月刊バスケットボール9月号

「最高の一体感」でアジア制覇へ。大神雄子HCが求める"ラウド"なコミュニケーションと、キャプテン常田亜美の覚悟【女子日本代表】

「ラウド」なコミュニケーションで強豪に挑む


今年9月、32年ぶりに日本で開催される「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」。8月3日に行われた女子日本代表のメディアデーで、大神雄子ヘッドコーチはこう言い切った。「私たちの目標はアジア競技大会優勝。『最高の一体感』で優勝するための挑戦を重ねていく」。

2028年のロサンゼルス五輪や2030年代の日本代表を担う若手有望株が集まったチームは、平均身長175.2cm。「高さ」では決してアドバンテージはない。しかし、大神HCはそこを出発点として戦い方を明確にしている。「ディフェンスもオフェンスも全員がアグレッシブにフットワークを活かすこと。全員がペイントアタックでき、そこからオープンな3Pを打ち切れること」。小さくても、全員が動き続ける。それがこのチームのコンセプトだ。



加えて、指揮官がこだわりたいと明かしたのが「ラウドなコミュニケーション」である。「ただうるさくするのとは違う。『自分がここにいる』『あっちに行って』と、目配せしながら常に喋り続けることが大切」。心理的安全性が高く、世代の近い仲間だからこそ実現できる濃いコミュニケーションが、高さのある相手を崩す武器になる。
サイズで劣るからこそより重要になるインサイドの役割も整理されている。田中平和(トヨタ自動車)に期待するのは、3x3でも磨かれたフィジカルとリバウンドへ飛ぶタイミングの早さ。「チップして50-50のボールを周りが取れるチャンスを作ってくれる。1対1のフィジカルなディフェンスは彼女の武器」と語った大神HC。大脇晴(富士通)も声で引っ張るリーダーシップに加え、ボールへ飛び込む姿勢が光ると評価する。「飛ぶタイミングが早くて、ちゃんとボールに飛び込んでくれる。そういう動物的な本能みたいなものも私は必要だと思っている」(大神HC)。

一方、粟谷真帆(日立ハイテク)には少し異なる役割を担わせる。「ピックして、ガードが吸い込んでくれればポップして外に出る。この距離の長い状況判断は粟谷選手が非常に優れている。ガードがスペースを作れば、オープンショットをしっかり決めきる力がある」。高さがないからこそ役割を明確化し、連動しなければならないというわけだ。





キャプテン常田「自分らしいキャプテン像で⋯」


チームを束ねるキャプテンに選ばれたのは、常田亜美(デンソー)だ。大神HCが信頼を置くのは、勝負どころでのリーダーシップと勝負強さ。「敵として対戦してきて、ずっと嫌だなと思っていた選手」とは、指揮官らしい口ぶりの最大の賛辞だ。



それでも常田自身は「正直、最初はすごく不安だった」と素直に明かす。ただ、所属チームの先輩・赤穂ひまわりからかけてもらった「自分らしくやれば大丈夫」という一言が、背中を押してくれた。目指すのは堂々としたリーダーではなく自分らしいキャプテン像。細かな声掛けとアグレッシブなプレッシャーディフェンスで、チームに火をつける存在でありたいと明かした。

1994年の広島大会以来、実に32年ぶりとなる自国開催。大神HCは「日の丸を背負う責任と覚悟を、プレッシャーじゃなくてモチベーションに変えてほしい」と選手に語りかける。この大会は2028年・2030年への布石でもある。「アグレッシブでトランジションが速く、3Pを決め切る。そういうバスケをお見せできたらいい」、大神HCによる女子日本代表の戦いに注目である。


メディアデーの翌日が赤木里帆の誕生日だったこともあり、サプライズでケーキが登場。チーム全員で祝福するなど、終始良い雰囲気に包まれていた





■女子日本代表 アジア競技大会メンバーおよび概要

■女子日本代表チーム 大会メンバー(12名)
赤木 里帆(PG / 167cm / 27歳 / 富士通 レッドウェーブ)
常田 亜美(PG / 165cm / 26歳 / デンソー アイリス)
岡本 美優(PF / 179cm / 25歳 / トヨタ自動車アンテロープス)
樋口 鈴乃(PG / 164cm / 25歳 / 日立ハイテク クーガーズ)
三浦 舞華(SG / 170cm / 24歳 / トヨタ自動車アンテロープス)
田中 平和(PF / 180cm / 24歳 / トヨタ自動車アンテロープス)
佐藤 多伽子(SG / 176cm / 24歳 / プレステージ・インターナショナル アランマーレ)
三田 七南(SF / 179cm / 23歳 / ENEOSサンフラワーズ)
舘山 萌菜(SF / 178cm / 23歳 / 日立ハイテク クーガーズ)
粟谷 真帆(PF / 182cm / 23歳 / 日立ハイテク クーガーズ)
大脇 晴(PF / 178cm / 22歳 / 富士通 レッドウェーブ)
白石 弥桜(C / 184cm / 20歳 / デンソー アイリス)
【ヘッドコーチ】大神 雄子(トヨタ自動車アンテロープス)
※所属、年齢は発表時点

【大会概要】
名称:第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)
女子バスケットボール(5人制)日程:2026年9月17日(木)〜26日(土)
会場:愛知国際アリーナ

<女子日本代表の過去メダル獲得実績>
【金】1998年、1972年
【銀】2023年、1994年
【銅】2018年、2014年、2010年、2006年、1986年、1982年、1978年






文・写真/広瀬俊夫(月刊バスケットボール)

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