W杯へ向けた熾烈なサバイバル! 進化を続ける女子日本代表

さらなる進化へ、日本のスタンダードを引き上げる
9月にドイツのベルリンで行われる『FIBA 女子ワールドカップ2026』に向けて強化が進んでいる女子日本代表チーム。6月30日から始まるオーストラリア遠征を前に同21日、メディアデーを開催した。コーリー・ゲインズヘッドコーチ(HC)は、第2次強化合宿の目的を「日本の強みは粘り強いディフェンスからの素早いトランジションと外角シュートだが、そのスタンダードを上げるため、ディフェンスもオフェンスも新しいアクションに取り組み、日本のスタンダードを高めたい」と、さらにチームを進化させる練習に取り組んでいると語った。

離脱と合流。海外組の参戦で高まる競争
今回の参加メンバーは9月の第20回アジア競技大会に出場する代表のメンバーとの兼ね合いもあり、三井不動産カップ(5月16、17日のラトビア戦)のメンバーから一部変更に。体調不良でラトビア戦ではプレーしなかった司令塔の町田瑠唯は、第2次強化合宿もコンディション不良のため不参加となった。一方、心強いメンバーが新たに加わった。スペインリーグでもまれてたくましくなった馬瓜ステファニー、トヨタ自動車を退職しアメリカ・アリゾナにおいて個人コーチの下でスキルアップに取り組んできた山本麻衣、日本代表のアメリカ遠征から合流した薮未奈海もメンバーに名を連ねた。
そこで、今年の代表についてチームの中で中堅選手となった山本に聞いてみた。「若い選手がどんどん伸びてきているし、先輩方がいい雰囲気を作ってくれてみんなも思い切ってプレーできているのかなと思います。後藤音葉選手に関して言えば、自分の母もバスケットをやっていて、後藤選手の父親(正規/元日本代表、現・浜松開誠館高校監督)と知り合いだったから、日本代表で一緒にできることはうれしいです」と、エピソードを交えながら代表チームの印象を語ってくれた。

日本代表での毎日はサバイバル
ゲインズHCは「どんな選手でも代表のポジションを与えられるものでもないし、自分で奪っていくもの、毎日が競争です。町田選手に関してはコンデション不良ですが、次の合宿参加を目指しています」と、日本代表はサバイバルの場であることを強調していた。そうした中で町田と同じポイントガード(PG)の都野七海は、必死に代表チームの練習に食らいついている。5月のラトビアとの試合後、都野に同じPGの田中こころについて聞いたところ、「歳は一つ下ですけど、リスペクトしています」と話していた。また、成長著しい田中だけでなく、パリオリンピックに出場しながらも悔しい経験をした山本など同じポジションのライバルは多い。そこで、ワールドカップの最終メンバー入りにチャレンジしている都野への突撃インタビューをお届けする。
サイズを言い訳にしない。武器を強みに挑む都野七海
――第2次強化合宿に入り、ご自身のスキルなどで意識しているのはどこですか?
「ゲインズHCが求めるバスケットはスピードが非常に速いので、それを自分自身がしっかり体現できるよう、常にスピードを上げることを意識して取り組めています」
――ガード陣が点を取れるチームの中で、負けられないという気持ちはありますか?
「周りに対して負けているとはあまり思っていません。私の強みは、得点を狙うことと周囲を生かすことのバランスの良さだと思っています。自分で取れる時は取りますし、味方の調子が良ければその良さを引き出せるようにコントロールしたいです。ゲインズHCからも『空いたらリングまでアタックしていい』とずっと言われていますし、空いているのに打たないと『今のは打っていいよ』と言われるくらいです。チャンスを逃さずに狙っていきたいですね」
――もともと得点意識が高いタイプだったのでしょうか?
「得点ファーストのガードでした。点を取ろうと思えば取れるという自信は今もあります。ただ、プロに入ってからは周囲に素晴らしい選手がたくさんいるので、味方を生かす練習をこの3年間徹底してやってきました。それが今、日本代表の中でも生きているのはすごく良いことだと感じています」

――都野選手といえばフローターシュートが大きな武器ですが、始めたきっかけを教えてください。
「ミニバスの時から背が低かったので、通常のレイアップシュートだけですとブロックされることが多かったんです。そんな時に親からフローターシュートのビデオを見せてもらい、教えてもらったのがきっかけです。小さい頃にプレーの選択肢を増やせたことが、今につながっています」
――海外遠征や強化試合などを経て、ご自身のフローターが世界に通用するという手応えはありますか?
「そんなに多く本数を打っているわけではありませんが、自分のタイミングで打てた時は決まっていたので、通用するという手応えはあります。ただ、フローターだけに強くこだわっているわけではありません。大事なのはガードが起点となってペイントエリア内にアタックすること。周りの攻め手がなければ、自分が責任を持って打ち切るという意識を持っています。世界に出れば、サイズが小さいことは関係ありません。気持ちを強く持って、自分にできることをやるだけです。ブレない安定したプレーをするためにも、フローターのようなこれだけは負けないという得意な武器を磨き続けることが、これから先とても重要になると考えています」
――5月のラトビア戦(三井不動産カップ)の第1戦ではオフェンスリバウンドを5本(デフェンスリバウンドは4本)もぎ取るなど、リバウンドに対する意識も感じました。
「リバウンドについてはミーティングでコーチ陣から強調されていました。オフェンスの調子にはどうしても波がありますが、リバウンドのような地道なプレーは意識次第で波をなくせます。誰にでもできる泥臭いことを徹底しようと意識していました」
※ラトビアとの第1戦ではアシスト10も記録している。

