韓国に勝利!献身性で輝きを放つ今野紀花[三井不動産カップ2026(東京大会)]

ディフェンスをキーに韓国に勝利
9月にドイツ・ベルリンで開幕する「FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2026」に向け、国内最後の強化試合となる「三井不動産カップ2026(東京大会)」が8月13日に有明アリーナで開催され、女子日本代表が韓国代表と対戦した。
この試合は本大会へ向けた12名のロスター入りを懸けた重要なサバイバルマッチでもあり、コーリー・ゲインズHCが掲げる「40分間のハードワーク」「ペース&スペースの継続」「ギャングリバウンド」というキーワードを、選手たちがいかにコート上で体現するかに大きな注目が集まった。


日本のスターターは、#26田中こころ、#75東藤なな子、#27林咲希、#10渡嘉敷来夢、#8髙田真希。日本はいきなりバックコートからのプレッシャーで韓国のオフェンス24秒を使い切らせるディフェンスを見せると、その後もターンオーバーを誘発。オフェンスでは#10渡嘉敷がプットバック、バスケットカウントで連続得点すると、#26田中や#59星杏璃の3Pシュートなども決まり、14-0という完璧なスタートを切った。試合後にゲインズHCが「メインはこの試合で出だしから相手を苦しませることだったので、それはできたかなと思います」と振り返った通り、日本が主導権を完全に握る。韓国#12イ・ヘランの3Pシュートで連続得点は止まったものの、ピックアップを速くしてオフェンスを遅らせるなど、攻防でいい流れを作り25-8で1Qを終えた。

2Qに入ると韓国のディフェンス強度も上がり、1Q終盤から日本のシュートがリングに嫌われ始める時間帯もあったが、#27林が3Pシュートを連続で沈めて嫌な流れを断ち切る。相手のシュート成功率が上がっても、ボールマンに対する粘り強いディフェンスは崩れず、オフェンスに転じれば#8髙田の3ポイントプレー、#52宮澤夕貴、#59星らが代わる代わる得点。45-27とリードを保ってハーフタイムを迎えた。前半、日本は2Pシュートが48.0%(12/25)、3Pシュートが50.0%(6/12)と高確率で決まり、課題としていたリバウンドでも20-13と相手を圧倒した。

しかし、3Qは逆襲を食らう。開始1分強、日本は#13町田瑠唯のパスから#27林がコーナースリーを沈めて初得点を奪う。ところが韓国はピックプレーでオープンを作ってからのシュートや、フラッシュして受けてからの展開など戦術が機能し始める。#9イ・ソヒや#3カン・イスルに3Pシュートを効果的に沈められ、このクォーターは日本の12-18。57-48と9点差まで詰め寄られて3Qを終えた。それでも4Q、#3馬瓜ステファニーが積極的なペイントアタックから得点につなげ、#26田中の3Pシュートなどで着実に加点。このクォーターを20-11とし、最終スコア77-59で快勝を収めた。

日本は#3馬瓜の13得点、#26田中の10得点を筆頭に出場全員が得点を記録。また、出場全選手が10分台のプレータイムと、タフな戦術を見据えたタイムマネジメントも光る試合となった。チームとしては2Pシュート成功率45.5%(20/44)、3Pシュート成功率42.9%(9/21)をマーク。強化を進めてきたリバウンドは韓国より11本多い39本をもぎ取り、ターンオーバーも相手より3本少ない12本だった。

数字には表れない今野の貢献と、ハンドラーとしての役目
快勝を収めたこの試合で、スタッツには残らない部分で存在感を発揮したのが#2今野紀花だ。この日の出場時間は13分3秒、4得点、2リバウンド、2アシスト、1スティールという数字だけを見れば、決して派手な活躍とは言えない。しかし、今代表でチャレンジしているハンドラーとしての役割も見事にこなし、的確にパスを配給。「いいリズムでバスケットをし続けること、いいリズムを作ることを意識していました」と本人が振り返る通り、チームを落ち着かせる役割を担った。

また、クォーターの終盤には、しっかりとクロージングの役割も任された。これについて#2今野は「全く何も聞いていなかったんですけど、毎クォーター、クロージングで出させてもらって。終わり方というのは本当に大事なので、ああいう風に出されたからにはしっかり終わりたいと考えていました」と強い責任感を口にする。さらにディフェンス面でも、相手の攻撃の起点に対し高い位置でピックアップしてテンポを遅らせるなど、指揮官が求める「40分間のハードワーク」を体現。日本の強みであるディフェンスからブレイクという形を作る上で、極めて重要な役割を果たしていた。
会見でゲインズHCは、「色んな選手が1番(ポイントガード)をこなして、ペースをプッシュし継続できることを我々は求めています」とハンドラー陣への要求を強調。「韓国のように常に動くチームを相手にするには、ガードが積極的に交代しないと我々のペースが崩壊してしまいます」と、過酷なディフェンスにおけるロードマネジメントの重要性を語っていた。その指揮官のタフな要求に対し、#2今野は高いレベルで応えてみせた形だ。
熾烈を極めるW杯の12名のロスター争いにおいて、得点力だけでなく、いかにチームのスタンダードを遂行できるかが生き残りの鍵となる。ハンドラーとしての挑戦について「ポイントガードをやる時間帯も試合を増すごとに増えてきています。コーリー(ゲインズHC)も『ステップバイステップで一つずつビルドしていけばいい』と話してくれているので、しっかりビデオを見返して、一つずつ成長していきたいです」と前を向く#2今野。スタッツ以上の貢献度を示し、攻守のつなぎ役として機能する彼女の存在は、今の女子日本代表にとって欠かせないピースとなりつつある。

文・写真/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)







