街の「誇り」を背負う2クラブの最終戦。琉球と長崎、運命の第3戦は今夜19:05ティップオフ!

地域と歩む2クラブによる頂上決戦
5月24日、横浜アリーナを震わせた「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2025-26」GAME2は、長崎ヴェルカが強固なディフェンスとアジャストしたリバウンドで琉球ゴールデンキングスを66-60で撃破。対戦成績を1勝1敗のタイに戻し、王座の行方は5月26日の運命のGAME3へともつれ込んだ。
Bリーグ設立時のオリジナルクラブである琉球、設立6年目にしてファイナルへと到達した長崎。両者の共通項と言えるのが、それぞれのコミュニティにとって「シビックプライド(市民の誇り)」になっているということ。来季よりB.革新として新制度を迎えるBリーグにおいて、両者はまさに理想を体現する好例と言ってもいい。
5年連続でファイナルの地を踏み、常勝軍団としての矜持を示す琉球。その組織デザインの根底にあるのは、「沖縄をもっと元気に!」という極めてシンプルで本質的な理念だ。「スポーツが与えるものとは何なのか? やはり“人を元気にする”ことなんです」、そう安永淳一GMが語るその哲学は、単なる勝敗のエンターテインメントに留まらない。おじいさんやおばあさんが孫を連れてアリーナへ足を運び、数十年後にその思い出が世代を超えて受け継がれる「親子3世代のコミュニティ」の創出。その徹底したブランド構築の結果、琉球が生み出す経済波及効果は確実に高まっている。
この理念をコート内外で体現し続けてきた一人が、生え抜きの司令塔・岸本隆一だ。岸本はかつて、自身のオフコート活動への想いを「自分たちは、競技が最優先ではありますが、地域社会に貢献するということは、同じくらい意義があることだと思っています」と語っている。
地元の子どもたちと触れ合うこともあるという岸本は、「呼び捨てにされたり(笑)。でも、それもうれしいんですよ。親しみがあるからこその呼び捨てですからね」と笑う。それだけ身近な存在であるということ。県民にとって琉球はすでに『家族』のように当たり前で、不可欠なものになっているのだろう。

対するは、創設6年目でトップディビジョンのファイナルへ駆け上がった長崎。こちらもジャパネットホールディングスが掲げる地域創生の熱い想いを背負い、伊藤拓摩社長兼GMのリードのもと、彼らもまた「私たちはエンターテインメントを通して地域創生を実現する会社である」という強烈な共通認識を選手・スタッフ全員が共有している。
B3からスタートし、わずか5年でファイナルまで駆け上がった驚異的なスピード感の裏には、「バスケを通じて長崎の深刻な人口流出や課題に向き合い、長崎を元気にしたい」というクラブが一体となった強固な経営理念がある。
GAME3へ向かう、指揮官と選手たちのリアルな言葉
今ファイナル、GAME1は琉球がリバウンドを支配し先勝。GAME2は長崎がリバウンドを改善し、激しいディフェンスで逆襲した。両クラブの会見場では、GAME3の背景にある地域とチームへの愛に満ちたエモーショナルな言葉が飛び交った。
若きチームをけん引する馬場雄大は、長崎でプレーするうえでのメンタリティについてGAME2の会見で熱く語っている。
「長崎ヴェルカというチームはバスケットボール以上の意味が長崎にあると思っています。勝っても負けても、長崎の皆さんは声を枯らして応援してくれる。やっぱり彼らに顔向けできるっていうことを、常に考えながらプレーしています」
“声を枯らして応援してくれる” ――横浜アリーナに詰めかけた長崎ブースターの大声援について、モーディ・マオールHCは「今日に関しては本当にハピネスアリーナのように感じた」と深く感謝。それが「信じられないほどのハート(闘志)を持って戦ってくれた」(マオールHC)という選手たちへのエナジーとなっていることは言うまでもない。

ブースターの熱狂については、琉球もさすがと言える。GAME1では、勝負どころでアリーナを包み込んだ耳が痛くなるほどの大歓声と強烈なブーイングが、長崎のフリースロー成功率を57.1%(21本中12本成功)にまで急落させ、勝利を決定づけた。ジャック・クーリーは「最後のフリースローを彼(スタンリー・ジョンソン)が外したのは、間違いなくファンのおかげ。これこそがキングスファンの姿」と語り、桶谷大HCは「ブースターの人たちを含め、100点満点だったと思っています」と、ブースターを含めてクラブ全体での「団結の力」に最大級の賛辞を送っている。
その桶谷HCはGAME3に向けて「もう1試合戦うチャンス」と意気込みを語っている。
「本当に簡単に終わらせてもらえないな、と痛感しています。逆に言えば、今日のGAME2では40分間を通してキングスらしいバスケットボールができていなかった。そんな中で、もう1試合(GAME3を)戦うチャンスをいただけたわけです。今シーズンはずっと浮き沈みの激しい、タフなシーズンを過ごしてきましたが、最後のその1試合で、今までのすべてを払拭するような最高のゲームをみんなで作り上げられたらなと思っています」
お互いが持ち味を発揮し、行き着いたGAME3。「沖縄をもっと元気に!」という不変の理念のもと、琉球が王者の意地を見せて2度目の戴冠を果たすか。「バスケを通じた地域創生」の夢を背負い、長崎が最短での初優勝を飾るか。現行制度最後となるファイナルは、“地域を愛し、地域に愛された”両クラブによる40分間の最終章へと突入する。どちらが、リーグ10年目の王者として歴史に名を刻むのか。運命のGAME3は19時5分にティップオフを迎える。


文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)









