月刊バスケットボール9月号

「起爆剤になり、流れを変えるのが自分の役割」/東山 #8佐々木蒼

8月29日、アダストリアみとアリーナ(茨城県)において「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」の第2週が開催されました。この日の第3試合からは男子の試合となり、帝京長岡高校(新潟県)と東山高校(京都府)が激突しました。

両校には昨年の同大会において忘れられない因縁があります。最終週で顔を合わせた際、帝京長岡が執念の競り勝ちで大会初勝利をつかみ取った一方で、東山はその敗戦が響いて目前に迫っていた優勝を逃す悔しさを味わいました。さらに今夏、両校ともにインターハイ出場を逃すという苦渋を味わっており、チームの真価が問われるこの「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」に懸ける思いは並々ならぬものがありました。



立ち上がり、帝京長岡の#15ジョベ パ マリック選手(203cm/2年)が鋭い速攻から豪快なダンクを決めて先制します。対する東山もすかさず#7新井伸之助選手(188cm/3年)が3Pシュートを沈めて応戦しました。この日の東山は、2年生エースの佐藤久遠選手が不在。主軸を欠くなかで、東山を率いる大澤徹也コーチは、スターターの#13吉本拓志選手(184cm/1年)をはじめとする1年生たちを序盤から積極的にコートへと送り込みました。一方、インサイドの要である#9ウェトゥ ブワシャ エノック選手(203cm/3年)が早々に3つ目のファウルを犯してベンチに下がるアクシデントに見舞われます。この機を逃さない帝京長岡は、#5小笠原立騎選手(185cm/3年)が強気のドライブでインサイドをこじ開けるなど主導権を握り、22-14と帝京長岡が8点リードして第1クォーターを終えました。





第2クォーターに入っても帝京長岡のプレッシャーの前に東山は我慢の展開を強いられ、点差は一時15点にまで広がります。重苦しい空気が漂う中、この窮地を救うべくコートに送り込まれたのが、東山の1年生シューター、#8佐々木蒼選手(172cm/1年)でした。

ベンチから出場した佐々木選手は、コーチや先輩たちからの「思い切ってどんどん打ってこい」という激励を胸に、迷いなく放った最初のロングシュートをリングに吸い込ませます。「1本目が気持ちよく入ればリズムに乗れる」と振り返ったとおり、そこから圧巻のシュートショーが幕を開けました。相手ディフェンスのわずかな隙を見逃さず、次々とネットを揺らします。佐々木選手はこの第2クォーターだけで4本の3ポイントシュートを含む15得点をマーク。劣勢だった東山を一気に押し戻し、38-41の3点差まで猛追して前半を折り返しました。

後半、ファウルトラブルから復帰したエノック選手がゴール下で存在感を示し、吉本選手の鋭いレイアップで44-43とついに東山が逆転に成功します。ここからは両者一歩も引かないハイレベルなシーソーゲームが展開されました。

58-59と東山の1点ビハインドで迎えた勝負の第4クォーター、再び佐々木選手が勝負強さを発揮します。勝負どころで3Pシュートを連続で沈め、幾度となくチームに活気をもたらしました。しかし、帝京長岡も小笠原選手の3Pシュートなどで応戦。そして、キャプテン#4春山虹太選手(168cm/3年)が逆転の3Pシュートを沈め、最後は81-77で帝京長岡が逃げ切り、昨年に続く白星を挙げました。

惜しくも勝利には届かなかったものの、最大15点差を跳ね返す原動力となった佐々木選手の鮮烈なパフォーマンスは、会場に大きな衝撃を与えました。

倉敷南中学校(岡山県)時代から高い得点力を誇っていた佐々木選手ですが、高校バスケの扉を開けた当初は、高さやフィジカルの強さに圧倒され、思うようなプレーができず苦悩する日々が続いたといいます。その壁を乗り越えるため、佐々木選手は武器である長距離砲を徹底的な自主練習でさらに研ぎ澄まし、ディフェンスからハードワークする泥臭い姿勢を身体に染み込ませてきました。「途中出場から起爆剤になり、流れを変えるのが自分の役割。ディフェンスでハッスルして、シュートを決めて自分の役割を全うしたかった」と語るとおり、与えられた役割を果たすばかりか、期待以上の活躍を見せました。

佐々木選手が目指す理想像は、現在チームを引っ張る先輩の佐藤選手です。「佐藤さんは2年生でありながらチームを力強く引っ張り、メンタル面でもスキル面でもすばらしい選手。自分も学年に関係なく、チームを引っ張っていける存在になりたいです。今日は外からのシュートだけになってしまったので、今後は3Pシュートをフェイクにしてインサイドへ切り込むなど、内外両方で得点できるスコアラーになりたい」と力強く前を見据えました。

大澤コーチもまた、このルーキーの物怖じしない姿勢を高く評価し、大きな期待を寄せています。
「佐々木は気持ちの強さがあり、チームに勢いをもたらしてくれる選手です。本当は最後まで温存しておいて勝負どころで爆発させたかったのですが、前半の苦しい状況で頼らざるを得ませんでした。今後は相手の警戒が強くなったときに何ができるかが重要になります。アウトサイドだけでなく、多彩な引き出しを身につけ、将来的にはポイントガードとしてもチームを勝たせられるオールラウンドな選手へ成長してほしい」と温かい視線を向けました。

インターハイを逃した悔しさを糧に、実戦での貴重な経験値を積み上げている東山。悔しい敗戦となりましたが、今後のリーグ戦を戦っていく過程で、選手個々の成長を促し、大きなチーム力を作り上げていくに違いありません。同時に、恐れを知らない1年生スコアラーが描くこれからのストーリーにも興味は尽きません。



「U18日清食品トップリーグ2026 ディビジョン1」
・オフィシャルサイト
https://u18league.japanbasketball.jp/
・チケット情報はこちら
https://u18league.japanbasketball.jp/watching-top/ticket/
・「U18日清食品トップリーグ公式YouTube」「バスケットLIVE」、「スポーツナビ」にて全試合配信
[配信・放送]https://u18league.japanbasketball.jp/streaming/



写真/吉田宗彦、文/飯田康二(月刊バスケットボール)

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