宮澤夕貴が代表引退を表明、未来を後輩たちに託しWリーグに専念へ

チームを支え続けた「泥臭い覚悟」と圧倒的なリーダーシップ
「自分自身、もうやり切りました」
9月10日、FIBAワールドカップ2026を戦い終えた女子日本代表のキャプテン、宮澤夕貴(富士通レッドウェーブ)が、自身のInstagramで代表からの引退を表明した。
Instagramの投稿の中で、宮澤は「決して楽しいことばかりではありませんでした。それでも、嬉しいことも、悔しいことも、苦しいことも、すべてが自分を成長させてくれました」と素直な胸の内を明かしている。ぱっと思い出されるのは、今年3月のW杯最終予選での苦闘だ。まさかの3連敗を喫した直後、チームは宿舎で「涙のミーティング」を行った。宮澤はその後、「どんな状況でもコミュニケーションを取り、前を向くことが日本の強み」と会見で語っている。涙のミーティングの詳細は、チームの人間しかわからない。それでも、苦境を乗り越える過程において、宮澤の献身的な声かけが果たした役割は決して小さくなかったはずだ。
FIBAワールドカップ本大会。日本は世界の高さとフィジカルに苦しんだ。宮澤自身も大会を通じて自身の不調に悩むシーンがあったが、コーリー・ゲインズHCの熱い言葉をきっかけにマインドを切り替えたと打ち明け、最終戦となった準々決勝進出決定戦のハンガリー戦に向けて「この日本のチームでできる最高のバスケットをぶつけたい」と覚悟を語り、必死のプレーを披露した。
6月のアジア競技大会に向けた合宿中、赤木里帆に「ロールモデル(憧れ)の選手」を尋ねると、真っ先に挙げたのが富士通のチームメイトである宮澤の名前だった。
「良い時も悪い時もチームを引っ張る声を出し、ディフェンスを見て『今こういうプレーが効くからこうしよう』とヘッドコーチに自らアジャストの提案ができる。圧倒的なリーダーシップを一緒にやっていて感じるので、見習いたいです」
チームメイトが称えるリーダーシップと戦術眼は、当然ながら日本代表にとってもかけがえのないものだった。それだけに穴は簡単に埋められるものではないだろう。

一方で、女子日本代表としては、前に進まなければならない。ここから2028年ロサンゼルス・オリンピックへ向けた再スタートを切ることになる。
2028年ロサンゼルス五輪の出場権を獲得するためには、まず「FIBA 女子アジアカップ 2027」(2027年7月、開催地フィリピン)で上位4カ国に入って世界最終予選(OQT)への切符を掴み取らなければならない。引退の報告の中で宮澤が「今度は、後輩たちから学ばせてもらうこともたくさんありました」と綴ったとおり、頼もしい後輩たちもいる。その中から、新たなリーダーが生まれ、日の丸をけん引していくことを期待して待ちたい。
とはいえ、宮澤のプレーが見られなくなるわけではない。
「これからは一人のファンとして、日本代表のみんなを全力で応援したいと思います。そして、私はこれからも富士通レッドウェーブで選手としてプレーします」と綴っているとおり、そのプレーは10月31日に開幕するWリーグで引き続き見ることができる。今はただ、彼女が日本代表に捧げた約13年に心からの拍手と感謝を送りたい。

文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)








