鶴見彩&桂葵——ベテランが語る「FIBA 3×3ワールドカップ2026」への道筋

6月1日から「FIBA 3×3ワールドカップ2026」に挑む
6月1日にポーランド・ワルシャワで開催する「FIBA 3×3ワールドカップ2026」。大舞台を目前に控えた3x3女子日本代表から、チーム最年長として引っ張る鶴見彩と桂葵に話を聞いた。前哨戦となる「ウィメンズシリーズ2026」で浮き彫りになったチームの課題や、ベテランとしての役割、そしてワールドカップへの意気込みとは――。アジアカップやウィメンズシリーズを戦い抜いてきた鶴見と、アゼルバイジャンのチームで独自の経験を積んできた桂。異なる道を歩んできた2人の視点から、日本代表の現状を紐解いた。
鶴見彩「より期待値の高い2Pシュート。その好機を貪欲に作りたい」
アジアカップと直近の2大会(FIBA 3x3ウィメンズシリーズ 2026)を経て、個人の打開力だけでは海外勢に通用しないということを痛感しました。そのため合宿では、コートに立つ4人全員が連動してどう戦うかという、新たなチーム作りに取り組んでいます。これまでは前田(有香)ヘッドコーチの目指すバスケットの枠にはまり過ぎている傾向がありましたが、今はヘッドコーチの戦術をベースにしながら各々の個性を引き出す先手必勝の連携がこの先にあるのではないかというフェーズに入っていると思います。
その目指すバスケットは、日本の弱点であるサイズのなさを、2人、3人と細かく絡むオフェンスと、全員で10分間守り切るタフなディフェンスでカバーするスタイルです。特に、前回の反省からうまくいかない時に立ち返る場所としてはディフェンスの強度を徹底すること。また、試合の入りのところや、試合中のファウルの使い方といった細かいゲームコントロールをチーム全体の共通認識として擦り合わせています。さらに、1試合の全シュートの約5割にあたる15〜16本の2Pシュートを打つという明確な目標を掲げ、より期待値の高いチャンスを貪欲に作り出すオフェンスの連携には、まだまだ選手たちには大きな伸びしろがあると感じています。
その中で私の役割は、チーム最年長の一人として、過去の反省を生かしたアプローチをすることです。これまではみんなよりも少し経験が豊富ということから自分だけで答えを出そうと抱え込み、どうしてあげればいいのだろうという関わり方をしていました。しかし今は、自分も学ぶ姿勢を忘れず、課題をフラットに共有して一緒にクリアしていくことを大切にしながらやっています。
プレー面においての私の武器は2Pシュートを打てるところです。海外勢の大型ディフェンスに狙われるミスマッチをフィジカルとスキルで凌いで、オフェンスでは自分が得点を積極的に狙いにいくことで相手を引きつけられる脅威になること。そのようにしてディフェンスを2人引き寄せ、チームメイトに簡単な1点を取らせるなど、ポップした選手にパスをさばいたりして味方の良さを生かすことこそが、私がこのチームに存在する意味だと考えています。

桂葵「海外で経験した私だからできる、日本スタイルでの挑戦!」
私がアゼルバイジャンのクラブでプレーしていた間も、代表のみんなが簡単じゃない時間を過ごし、もがきながら前に進もうとしていたことは伝わっていました。私自身も海外で新しい経験をして戻ってきましたが、ワールドカップを前にみんなが苦しんでいたからこそ、一回リズムを変えられるこの合宿のタイミングはすごく良かったと感じています。苦しんだ時間をポジティブなものに変え、全員で何かをつかみ取れる時間にしたいという強い意気込みでチームに参加しました。
キックオフミーティングでも正直に伝えましたが、客観的に見て感じたことは、率直に言って当時のチームは『バラバラだったな』というのが本音です。私が大学時代に教わって大事にしていることなのですが、コミュニケーションではタブーを作らないことだと思います。チームの雰囲気が良くない時ほど、その原因に誰も触れられない空気が生まれがちですが、私はそこへあえてずかずかと踏み込んでいきたいと思っています。ですから、ミーティングでバラバラだったと伝えたのもそうです。誰も雰囲気を壊そうなんて思っていないし、良くしようともがいていると分かっているから、うまくいかない現状をどんどん口に出し、じゃあどうすれば良くできるかという問いを投げかける。そうやってみんなで解決策を探っていくのが私のスタンスであり、そうありたいと思っているからです。
ワールドカップに向けて自分たちの本来の力を出すためにも、まずは現在の立ち位置を一度受け入れなければなりません。前田コーチが目指す、頭を賢く使い、スピードで距離を稼いでアドバンテージを作っていくバスケットは、日本人の国民性にすごく合っています。海外でのプレーを経験したからこそ日本にしかできないバスケットがあるのだと強く実感しています。個々の個性を生かすためにも、まずはチームとしてアドバンテージを作ることに全員の意識を一つにしていきたいです。
そこで、12秒でシュートまでいく攻防において、私がやるべきことはオフェンスで絶対にいいスクリーンを1回かけることです。シュートはタイミングが合えば打てばいいと思っていて、まずはスクリーナーとして起点となり、チームの得点を生み出すことが自分の役割だと思っています。
前田コーチの“ベスト8”というワールドカップの目標は、非常に正直なものだと受け止めています。本来なら優勝を狙うとか、メダル獲得と言いたいところだと思いますが、今の私たちにとっては“1勝すること”自体が壁です。それを理解した上で挑むワールドカップですが、目標というよりは絶対にベスト8に入りたいです。

