アルバルク東京、新体制で「3冠」へ Bプレミア初代王者を目指す

新シーズンへの意気込みを語ったアルバルク東京
ケガに泣いた昨季、今季は健康体で過ごせるか
A東京は昨季、B1東地区を41勝19敗の4位で終え、ワイルドカード4位でチャンピオンシップへ進出。しかし、クォーターファイナルで長崎ヴェルカに2連敗を喫し、シーズンを終えた。ホームタウンを江東区へ移行し、トヨタアリーナ東京元年となった昨季は、ブランドン・ディヴィスやマーカス・フォスターらを獲得して戦力を強化した。しかし、開幕から複数の選手が断続的にケガで離脱。シーズンを通して全員がそろった布陣で戦うことができず、苦しい状況が続いた。それでもチームは粘り強く勝ち星を積み重ね、チャンピオンシップへの切符を手にした。ケガに泣いた昨季。今季は健康体でシーズンを送れるかが一つの達成目標となるだろう。
今季は、男子日本代表のアシスタントコーチを務め、昨季まで三河を率いたライアン・リッチマン氏がヘッドコーチに就任。#3テーブス海、#9安藤周人、#10ザック・バランスキー、#22ライアン・ロシター、#75小酒部泰暉らチームの核となる選手を残し、NBAでのプレー経験を持つ#11キヨンテ・ジョンソン、#47ラクラン・オルブリッチ、千葉ジェッツでエース級の活躍を見せた#1ディー・ジェイ・ホグを獲得した。シューターには、川崎ブレイブサンダースから加入した#17飯田遼を加えている。

川崎から加入した飯田

シュートを打つロシター。昨季の開幕戦は離脱していたため、トヨタアリーナでの開幕戦は自身初となる
速いアルバルクへ、スタイルを刷新
これまでのA東京は、ピック&ロールを軸としたハーフコートオフェンスを特徴としてきた。実際、昨季の平均ポゼッション数(ペース)は全26クラブ中19位の71.8だった。しかし、リッチマンHCの就任に伴い、今季はスタイルを大きく転換。ペースアップを図り、オールコートを駆使したスピーディーなバスケットを目指す。さらにポジションレス化も推進し、誰もがハンドラーにもフィニッシャーにもなり得るチームづくりに取り組んでいる。リッチマンHCが「ディフェンスをハードにする伝統的なアルバルクのスタイルは残していきたい。そこからオフェンスにつなげていく。ディフェンスが強固になってこそ、力のあるオフェンスにつながる」と言うように、持ち味である強固なディフェンスはそのままに、新たなオフェンスシステムを加えることで、A東京は新たなスタイルへと変貌を遂げようとしている。
さらに、「いろいろなスタッツを見る限り、オフェンスでもディフェンスでもレーティングがトップ5に入るチームが優勝する傾向がある。自分たちはそれを目指したい」と攻防両面でリーグトップクラスになることを誓った。
「同じ目標に向けて会話していく」リッチマンHC
会見に先立ち、報道陣には練習の一部も公開。各ポジションに分かれ、約30分間にわたってワークアウトを行った。その中で印象的だったのが、リッチマンHCが選手一人ひとりと言葉を交わす姿だ。練習中も選手と積極的にコミュニケーションを取り、細かな動きやプレーについて確認していた。後に、このコミュニケーションの狙いについて尋ねると、「選手に歩み寄る、コミュニケーションを取る、選手と一緒に戦っていく、みんなで同じ目標に向けて会話していくことが一番大事になる」との答えが返ってきた。会話を中心にチームを作り上げる姿勢がうかがえた。

選手と会話を重ねるリッチマンヘッドコーチ(中央)

特に、テーブス(右)とのシューティングには多くの時間を割いた
EASL、天皇杯、リーグ「全部優勝を狙う」
会見には、リッチマンHCに加え、共同でキャプテンを務める#3テーブス、#9安藤、#75小酒部の3選手、新加入の外国籍選手の#1ホグ、#11ジョンソン、#47オルブリッチの計7人が登壇。それぞれが新シーズンへの目標や意気込みを語った。リッチマンHCは「伝統あるクラブに加入できたことを光栄に思う。毎日成長していくことが大事になる。困難に直面した時は回り道をするのではなく、正面から向き合い、チーム一丸で戦っていく」とあいさつ。
#3テーブスは「伝統のディフェンシブチームは変わらないが、オフェンスでは新たなチャレンジをしていく。EASL、天皇杯、リーグと全部優勝を狙う」と語り、3冠への強い思いを示した。
#9安藤は「8年くらいヨーロッパのバスケをやっていたが、今年は今までとは違うアルバルクのスタイルを見せられると思う。リーグで一番速いチームを目指す」と、新シーズンの変化に言及。#75小酒部も「アルバルクに加入してから(リーグ)優勝からは離れているので、Bプレミアの初代王者を目指したい」と意気込みを語った。

会見に臨んだ選手ら
Bリーグ新時代の幕開け 10年前と同じ日に開幕
A東京は9月22日、TOYOTA ARENA TOKYOで琉球ゴールデンキングスとの開幕戦を迎える。「B.革新」を経て新たな構造となるBリーグにとって、その最初の公式戦となる。10年前の2016年9月22日、代々木第一体育館のLEDコートで華々しく幕を開けたBリーグ。ちょうど10年後の同じ日に、同じカードでBプレミアの開幕戦が行われる。
その大舞台を担うA東京。10年前の開幕戦をテレビで見ていた#9安藤は「ワクワクする試合を見せてくれた。10年前の舞台に立ってくれた選手たちのおかげで今、Bリーグ全体が盛り上がっている。またここからが始まり。大事な初戦ができるのはプレッシャーがかかるが、アルバルクらしいバスケでファンの皆さんを楽しませたい」と、先人への感謝を口にしながら開幕戦への思いを語った。
当時アメリカに留学していた#3テーブスは「ハイライト動画を見たが、LEDコートはすごかった。それまでの(プロバスケの)規模感と違っていて、そこからまた10年経って、(リーグが)また成長してくことが楽しみ」と話した。
10年前のBリーグ開幕から、次の10年へ。新たな指揮官と戦力を迎えたA東京が、Bプレミアの歴史的な開幕戦でどのようなバスケットを見せるのか。初代王者、そして3冠を目指すシーズンが、いよいよ始まる。
文・写真/磯野雄太郎(月刊バスケットボール)








