八村塁、代表復帰戦で貫禄の22得点「ケミストリーを崩さないように」慎重な姿勢も「見て学ぶ」「練習中ははしゃいでいる」示すリーダー像

ゆったりと、まるで時間の流れが遅くなったかのように映った──。
男子日本代表は国際強化試合2026(東京大会)で韓国と激突。ゲーム1は88-68で快勝した。注目を集めたのはパリ・オリンピック以来2年ぶりの代表復帰となった八村塁と河村勇輝だったが、中でも八村への注目度は別次元だった。
彼がコートに入ってきた瞬間、会場の空気が熱を帯びたように感じられた。いざ試合が始まると、彼のプレーは冒頭のような余裕を感じさせるものだった。1プレー目で得意のミドルレンジジャンパーを鮮やかに決め、次のプレーで河村のキックアウトパスを受けて45度から3Pシュートを成功。西田優大の得点を挟んで次のプレーでは再び同じ位置から3Pを沈めた。

ファーストポイントとなったジャンパー
淡々と、しかし明らかな「格の違い」を見せ付けた立ち上がりの2分間。すでに会場のボルテージは最高潮に達していた。「ちょっと1人のファンになってしまった(笑)」。ベンチで彼のパフォーマンスを目の当たりにした同い年のシェーファーアヴィ幸樹がこう振り返るように、誰もが見入るような時間帯だった。
八村を中心にスタートダッシュに成功した日本は、11-0のラン。セカンドユニットに切り替わった時間に韓国の追い上げに遭ったが、それでもリズムは日本にあった。18-15で迎えた2Qは、日本は再び八村の得点でクォーターをスタートさせると、さらに八村の3Pとジョシュ・ホーキンソンの得点で突き放す。韓国がタイムアウトを取った後も馬場雄大や河村も得点で続き、前半で46-27の大量リードを作った。シェーファーや高島紳司、富永啓生、佐々木隆成らも随所に持ち味を発揮した日本は、後半もリードを保ったまま20点差の快勝を収めた。
「最初の出だしが良い感じで、そこから流れも変わりながら、しっかりと引っ張って最後まで戦えた。得点だけじゃなくてディフェンスでもやるべきことをしっかり抑えながら、この試合をやっていたところもあったと思うので、またフィルムなどで課題を見て、明日の試合につなげていきたい」

八村はこう試合を振り返った。約24分の出場で22得点、3Pは3/6の高確率だった。Window4に向けてギアを上げていくべく戦った1試合目としては、上々の滑り出しと言っていいだろう。一方で、長く代表活動に参加できていなかった自身と河村が合流することで、「今まで桶谷コーチが考えてきたバスケを崩さない」ようにと意識している。「日本代表はチームバスケなので、その中で僕らが入って今まで桶谷コーチが考えてきたバスケを、ケミストリーを崩さないように。プラスのパワーが、僕らの今日の試合で(見せた)得点であったりとか、フィジカルのところで出せたんじゃないかなと思います。そういうところを意識しながら、これからもプレーしていきたいなと思います」
ただ当然、圧倒的に突出した存在である八村が合流することで、合宿の空気も変わる。特に若手は簡単には近寄りがたいほどの、彼のオーラを感じているに違いない。最年少21歳の川島悠翔は「オーラにビビっちゃって(笑)」とチームメイトながら別格の存在感を放つ八村を表現した。そういったことを察してか、あるいは自然にか、八村は「練習でははしゃいでいますよ」とシェーファーは語る。「彼が意図しているのかは分からないです。多分、もともとのキャラだとは思いますけど、彼はNBAの最前線でずっとやり続けている、日本の歴史を見ても断トツの選手です。そういう選手が入ってきてムスッとしていたら空気も重くなってしまいますよね。でも、彼は入ってきてすごく明るく、僕をイジッたりして雰囲気を良くしてくれている。それによってチーム全体としてもすごく良い雰囲気になるので、そこはありがたいですね」

シェーファー(左)と八村は彼らが10代の頃からの付き合い
八村とは旧知の仲だからこそ、シェーファーは彼からイジられるほどの関係値を築けている。それがある種、八村とほかの選手との橋渡しになっている面もあるだろう。この試合でも川島の得点後に、ベンチから笑顔で彼を迎える八村の姿が印象的だった。
他方で、いざプレーとなると彼は多くを語らない。この日の試合前、八村とペアを組んでウォームアップを行っていたジェイコブス晶は、「プレーを見て学んでいます。少し話すこともありますけど、(言葉での)アドバイスというよりも、毎日マッチアップしてどうプレーしているのか。そういうのはライブで学ぶのがベストだと思う」と話していた。今回の韓国戦のロスターのうち、半分以上の8人が八村よりも年下。彼なりのリーダー像も徐々にチームに浸透していくだろう。

