月刊バスケットボール8月号

「言葉が意味を持てば、伝わり方も変わる」──俳優・飯沼愛さんが大切にするバスケットボールからの学び

俳優の飯沼愛さんは、小学5年生からバスケットボールを始め、ミニバス、中学、高校と本気で競技に打ち込んできた。中学時代には四国大会に進む強豪でプレーし、主力の一人としてディフェンスや3Pシュートで貢献。そんな飯沼さんがバスケットボールを通じて恩師から学んだのが、日々の何気ない言葉や行動に込められた意味をしっかり理解すること。それは、「ルーティンが嫌いだ」という恩師の言葉から来ている考え方で、今の仕事にも大きく役立っているという。

5で出会ったバスケ 誘ってくれた友人に憧れて



──まずは、バスケットボールを始めた年齢と理由を教えてください。

 

小学校5年生のときに同じクラスの友達にミニバスに誘われました。その子がキャプテンだったんですけど、「人数が足りなくて人を集めているから、1回でもいいから体験に来ないか」と言われたんです。それがきっかけで体験に行ったらすごく楽しくて、「入ろう」と思ってそのままチームに入りました。中高も部活でずっとバスケットボールをやっていたので、競技歴は7年間くらいです。

 

──ほかのスポーツはやっていましたか?

 

バスケを始めるまでの5年間くらいは器械体操と水泳をやっていました。その2つを辞めて、次に何かやりたいなと探していたときに、ちょうどキャプテンの子が声をかけてくれたんです。

 

──ボールを使わない個人競技からボールを使う団体競技へと大きく変わりましたね。

 

そうですね。実はバスケを始めるまでは球技が苦手で…(笑)。小学校の授業などでドッジボールやバレーボールをする機会があったのですが、どちらもあまり得意ではありませんでした。最初は球技を克服したい気持ちもあったと思います。ミニバスチームにいる子たちは、同級生も含めみんな楽しい子たちばっかりだったので、体験に行ったときの最初の雰囲気で「楽しいな」と感じました。

 

──どんなプレーが好きでしたか?

 

ディフェンスが好きでした。特に中学生の頃は顧問の先生がディフェンスに力を入れている方で、「ディフェンスは誰でもうまくなれる」と言っていたんです。まず、私の所属していたミニバスの同級生は大会で優勝するほど実力のある子たちばかりでした。その子たちのほとんどが同じ中学校へ進学して、中学では県大会で準優勝して四国大会にも出場しました。中でも私をチームに誘ってくれたキャプテンの子は市の選抜チームでもキャプテンを務めるほど実力のある子でした。

 

チームメイトは私より早くバスケを始めていた子ばかりで、途中から入った私は少し引け目もあったり、試合に出られないときもあったり。どうしてもみんなには敵わないところがあった中で、先生の「ディフェンスなら誰でもうまくなれる」という言葉を聞いて、ディフェンスを特に頑張っていました。

 

──高校最後のインターハイ予選は、県ベスト8まで進んでいますよね。試合にはどれくらい出ていましたか?

 
スタメンだったり、控えだったりという感じで、高校では副キャプテンもやらせてもらいました。



──高校ではどんなプレースタイルでしたか?

 

3Pシュートをよく打っていました。どの試合だったかは覚えていないんですけど、試合が終わる数秒前に3Pシュートを打って逆転勝ちした試合が2回ほどあって、それはすごくうれしくて「気持ち良い〜!」と思った思い出があります。


 

──部活動で一番記憶に残っている出来事は?

 

めちゃくちゃ覚えている大会は、中学最後の四国大会です。最後は徳島のチームと戦って負けてしまったんですけど、対戦した日がちょうど私の誕生日(85日)だったこともあって、特に印象に残っています。みんなガムシャラにずっとボールにしがみ付いて、本当に必死でした。だから、試合が終わったあと「最初からこうやって頑張れば良かったな」と思ったり、自分はまだこんなに頑張れたんだと思ったり、その日はチームのためにも自分のためにも、先生のためにもすごく頑張れた試合でした。

 

──憧れの選手などはいましたか?

 

あまりプロ選手などに詳しくなかったので、憧れというとやっぱり私をバスケに誘ってくれたキャプテンの子ですね。その子に憧れていることは本人にも言ったことがないんですけど、すごくギャップがある子だったんです。普段、制服を着ているときはおとなしい雰囲気なのに、コートに立つと大活躍していてミニバスでも中学でもずっとコートで頑張っていました。私は彼女とよく練習でペアを組んでいたんですけど、すごく真面目に練習していました。中学生だと、先生が見ていないときにサボる子もいる中で、その子はサボらずに真面目に外周を走っていて。そういう姿にすごく憧れて、一緒に走っていました。ペアで練習したことは良い思い出でしたし、負けないように頑張ろうという気持ちも持てて、その子がいたから頑張れたなと思います。


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「私はルーティンが嫌いだ」


──バスケットボールの経験が今、芸能活動に生きていると感じますか?

