぎん PRESEASON GAME 2026 千葉ジェッツvs.アルティーリ千葉」は、同22日(火)に幕を開けるB.プレミア2026-27シーズンにおける「千葉ダービー“シーズン2”」を展望する興味深い機会だった。試合としては、勝敗にことさらこだわる必要のない、またそうするべきでもない、ある意味では選手たちの躍動や、ほぼ満員の観衆が見守った会場の華やいだ雰囲気を純粋に楽しむことができるコンテンツだった。
試合は79-73でアルティーリ千葉が勝利し、終盤ビッグショットを成功させたD.J・ニュービルがMIPに選ばれた。しかしこれは、千葉ジェッツ側の負傷者続出などの状況を踏まえ、クォーターを8分で終える特別ルールでの結果。一喜一憂するよりも、その中で最後まで熱戦を演じた両チームをたたえ、きたるべきレギュラーシーズンでの健闘に思いを馳せたファンの方が多かったのではないだろうか。
千葉市を拠点とするアルティーリ千葉の誕生以来、両チームは、「いつか直接対決を見たい」というファンの期待の中で歴史を重ねてきた。両チームが同じB1の土俵に立つことがかなった昨季、それがついに実現。3月28、29日に千葉ポートアリーナで行われた初対戦は1勝1敗だった。初戦は千葉ジェッツの圧勝だったが、2試合目はアルティーリ千葉がルーク・エバンスの劇的逆転ブザービーターで勝利。2試合とも両チームの初顔合わせに騒然とした雰囲気の中で、ファンの期待に十分応える内容だった。
昨季中の対戦はもう一度、5月2、3日のレギュラーシーズンフィナーレで、ららアリーナ東京ベイが舞台だった。千葉ジェッツはチャンピオンシップでのホーム開催がかかっていた。また、12年間にわたりチームをけん引した「超Mr.ジェッツ」こと西村文男が、レギュラーシーズン最後の出場機会を迎えていた。一方のアルティーリ千葉も、クラブ創設からキャプテンを務めてきた大塚裕土がこの連戦を最後に引退という大きな意義を持つ試合。1勝を挙げられれば初めてにして最後のB1の舞台で20勝に手が届くという状況でもあった。
結果は千葉ジェッツが2連勝して、その後のクォーターファイナルのホーム開催権を手にした。アルティーリ千葉はシーズン20勝に手が届かなかったが、大塚がキャリアフィナーレを飾るシリーズの初戦で3Pシュートを13本中7本成功させて21得点、翌日のゲーム2でも11本中4本成功で14得点とシューターの真骨頂を披露した。西村は2試合とも出場機会が少なかったが、ゲーム2の最後にコートに立ち、最後のポゼッションでシュートを放つ姿をファンに見せることができた。

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昨季の4試合で、両チームのファンはお互いの対戦機会に期待通りの特別な心の動きが伴うことを確認できただろう。そして迎えた今月13日の「ちばぎんカップ」は、新しい息吹を感じさせる展開だった。
最大のポイントは両チームの戦力均等化が進んでいることだ。昨季の対戦では、経験値の点で千葉ジェッツに圧倒的なアドバンテージがあった。しかし現在のアルティーリ千葉には、一昨季宇都宮ブレックスを王座に導き、昨季は3年連続MVPに輝いたニュービル、B1で2021、22年に2年連続ブロック王に輝いたアレックス・デイビス、2022年にB1ベストファイブに選出された安藤誓哉が加わり、大塚が去った後のチームにB1での経験値やベテランに期待されるべきリーダーシップが重層化している。アンドレ・レマニスHCは「今季はB3でスタートした当時以来の大きなチームの変化」とする一方で、「個々の選手たちがお互いにやり取りを重ねコミュニケーションを深めてくれていることを非常にうれしく思っています」と話している。連係が成熟度を増した段階での破壊力は相当なものだろう。
千葉ジェッツは、富樫勇樹、渡邊雄太、田代直希、原修太ら日本人選手の核を維持し、外国籍選手はマット・コステロ、ブランドン・ランドルフ、ネイト・ウィリアムズの3人と新規契約を結んだ。帰化枠もウィリアムス ニカとの新規契約。また指揮官はアドリアン・コヴァーチ氏に代わっている。この試合では外国籍がウィリアムズのみという苦しい台所事情。その中でのチームの奮闘ぶりをコヴァーチHCは喜ばしいものととらえ、「一つのまとまりとして攻防両面でプレーでき、アグレッシブかつ忍耐強く攻めることができました。(コンディショニングの点で)理想的な状況ではなく本来のローテーションでプレーできなかったですが、それを言い訳しないでほとんどの時間をしっかりプレーしてくれました」と評価していた。
もうひとつ目を引いたのは千葉ジェッツの瀬川琉久、アルティーリ千葉の渡邉礼音という今年20歳になったばかりの若手の活躍だ。瀬川は特にオンボール・ディフェンスでのプレッシャーの強さが印象的。安藤のターンオーバーを誘うなど攻め気満々のディフェンスが、会場を何度も沸かせた。渡邉はこの試合で14得点を挙げたがこれは、チームの日本人選手の中でトップの数字。コンタクトにも簡単には引かない強さを感じさせ、アッパーデッキの記者席からは半分ダンクに見えた迫力あるレイアップも1本決めた。
この日チームに帯同していなかった千葉ジェッツ・金近廉とアルティーリ千葉・黒川虎徹の存在も楽しみを膨らませる。両者は日本代表としてアジア競技大会に出場しているが、チームに戻ってきたときには大きなプラスをもたらすだろう。今季の対戦では、瀬川と渡邉を含め若手が活躍する時間帯も増えるだろうし、そうなってしかるべきだ。
経験値の点で両チームが互角と言うべきかどうかは見方が分かれるかもしれないが、チームビルディングに必要な注力の度合いと時間も、しっかり準備できたときのポテンシャルも同レベルではないだろうか。リーグの試合日程やレギュレーションがこれまでと大幅に異なり、コンディショニングに関して多様かつ正確な対応が必要になる状況は、創設からの長い歴史を持つ千葉ジェッツにも、比較的短い歴史しかないアルティーリ千葉にも、同じ負荷となることも推察できる。専用の練習施設を持っていることも両チームには共通している。
リーグ全体が新たな歴史を刻むB.プレミアの初年度、千葉ダービーもまた、早くも新しい時代を迎えようとしている。今季は昨季以上に、過去の実績が多くを意味しない。しっかり準備して遂行できた方が勝つというシンプルな構図の中で、どんなドラマが繰り広げられていくだろうか。
両チームがレギュラーシーズン中に最初に対戦するのは11月6日(金)。19時5分にららアリーナ東京ベイでティップオフを迎える。