前田HCと挑む、ベスト8への挑戦!
最終的にはワールドカップの大会前日に最終メンバーが登録されることとなるが、最後に前田有香ヘッドコーチのコメントを添えておきたい。
「FIBAワールドカップ2026に向けた目標はベスト8です。オリンピックレースが始まって、今シーズンのFIBA 3x3ウィメンズシリーズ2026開幕戦から2大会戦ってみて、我々がトライしようとしたことに対しての課題がたくさん見えました。課題点に対して継続的に取り組むべきところと、目の前のワールドカップで勝つために今できることの最善の準備として、6人で試行錯誤しながら日本の勝ち筋を見出だしていきたいと思います」

チームメイトから誕生日(5月23日)を祝ってもらう鶴見選手
■2026年 3×3バスケットボール女子日本代表チーム
「FIBA 3×3ワールドカップ 2026」日本代表候補選手
■2026年 3×3バスケットボール女子日本代表チーム
「FIBA 3×3ワールドカップ 2026」出場選手
鶴見 彩(165cm / 34歳 / MAURICE LACROIX)
桂 葵(182cm / 33歳 / トヨタ紡織 サンシャインラビッツ / ZOOS / Neftchi SOCAR)
宮下希保(178cm / 27歳 / 富士通レッドウェーブ)
高橋 未来(169cm / 25歳 / アイシン ウィングス)
【予備登録選手】
野口 さくら(182cm / 25歳 / アイシン ウィングス)
田中平和(181cm / 24歳 / トヨタ自動車 アンテロープス)
※年齢・所属は2026年5月29日日現在
■スタッフ
チームリーダー 安部 建太朗(公益財団法人日本バスケットボール協会)
ヘッドコーチ 前田 有香(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アナリスト 福田 有利子(トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
アスレチックトレーナー 岡本 香織(公益財団法人日本バスケットボール協会)
アスレチックトレーナー 村木 亮子(JIN整形外科スポーツクリニック)
チームマネージャー 稲葉 一政(公益財団法人日本バスケットボール協会)
サポートスタッフ 伊地知 さら(日本体育大学)
■FIBA 3×3ワールドカップ2026
【開催地】ポーランド・ワルシャワ
【期間】6月1日〜7日
【出場チーム】20チーム
【予選プール組み合わせ】
A:オランダ(1) ポーランド(7) チェコ(10) アゼルバイジャン(22) マダガスカル(48)
B:スペイン(2) アメリカ(5) モンゴル(9) ハンガリー(13) オーストラリア(16)
C:中国(3) ドイツ(6) イタリア(11) ラトビア(15) フィリピン(18)
D:フランス(4) カナダ(8) 日本(12) ウクライナ(14) リトアニア(20)
※()内はFIBAランキング(5月12日現在)
[決勝トーナメント]
・予選プール1位=準々決勝進出
・予選プール2・3位=プレーイン(2位vs3位/プールDは同Aと対戦)勝者が準々決勝進出
【日本過去データ】5大会連続7回目出場/最高位9位(2023、2025)
【大会サイト】https://fiba3x3.basketball/2026/worldcup
※エントリーの都合上、事前に大会サイトにて暫定的に4名が表示されます。
しかし、エントリー変更が大会前日まで可能なため、出場メンバーが確定次第、当サイトにて正式に発表いたします。

文/飯塚友子









