月刊バスケットボール7月号

48点差の快勝!U18男子日本代表が地元で白星発信[U18アジアカップ東アジア予選]

片峯HCが求めた「シンプルとソリッド」


6月2日から7日にかけて、福岡第一高等学校・第一薬科大学内の都築賴助記念体育館で「FIBA U18アジアカップ2026 東アジア地区予選」が開催されている。今大会は、他地区での予選実施に合わせて急遽開催が決定したもの。これまではランキング順(中国20位、韓国22位、日本24位など)で自動選出となっていたが、実際に予選を行って本戦への出場権を争う形となった。出場する5チーム(日本、中国、韓国、チャイニーズ・タイペイ、ホンコン・チャイナ)のうち、上位4チームが8月にインドで開催される本戦への出場権を得る。

日本代表は6月3日の初戦でホンコン・チャイナを93-45の大差で破り危なげなく1勝目を挙げた。試合後、日本を率いる片峯聡太ヘッドコーチ(HC)は次のように語っている。
「一戦必勝で全勝を目指すことは、チームの明確な目標として掲げています。ただ、私たちの本当の目的地は、8月にインドで開催されるアジアカップ本戦でワールドカップの切符を勝ち取ることです。そのため、今回の予選の4試合では、あまり複雑な戦術や小細工に頼りすぎず、自分たちの持っている地力だけでどれくらい通用するのかをしっかりと推し量りたいと考えています。この4試合で浮き彫りになった課題を真摯に受け止め、インドでの本戦に向けて修正していくことが、私たちの目的です」

全勝を目指しつつも、見据えるのは本戦とその先にあるワールドカップの切符だ。片峯HCがこの初戦で選手に提示したテーマは「シンプル」と「ソリッド」の2点。その意図について「初戦ということもあり、まずは簡単なプレーを徹底しようと伝えました。ディフェンスからリバウンドを奪い、無駄なドリブルをせず走って簡単に得点を重ねる。そうした基本に忠実な『シンプル』さが第一です。また、点差が開くことは想定内でしたが、だからといってプレーが雑になったり、ギャンブルディフェンスを仕掛けたりしてはいけません。高いインテンシティを維持しながら丁寧にプレーし続ける『ソリッド』な姿勢を求めました」と説明する。


峯HCがこの初戦で選手に提示したテーマは「シンプル」と「ソリッド」



短い準備期間が生む課題と、コート上での解決力


初戦の自己評価は「60点から65点程度」(片峯HC)。手応えの一方で、集中力の欠如や緩みには厳しい。さらに、急遽開催が決まった大会のため合同練習は短かった。この急造チーム特有の難しさについて、片峯HCはコート上での解決力を重視する。
「短い合宿期間で、戦術の共通認識に少し曖昧な部分があるのは事実です。しかし、だからこそ自分の能力が海外の相手にどこまで通用するかを試してほしいと思っています。整理されたバスケットボールを表現することだけが全てではありません。コート上で想定外の事態が起きた際、自分たちで判断し解決していくマインドが求められます。国際試合は国内の高校やU18の試合とは異なる独特の緊張感やリズムが存在します。流れにのまれないためにも、選手同士がコート上で目を合わせ、いつも以上に密なコミュニケーションを取り、何をやっているのか互いに理解した状態でゲームを進めることが必要です」


片峯HCは越のリーダーシップや求心力を評価

今大会は選手個々の選考の場でもあり、U17ワールドカップやU18アジアカップへのメンバー入りを目指す選手たちにとって重要なアピールの場である。
「越(圭司)選手の見せたリーダーシップや求心力は、今日のゲームでも周囲の選手に強く伝わっていました。今後は高さへの対応が課題となりますが、コントロールを支える主力の存在感は大きいです」
アメリカのコンコルディア・ルーサラン高(Concordia Lutheran High School of Omaha)でプレーする越は、今季レッドシャツ(練習生扱いで公式戦への出場制限がある選手登録制度)で実戦経験が少なかったが、復帰初戦でブランクを感じさせない動きを披露した。自身のプレーや目標について次のように語っている。
「合宿期間中にコンディションを合わせ、思っていたよりも動けたので良かったです。ただ、明日からはさらに強い相手が来ます。チームにもっと貢献し、全勝して優勝をつかみ取りたいです」
片峯HCは、アタッカーとしてポテンシャルの高い佐藤翔真にも大きな期待を寄せる。
「アグレッシブに攻める能力が極めて高く、前回の合宿から強みを表現できるようになってきています。いかに状況を客観的に捉えてプレーをコントロールできるかが課題ですが、ここをクリアすればU17、U18の両代表で可能性が広がると思います」
これまでの選考合宿で最終枠に残れず、今回が初の代表入りとなった佐藤選手も闘志を燃やす。
「代表に選ばれて本当にうれしいです。課題だったディフェンスやトランジション、3Pシュートの確率向上といった取り組みを評価してもらえたのだと思います。強みであるドライブの精度を磨き、シュートとパスの判断力を高めていきたいです」


