月刊バスケットボール9月号

「これからは一試合も負けられない」とみんなで誓い合った/東海大学付属福岡 #8 内田弓愛

「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」は大会2週目を迎えました。アダストリア みと アリーナ(茨城県水戸市)で開催された8月30日の第1試合では、高校女子バスケットボール界屈指の好カードである精華女子高校と東海大学付属福岡高校による福岡県勢同士のライバル対決が実現しました。

両校は福岡県、そして九州を代表する強豪として、これまで幾度となくしのぎを削ってきました。今年度の対戦では、インターハイ福岡県予選決勝、九州ブロック大会決勝ともに東海大学付属福岡が制し、勢いそのままに夏のインターハイでは全国準優勝という輝かしい成績を収めました。精華女子としては、何としても積年のライバルを倒して全国トップクラスの実力を証明したい一戦。一方の東海大学付属福岡にとっては、インターハイ準優勝の矜持を示し、リーグ戦の初陣を白星で飾りたいゲームとなりました。

しかし、試合は立ち上がりから予想だにしない一方的な展開となりました。精華女子の鋭い出足に対し、東海大学付属福岡は完全に後手に回ってしまいます。精華女子は開始早々、#6 安藤優愛選手(169cm/1年)と#14 後藤帆乃果選手(172cm/2年)が立て続けに3Pシュートを射抜いて9-0のランを見せると、勢いそのままにアウトサイドから猛攻を展開。第1クォーターだけで計7本もの3Pシュートを決めました。対する東海大学付属福岡は、残り3分を切るまで#20 ニエ カディジャ ファール選手(189cm/3年)のフリースロー1点のみに抑え込まれ、5-29という24点もの大差をつけられることになってしまいました。

コートサイドで戦況を見つめていた宮崎優介コーチは、点差が離れる苦しい時間帯にあってもタイムアウトを請求しませんでした。「ボールマンとのマッチアップの間合いの問題でしたから、マッチアップしている選手自身が責任を持って対応していくべきだと伝えたかったんです」と指揮官が振り返ったように、あえて選手たち自身にコート上で気付かせ、奮起を促したのです。

キャプテンの#8 内田弓愛選手(175cm/3年)も、立ち上がりの重さをこう振り返ります。「精華女子さんは今日が2試合目で、自分たちは本大会の初戦でした。昨年は『U18日清食品ブロックリーグ』で戦っていましたし、このトップの舞台を経験しているのは#11 豊田麻莉選手(160cm/3年)とファール選手くらいで、1・2年生はもちろん、自分も一昨年はプレータイムがなかったので、華やかな舞台の雰囲気にのまれてしまい、気持ちが引いてしまっていました」。

第2クォーターに入ると、#10 工藤結心選手(172cm/2年)が3Pシュートで口火を切ると、豊田選手が果敢なドライブと3Pシュートで加点。ディフェンスでもプレッシャーを強め、相手の足元へ激しく間合いを詰めていきます。

精華女子もインサイドの要である#42 ブバ アイシャ エジネ選手(188cm/2年)や安藤選手を軸に対抗しますが、東海大学付属福岡は内田選手が流れを打ち切る3Pシュートを沈め、さらに工藤選手が続いて追撃。33-48と15点差までビハインドを縮めて前半を折り返しました。

迎えた後半、東海大学付属福岡のディフェンスのギアがさらに上がります。攻めてはファール選手のミドルシュートで点差を1桁に縮めると、豊田選手らの連続得点で52-55とわずか3点差に詰め寄って第3クォーターを終了しました。

第4クォーターは一進一退の息詰まる攻防となりました。先行する精華女子がエジネ選手のインサイドや後藤選手の長距離砲で突き放しにかかれば、東海大学付属福岡は内田選手がオフェンスの起点となって味方のゴールをアシスト。さらにファール選手からのパスを内田選手がきっちりと沈めるなど、息の合った連携で食らいつきます。

そして残り3分8秒、ファール選手がインサイドで技ありのシュートを決めて66-67の1点差。精華女子がタイムアウトを取った直後、内田選手がボールを奪うと、ファール選手のハイポストシュートが決まり、ついに逆転に成功します。しかし、精華女子も粘り、エジネ選手が意地の同点ゴールをねじ込んで、勝負の行方はオーバータイムへと持ち越されました。

延長に入ると工藤選手が気迫のバスケットカウントをもぎ取ると、続いて内田選手が3Pシュートをリングに突き刺します。さらに80-80と同点の場面では、スティールに成功すると自らファストブレイクに走ってレイアップを決めました。最後まで集中力を切らさずハードなディフェンスを続けた東海大学付属福岡が、86-83で逆転勝利を飾りました。






序盤の劣勢を跳ね返したこの試合で、要所を締めるスティールや勝負どころでのシュートなど攻防両面において存在感を放った内田選手は、試合後に次のように振り返りました。
「自分はみんなに『ついてこい』というようなグイグイ引っ張るタイプではなく、1・2年生と3年生の全員で一緒に進んでいくイメージを大切にしています。自分自身、決して自信満々なタイプではありませんし、シュートが入らず落ち込んだとしても、誰よりも声を出して『切り替えていこう』と前を向く存在でありたいと思っています」。

宮崎コーチも「福岡県大会の時から『ここぞ』という場面で思い切ってプレーし、数字に残る結果を出してくれています。リーグ戦を通して40分間それをやり切れる力を身に付け、チームの確固たるスコアラーへと成長してほしい」と、信頼と期待を寄せています。

「精華女子さんとは今年度もう10試合目です。それまでは互角でしたが、福岡県の決勝、九州大会決勝と勝ったことで『これからは一試合も負けられない』とみんなで誓い合っていました。絶対に負けたくないという強い気持ちが勝利につながったと思います。今後は3Pシュートの確率をもっと高め、ドライブやアタックも増やして、どんな相手からでも得点が取れるオールラウンダーになってチームを勝たせたいです」と口にした内田選手。

立ち上がりの大劣勢を乗り越え、ライバルとの激戦を制した経験は、チームにとってもキャプテンにとっても大きな財産となったはずです。自立と結束を深めた東海大学付属福岡が、この劇的な勝利を糧に「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」の頂点を目指し、力強く突き進んでいくでしょう。





「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」
・オフィシャルサイト
https://u18league.japanbasketball.jp/
・チケット情報はこちら
https://u18league.japanbasketball.jp/watching-top/ticket/
・観戦情報ページ
https://u18league.japanbasketball.jp/watching-top/venue/?ScheduleKey=11948&teamID=0&tab=schedule
・「U18日清食品トップリーグ公式YouTube」「バスケットLIVE」、「スポーツナビ」にて全試合配信
[配信・放送]https://u18league.japanbasketball.jp/streaming/



写真/吉田宗彦、文/磯野雄太郎(月刊バスケットボール)

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