試合前に八村とウォームアップをこなすジェイコブス
来るWindow4やその先のFIBAワールドカップ、さらにその先にあるロサンゼルス・オリンピックを見据える上で、このタイミングで八村と河村が合流する機会を得たことは、彼ら自身にとっても、チームにとっても非常にポジティブな要素だ。2人の合流によるメリットを改めて尋ねられた桶谷HCは、「やはり、チームでなかなか点が取れない時間帯に個で打開できるところ。それがチームとしても強くなるには、個の尖った部分がないとチーム力は上がっていかない。これぐらい尖っている2人がいることで、自ずとチームの総合力が上がってくると思っています」と言い、タレントをまとめ上げるこのミッションを「チャレンジ」と表現した。「まだ練習をやって短いので、これからどれだけそこを積み重ねていって、総合力として大きい輪を作れるか。それが僕自身のチャレンジでもあるし、代表のチャレンジになってくると思います」

桶谷HCは試合中に何度も八村とコニュニケーションを取っていた
八村は短期間でのチーム作りに自信を見せる。「NBAでもそうですし、アメリカに行くと短い時間でどうやってチームを作って勝っていくか(を考えるの)が普通なので、僕らはそれに慣れてると思います」と言い、現体制、メンバーとの関係についても「桶さんみたいなすばらしい監督がチームをまとめることができると思うので、そこは問題ないと思います。その中で東京オリンピックもそうですし、彼(河村)ともやってきたり。今まで一緒にやってきた選手も集まっている中でやっているので、ケミストリーの問題は今はないと思います」
まだまだ合流から日が浅く、連係ミスなどが目立つシーンも見られたが、それは時間が解決していくだろう。今はまだ八村への遠慮が見られる何人かの選手たちも、これから合宿を重ねていけばより思い切りの良いプレーを見せてくれるはずだ。特に序盤のインパクトを含め、八村合流後の初陣は、大きな期待を抱かせるものだった。




男子日本代表は国際強化試合2026(東京大会)で韓国と激突。ゲーム1は88-68で快勝した。注目を集めたのはパリ・オリンピック以来2年ぶりの代表復帰となった八村塁と河村勇輝だったが、中でも八村への注目度は別次元だった。
彼がコートに入ってきた瞬間、会場の空気が熱を帯びたように感じられた。いざ試合が始まると、彼のプレーは冒頭のような余裕を感じさせるものだった。1プレー目で得意のミドルレンジジャンパーを鮮やかに決め、次のプレーで河村のキックアウトパスを受けて45度から3Pシュートを成功。西田優大の得点を挟んで次のプレーでは再び同じ位置から3Pを沈めた。

ファーストポイントとなったジャンパー
淡々と、しかし明らかな「格の違い」を見せ付けた立ち上がりの2分間。すでに会場のボルテージは最高潮に達していた。「ちょっと1人のファンになってしまった(笑)」。ベンチで彼のパフォーマンスを目の当たりにした同い年のシェーファーアヴィ幸樹がこう振り返るように、誰もが見入るような時間帯だった。
八村を中心にスタートダッシュに成功した日本は、11-0のラン。セカンドユニットに切り替わった時間に韓国の追い上げに遭ったが、それでもリズムは日本にあった。18-15で迎えた2Qは、日本は再び八村の得点でクォーターをスタートさせると、さらに八村の3Pとジョシュ・ホーキンソンの得点で突き放す。韓国がタイムアウトを取った後も馬場雄大や河村も得点で続き、前半で46-27の大量リードを作った。シェーファーや高島紳司、富永啓生、佐々木隆成らも随所に持ち味を発揮した日本は、後半もリードを保ったまま20点差の快勝を収めた。
「最初の出だしが良い感じで、そこから流れも変わりながら、しっかりと引っ張って最後まで戦えた。得点だけじゃなくてディフェンスでもやるべきことをしっかり抑えながら、この試合をやっていたところもあったと思うので、またフィルムなどで課題を見て、明日の試合につなげていきたい」