――日本代表のガード陣はそれぞれ異なる強みを持っていますが、激しい生き残り競争を勝ち抜くために、どうアピールしていきますか?
「ポジション争いは本当に激しいです。しかし、周囲に流されて自分らしさを見失わないようにすることが大切だと思っています。オフェンス面では点も取れて周りも生かせるバランスの良さ、ディフェンス面ではラトビア戦のように前から激しく当たり、泥臭くリバウンドに絡むこと。この両方を徹底的にやり切ります」
――ワールドカップまであと約2カ月ですが、大舞台への思いを聞かせてください。
「今の代表のプレースタイルにすごくなじんできました。あとは自分らしさを全力で出し切って最終メンバーに残り、その切符を自分の手でつかみ取りたいです」
【今後の女子日本代表のスケジュール】
日本代表は6月30日から7月7日にかけてオーストラリア遠征(試合は非公開)を行い、8月には三井不動産カップで韓国を迎え撃ち、その後、FIBA女子ワールドカップ2026へと臨む。
オーストラリア遠征メンバー
【スタッフ】
チームダイレクター:小栗 弘(公益財団法人日本バスケットボール協会)
ヘッドコーチ:コーリー・ゲインズ(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アシスタントコーチ:宮田 知己(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アナライジングコーチ:伊藤 恭子(ー)
プレーヤーディベロップメントコーチ:ブライアン・フィンリー(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アナライジングスタッフ:有賀 早希(富士通レッドウェーブ)
通訳:下條 海(公益財団法人日本バスケットボール協会)
スポーツパフォーマンスコーチ:栗若 伸一(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレティックトレーナー:荻野 まゆみ(ー)
アスレティックトレーナー:佐々木 夏未(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレティックトレーナー:竹内 里子(ー)
チームマネージャー:古海 五月(公益財団法人日本バスケットボール協会)
チームマネージャー:小松 佳緒里(ENEOSサンフラワーズ)
チーム広報:松本 麻里(公益財団法人日本バスケットボール協会)
【選手】15名
髙田 真希(C / 185cm /36歳 / デンソー アイリス)
渡嘉敷 来夢(C / 193cm / 35歳 / トヨタ自動車 アンテロープス)
宮澤 夕貴(PF / 183cm / 33歳 / 富士通レッドウェーブ)
林 咲希(SG / 173cm / 31歳 / 富士通レッドウェーブ)
馬瓜 ステファニー(PF / 182cm / 27歳 / ー)
山本 麻衣(PG / 163cm / 26歳 / ー)
今野 紀花(SG / 179cm / 26歳 / ENEOSサンフラワーズ)
星 杏璃(SG / 171cm / 26歳 / ENEOSサンフラワーズ)
東藤 なな子(SG / 175cm / 25歳 / トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
平下 愛佳(SF / 178cm / 24歳 / トヨタ自動車 アンテロープス)
朝比奈 あずさ(C / 185cm / 22歳 / トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
薮 未奈海(SF / 178cm / 21歳 / デンソー アイリス)
都野 七海(PG / 159cm / 21歳 / トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
田中 こころ(PG / 173cm / 20歳 / ENEOSサンフラワーズ)
後藤 音羽(SF / 178cm / 19歳 / 東京医療保健大学2年)
※年齢・所属:2026年6月18日現在 ポジション:PG-ポイントガード、SG-シューティングガード、SF-スモールフォワード、PF-パワーフォワード、C-センター
◇三井不動産カップ2026 (東京大会) バスケットボール女子日本代表国際試合
会 場:有明アリーナ (〒135-0063 東京都江東区有明1丁目11―1)
日 時:
<GAME1>2026年8月13日(木) TIPOFF 19:00(予定)
<GAME2>2026年8月14日(金) TIPOFF 19:00(予定)
対 戦:AKATSUKI JAPAN 女子日本代表チーム(10位) vs 女子韓国代表チーム(15位)
※カッコ内はFIBAランキング(2026年4月1日現在)
◇FIBA女子ワールドカップ2026
【大会名】 FIBA 女子バスケットボールワールドカップ2026
【英語表記】 FIBA Women’s Basketball World Cup 2026
【大会期間】 2026年9月4日(金)〜13日(日)
【開催地】 ドイツ・ベルリン
【試合会場】ベルリンアリーナ、マックス・シュメリング・ハレ
【大会方式】 4チーム×4グループによる予選グループフェーズを行い、上位1位が準々決勝進出。
AとB、CとDの隣り合うグループの2位vs 3位で争う準々決勝進出決定戦の勝者がファイナルフェーズ(決勝トーナメント)へ
【大会公式サイト】https://www.fiba.basketball/en/events/fiba-womens-basketball-world-cup-2026
組み合わせ(16か国)※FIBAランキング:2026年4月1日時点
【グループA】日本(10位)、スペイン(6位)、ドイツ(11位)、マリ(18位)
【グループB】ハンガリー(19位)、韓国(15位)、ナイジェリア(8位)、フランス(2位)
【グループC】ベルギー(5位)、オーストラリア(3位)、プエルトリコ(13位)、トルコ(16位)
【グループD】アメリカ(1位)、チェコ共和国(17位)、イタリア(14位)、中国(4位)
試合スケジュール ※予選の日本戦のみ
2026年9月4日(金) vs マリ(会場:ベルリンアリーナ)
2026年9月5日(土) vs ドイツ(会場:マックス・シュメリング・ハレ)
2026年9月7日(月) vs スペイン(会場:未定)
▼日本の過去成績(2010年から4大会連続出場・通算14回出場)
・前回大会(2022年)9位
・過去最高位(1975年)準優勝
※翌1979年大会の6位以降、決勝トーナメント(ベスト8)進出なし

文/飯塚友子