 

めちゃくちゃ生きています。バスケをとおして学んだことが今の自分の原点になっていると感じることが多いです。特に大切にしている言葉が一つあります。これも中学の先生に言われたものなのですが、その先生はバスケ以外にも挨拶や礼儀もしっかりと教えてくださる方で、「私はルーティンが嫌いだ」とよく話していました。どういうことかというと、例えば「先生に怒られたから謝りに行く」「先輩たちが怒られた後に学校の掃除をしていたから自分たちもやる」みたいなことが先生の言うルーティンです。でも、先生としては「◯◯だから◯◯する」ではなくて、「なぜ怒られて、なぜ謝るのか?」「先輩たちはなぜ掃除をしていたのか?」を考えてほしかったのかなと。当時はそういうことを考える余裕もなくて、ただやっている、言われたから動く、みんながやっているから私も、という悪いルーティンになっていたというか。

 


──言動の意味を理解できていなかった、と。

 

そうです。だから、そもそも怒られた理由もあまり理解しようとしていなかったんです。先生は、そういう私たちを見て「ルーティンは嫌いだ」と言っていたんだと思います。当時、その言葉はそこまで腑に落とせていなかったのですが、今こうやって仕事をさせていただく中で、「ルーティンが嫌いだ」という先生の言葉を自分がすごく大事にしているんだと気付いた瞬間が何度かあったんです。例えば、初対面の方との仕事でも、慣れた現場での仕事でも、朝、現場に入って「おはようございます」と挨拶をするときに、言うだけでスルッと流れちゃうこともあるなと思うんです。

 

でも、今はそれが当たり前にならないように、なぜ「おはようございます」と言うのかを考えるようにしています。「おはようございます」という言葉の中に「今日一日よろしくお願いします」という意味を込める。その言葉の意味をしっかり意識すると、伝わり方も絶対に変わると思うし、相手にもそれがきっと伝わると私は信じています。流れ作業にならないように意識していて、それは先生の「ルーティンは嫌いだ」という言葉から来ている考え方です。なぜそれをするのか、をすごく考えるようになりました。

 

──現在のバスケットボールへの関わり方はどのようなものですか?

 

今の仕事を始めてからはバスケを見たり、プレーしたりする機会が減ってしまいました。でも、同じ香川県出身の渡邊雄太選手などが活躍しているのを見ると勝手に誇らしい気持ちになりますし、この仕事をしていると、バスケ経験者の方と出会う機会が本当に多いなと感じます。よく現場でバスケの話題で盛り上がりますし、私自身もドラマでバスケをするシーンを演じる機会があって。このインタビューや撮影もそうですし、やっぱりバスケは自分にとってすごく身近なもので、ずっと大好きで大事にしていきたいなと思うものの一つ。こうして仕事でバスケに関われてうれしいです。

 

──たまにはプレーしたくなったりもしますか?

 

しますね(笑)。頻度はまちまちですけど、上京してきてからもたまに体育館を借りて、気分転換に一人でバスケをしています。近くにボールやシューズも貸してくれる施設があって、そこでたまに。そういう時間って本当にあっという間で、ボールに触れると夢中になって時間を忘れてしまいます。本当はたくさん人がいた方が楽しいですけど、一人でも十分楽しめるなと思います。

 

でも、「ボールに触れていないとこんなできなくなるんだ」と感じたりもします。フリースローの感覚も分からなくなって全然入らなかったり…(笑)。やっぱり毎日ボールに触れることって大事だなと思いますね。


潜在的に好きだったピンクと水色

──その感覚は経験者なら分かりますね。今回のインタビューはVAYoreLA(バイオレーラ)とのタイアップということで、今日着用しているウェアについても聞かせてください。ご自身でシャツやパンツのカラーを選べる「カスタマイズパーソナルギア」というサービスで作ったものですが、飯沼さんのカスタマイズのポイントは?



 

自分の好きな色で組ませていただきました。もともとピンクと水色が好きで、今回選んだウェアは本当に好みのカラーですごく素敵です。特に、水玉模様のパンツがお気に入りです。思い返せば、ミニバスのユニフォームがピンクで中高はどちらも青系のユニフォームでした。だから、昔から好きだと思っていた この2色も、バスケを通してより好きになったのかもしれないなと、感じました。

 

──潜在的にその2色が好きになっていたのかもしれませんね。

 

そうかもしれません。 今、ピンクと水色を身に付けていて、何だか落ち着きます。実はバスケ関係以外にも小学生の頃のランドセルが水色だったりもしました。

 

──水色のランドセルを背負っている子は多くないですね。

 

レアですよね(笑)。ピンクは上京してから「私、ピンクが好きだったかも」と思い出したんです。それに、仕事でいろいろな洋服を着させていただく中で、ピンクを着てると「良いね」「かわいいね」と褒めていただくことが多くて、ピンクが似合うのかもと思って、そこからピンクばかり選んでいます。

 

──着心地やデザインはいかがですか?

 

着心地もめちゃくちゃ良いですし、さっきバイオレーラのデザイナーの方から「今は短い丈のパンツが好まれている」と聞きました。私は小中高と膝まで丈があるパンツしか履いたことなかったので、短いものを今回初めて履いてみて、「こんなに動きやすいんだ」と驚きました。履いた感じが軽いなと思いました。

 

──では最後に、バスケットボールとの関わり方も含めた、今後の芸能活動の目標を教えてください。

 

まだまだ経験が足りないので、今はとにかく一つ一つ目の前の仕事や作品、役に対して誠実に、真面目に向き合っていきたいです。その中でも、バスケはずっと大好きで自分の原点のようなもの。これからも身近であってほしいなと思うし、今回こうしてバスケに触れる機会をいただけてすごくうれしいです。今後も機会があれば、いろいろなことに挑戦していきたいです。






Profile
飯沼 愛 (いいぬま あい) 
生年月日 2003年8月5日生まれ (23歳)
出身地 香川県

2021年4月にオーディション番組「TBSスター育成プロジェクト『私が女優になる日_』」で全国9000人の中から1位に選ばれ、ドラマ「この初恋はフィクションです」の主演デビュー。その後、ドラマ「パパとムスメの7日間」に主演。2023年にはTBS日曜劇場「VIVANT」で太田梨歩(ブルーウォーカー)役で注目を集める。


<VAYoreLA>
公式HP:https://vayorela.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/vayorela/



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