八村はこう試合を振り返った。約24分の出場で22得点、3Pは3/6の高確率だった。Window4に向けてギアを上げていくべく戦った1試合目としては、上々の滑り出しと言っていいだろう。一方で、長く代表活動に参加できていなかった自身と河村が合流することで、「今まで桶谷コーチが考えてきたバスケを崩さない」ようにと意識している。「日本代表はチームバスケなので、その中で僕らが入って今まで桶谷コーチが考えてきたバスケを、ケミストリーを崩さないように。プラスのパワーが、僕らの今日の試合で(見せた)得点であったりとか、フィジカルのところで出せたんじゃないかなと思います。そういうところを意識しながら、これからもプレーしていきたいなと思います」
ただ当然、圧倒的に突出した存在である八村が合流することで、合宿の空気も変わる。特に若手は簡単には近寄りがたいほどの、彼のオーラを感じているに違いない。最年少21歳の川島悠翔は「オーラにビビっちゃって(笑)」とチームメイトながら別格の存在感を放つ八村を表現した。そういったことを察してか、あるいは自然にか、八村は「練習でははしゃいでいますよ」とシェーファーは語る。「彼が意図しているのかは分からないです。多分、もともとのキャラだとは思いますけど、彼はNBAの最前線でずっとやり続けている、日本の歴史を見ても断トツの選手です。そういう選手が入ってきてムスッとしていたら空気も重くなってしまいますよね。でも、彼は入ってきてすごく明るく、僕をイジッたりして雰囲気を良くしてくれている。それによってチーム全体としてもすごく良い雰囲気になるので、そこはありがたいですね」

シェーファー(左)と八村は彼らが10代の頃からの付き合い
八村とは旧知の仲だからこそ、シェーファーは彼からイジられるほどの関係値を築けている。それがある種、八村とほかの選手との橋渡しになっている面もあるだろう。この試合でも川島の得点後に、ベンチから笑顔で彼を迎える八村の姿が印象的だった。
他方で、いざプレーとなると彼は多くを語らない。この日の試合前、八村とペアを組んでウォームアップを行っていたジェイコブス晶は、「プレーを見て学んでいます。少し話すこともありますけど、(言葉での)アドバイスというよりも、毎日マッチアップしてどうプレーしているのか。そういうのはライブで学ぶのがベストだと思う」と話していた。今回の韓国戦のロスターのうち、半分以上の8人が八村よりも年下。彼なりのリーダー像も徐々にチームに浸透していくだろう。

試合前に八村とウォームアップをこなすジェイコブス
来るWindow4やその先のFIBAワールドカップ、さらにその先にあるロサンゼルス・オリンピックを見据える上で、このタイミングで八村と河村が合流する機会を得たことは、彼ら自身にとっても、チームにとっても非常にポジティブな要素だ。2人の合流によるメリットを改めて尋ねられた桶谷HCは、「やはり、チームでなかなか点が取れない時間帯に個で打開できるところ。それがチームとしても強くなるには、個の尖った部分がないとチーム力は上がっていかない。これぐらい尖っている2人がいることで、自ずとチームの総合力が上がってくると思っています」と言い、タレントをまとめ上げるこのミッションを「チャレンジ」と表現した。「まだ練習をやって短いので、これからどれだけそこを積み重ねていって、総合力として大きい輪を作れるか。それが僕自身のチャレンジでもあるし、代表のチャレンジになってくると思います」

桶谷HCは試合中に何度も八村とコニュニケーションを取っていた
八村は短期間でのチーム作りに自信を見せる。「NBAでもそうですし、アメリカに行くと短い時間でどうやってチームを作って勝っていくか(を考えるの)が普通なので、僕らはそれに慣れてると思います」と言い、現体制、メンバーとの関係についても「桶さんみたいなすばらしい監督がチームをまとめることができると思うので、そこは問題ないと思います。その中で東京オリンピックもそうですし、彼(河村)ともやってきたり。今まで一緒にやってきた選手も集まっている中でやっているので、ケミストリーの問題は今はないと思います」
まだまだ合流から日が浅く、連係ミスなどが目立つシーンも見られたが、それは時間が解決していくだろう。今はまだ八村への遠慮が見られる何人かの選手たちも、これから合宿を重ねていけばより思い切りの良いプレーを見せてくれるはずだ。特に序盤のインパクトを含め、八村合流後の初陣は、大きな期待を抱かせるものだった。




文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)