今回が初の代表入りとなった佐藤

次なる難関はライバルの韓国代表戦だ。サイズは日本と大差ないが、高いフィジカルとタフネスを誇る。次戦の見通しと今後の決意について片峯HCは語る。
「韓国戦は間違いなく我慢比べのゲームになります。フィジカル面で押し負けず、相手の激しさにのまれないタフさが求められます。チーム全体のスキルや経験値では私たちのほうが少し上回っていると感じているので、丁寧なプレーを遂行し続けたいと考えています。課題をアジャストし、共通認識を高めて臨みます」
短期間の急造チームゆえの課題を抱えながらも、日本代表は一つひとつのプレーに真摯に向き合い、目の前の相手を打破することに全力を注ぐ。この予選での戦いは、彼らがアジア、そして世界の強豪と渡り合うための重要な試金石となる。





■2026年度バスケットボール男子U18日本代表チーム
 「FIBA U18アジアカップ2026 東アジア地区予選」 参加メンバー

【スタッフ】
チームリーダー:井手口 孝 (福岡第一高等学校)
ヘッドコーチ:片峯 聡太 (福岡大学附属大濠高等学校)
アシスタントコーチ:冨山 晋司 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
アシスタントコーチ:水越 悠太 (桜丘高等学校)
スキルコーチ:丸田 健司 (KAGO CLUB)
アナライジングスタッフ:渡邊 敬太 (公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレティックトレーナー:高橋 基樹 (専修大学)
アスレティックトレーナー:竹上 綾香 (立教大学) 
チームドクター:村上 友基 (東京大学整形外科) 
チームマネージャー:髙木 歩幸 (公益財団法人日本バスケットボール協会)

【選手】12名
#4 宮里 俊佑(PG / 179cm / 16歳 / 琉球ゴールデンキングス U18)
#5 山元 珠來(C / 199cm / 16歳 / 福岡大学附属大濠高等学校)
#6 久我 祐仁(SG / 186cm / 16歳 / 福岡第一高等学校)
#7 櫻井 照大(PG / 180cm / 17歳 / 福岡大学附属大濠高等学校)
#8 越 圭司(PG / 163cm / 17歳 / Concordia Lutheran School of Omaha)
#10 マクミラン アレックス(PF / 198cm / 18歳 / 沖縄県立沖縄水産高等学校)
#11 栗本 富美也(PF / 188cm / 16歳 / 福岡大学附属大濠高等学校)
#13 本田 蕗以(SF / 189cm / 17歳 / 福岡大学附属大濠高等学校)
#15 白谷 柱誠ジャック(PF / 194cm / 17歳 / 福岡大学附属大濠高等学校)
#16 中村 文哉(SF / 190cm / 17歳 / 福岡大学附属大濠高等学校)
#17 磯田 陸斗(PF / 197cm / 15歳 / 横浜ビー・コルセアーズ U18)
#18 佐藤 翔真(PG / 186cm / 17歳 / 黒沢尻工業高等学校)



※平均(Average):188.1cm、16.8歳
※所属・年齢:2026年5月27日現在
※ポジション(P):PG-ポイントガード、SG-シューティングガード、SF-スモールフォワード、PF-パワーフォワード、C-センター
■大会概要
【大会名】 FIBA U18 アジアカップ2026 東アジア地区予選
【英語表記】FIBA U18 Asia Cup 2026 – EABA Sub-Zone Qualification Tournament
【英語表記略称】FIBA U18 Asia Cup 2026 – EABA Qualifiers
【大会期間】 2026年6月2日 (火) ~ 7日 (日)
【会場】 福岡第一高等学校 第一薬科大学内 都築賴助記念体育館
(所在地:〒815-0037 福岡県福岡市南区玉川町22-1)
【特設サイト】https://fibau18asiacup2026-eabaqualifiers.japanbasketball.jp/
【配信】https://fibau18asiacup2026-eabaqualifiers.japanbasketball.jp/broadcast/
【日本試合予定・結果】
6月3日(水) ○93-45 ホンコン・チャイナ
6月4日(木)15:00開始予定 vs.韓国
6月6日(土)14:00開始予定 vs.チャイニーズ・タイペイ
6月7日(日)14:00開始予定 vs.中国

■大会概要
【大会名】 FIBA U18 アジアカップ2026
【英語表記】 FIBA U18 Asia Cup 2026
【大会期間】 2026年8月13日 (木) ~ 23日 (日)
【開催地】 インド ・ アーメダバード





写真/山岡邦彦(月刊バスケットボール)、文/飯田康二(月刊バスケットボール)

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