月刊バスケットボール8月号

Bリーグ

2026.07.23

琉球ゴールデンキングスが新指揮官アンソニー・マクヘンリーと目指す、文化継承と原点回帰の「高速バスケット」

7月20日、琉球ゴールデンキングスが2026-27シーズンに向けた新体制発表記者会見を開いた。登壇したのは今季から指揮を執るアンソニー・マクヘンリー氏と、安永淳一GM。

すでに発表されているとおり、今季の琉球はBリーグのヘッドコーチに必要なS級コーチライセンスを持つ穂坂健祐アソシエイトコーチ兼ヘッドコーチと、同ライセンス取得に動くマクヘンリーアソシエイトヘッドコーチ(AHC)の2人体制での指揮となるが、実質的な指揮官はマクヘンリーAHCとなる。

改めて彼の経歴に触れると、大学はNCAAディビジョンⅠのジョージア工科大を卒業。後にバスケットボール殿堂入りを果たす元NBA選手クリス・ボッシュ(元ヒートほか)ともチームメイトになった。琉球にはbjリーグ参入2年目の2008-09シーズンに入団し、その年にチームを優勝に導いた。その後の優勝やBリーグ初年度のLEDコートでの開幕戦も経験。選手としてはBリーグ初年度の16-17シーズンまで琉球でプレーし、その後、信州ブレイブウォリアーズでの6シーズンを経て、現役引退後の23-24シーズンにコーチとして琉球に帰ってきた。背番号「5」は琉球の永久欠番となっている。

bjリーグ時代のマクヘンリー

クラブの創設期から黄金期、そしてBリーグでの現在と、さまざまな歴史を選手としても指導者としても経験しているマクヘンリーAHCの指揮官就任について、安永GMは「彼の考える『キングスはこうあるべきだ、こういう戦い方をすべきだ』というところは、キングスの20年近い歴史の中でも本当にフィットする考え方。Bプレミアに向けて、新指揮官として新しいキングスを見ていただければと思います」と期待を込めた。

昨季までの琉球は、桶谷大HCのもとでジャック・クーリーとアレックス・カークの重量級ツインタワーを軸としたハーフコートバスケットを展開し、唯一無二のアイデンティティーを築き上げた。一方で、このオフにはカークやヴィック・ロー、岸本隆一といった土台となってきた選手の多くが退団。代わって加わった大浦颯太、キーファー・ラベナ、デイビッド・ヌワバら新戦力はより機動力に優れた選手たちだ。

彼らを軸とする今季、琉球が目指すのは「ペースの速いバスケットボール」だとマクヘンリーAHC。「私たちは多くのボールムーブメントを伴う、ペースの速いバスケットボールを計画しています。私たちはこれ(プロスポーツ)がエンターテインメント・ビジネスであることを理解しています。なので、ファンの皆さんが見たいと思うダンクや3Pシュートを織り交ぜ、できる限りエキサイティングな試合にしたいです。沖縄のファンの皆さんが新シーズンを楽しみにしていることを知っているので、最高のブランドのバスケットボールをお見せできるよう努力します」

昨季からの大きな方針転換ではあるものの、琉球にとってそれは新しい試みではない。安永GMは目指すスタイルについて、「マクヘンリーAHCが現役で一番バリバリだった頃、彼が沖縄に来てすぐの頃は走るバスケットボールをやっていて、当時の琉球ゴールデンキングスは『超高速バスケットボールを展開します』と言いながら進んでいたと思います。それにもう一回立ち返って、我々がスピードのあるバスケットボールができるのであれば挑戦したいと掲げて、チーム編成を行いました」と言い、チャレンジではあるものの、原点回帰の選択であることを強調した。

その上で沖縄を愛し、沖縄に愛されるチームであるという、これまで培ってきた文化は変わらないとも話す。

「キングスは文化を積み重ねるチームというか、レンガを一つ一つ積み上げて大きなお城を作るような、そういうチームなんだなと思っています。一人一人のファンが大きな力になり、キングスを押し上げていく。スポンサー、パートナーの皆様もそうです。多くの皆さんが集まった力がキングスだと思っています。強い選手をパッと集めて、スーパーチームになって勝つというのではなくて、キングスのことが好きで、沖縄を愛していて、戻ってきたいと思う人たちが集まってくる。マクヘンリーAHCもそうです。(琉球での)10年間のキャリアが終わって信州で活躍して、また沖縄に戻ってきたいと思ってくれました。山内(盛久)選手もそうです。キングスですばらしい実績を残して外に出て、また沖縄に戻ってきたいと思ってくれた。キングスを経験した人が、クラブを離れたとしてもまたキングスを帰る場所として帰ってこれるような形を大切にしていきたい」

マクヘンリーAHCは2026-27シーズンの具体的な目標として、「44勝か45勝以上を目指したい」と意気込み、「ここ3年は優勝にあと一歩届きませんでした。自分たちはアンダードッグだと思っています。そのメンタリティーを持って、優勝を勝ち取りに行きます」と力強く宣言した。

クラブの象徴だった岸本の退団をはじめ、琉球にとってはBリーグ開幕後で最大の変化が起こったオフと言ってもいいこの夏。それでも揺らぐことのない文化が、彼らを沖縄県民の誇りであり続けさせている。マクヘンリーAHCと歩む新生キングスの戦いが、まもなく幕を開ける。


安永GM(左)とマクヘンリーAHC

写真/琉球ゴールデンキングス、月刊バスケットボール、文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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