月刊バスケットボール10月号

Bリーグ

2026.05.14

大役担い躍動の千葉ジェッツ、ナシール・リトル “プレーオフ・ナズ”が長崎戦のキーマンか

「本当にタフな試合でしたが、最後までハードに戦い抜くことができました。チームとして崖っぷちの中、みんなが力を出し切らないと勝てないと分かっていました。しっかりと(力を)出し切ることができて良かったです」

群馬クレインサンダーズとのクォーターファイナルゲーム2後、勝利した千葉ジェッツのナシール・リトルは、こう振り返った。ゲーム1を大差で落としていた千葉Jにとって、この試合はまさに“背水の陣”。誰かがステップアップしなければシーズン終了という危機に直面していた中で、33得点と爆発したのがリトルだった。

今季から千葉Jに加入したリトルは、レギュラーシーズン平均16.5得点を記録し、チームの得点王になっている。先発は出場した53試合中13試合にとどまっているが、爆発的な身体能力を駆使したトランジションプレーに思い切りの良いシュート、そしてアグレッシブなディフェンスでチームにエナジーをもたらす。主役にも、ロールプレーヤーにもなれる万能選手として貢献中だ。



レギュラーシーズンの活躍もさることながら、群馬とのシリーズではさらにギアを上げ、ゲーム1で20得点、ゲーム2で前述したように33得点。そして運命のゲーム3でも20得点と、全ての試合でチームハイの得点を挙げている。単純な得点だけでなく、FG成功率が49.2%→57.5%、同3Pが32.3%→50.0%へと質も大きく向上。まだ3試合とサンプルサイズは小さいものの、明らかな数字のジャンプだ。

QFゲーム1で大敗を喫した千葉Jは、ゲーム2で脳震盪から復帰した渡邊雄太が躍動。以降の2試合は1Qからスムーズにパスが回り、効果的な得点が決まっていずれも拮抗した展開が続く。

群馬はヨハネス・ティーマンとエージェー・エドゥの2人のビッグマンを欠き、ケリー・ブラックシアー・ジュニアを休ませている時間帯は淺野ケニーがセンターを、トレイ・ジョーンズがPFを務める緊急事態だった。それでも、ゲーム2は一時17点開いた差を超スモールボールで詰め寄り、ゲーム3でも4Q残り1分での11点差を盛り返した。

特にゲーム2はどちらが勝利しても不思議ではない試合の中で、最後に爆発したのがリトルだった。

74-77と3点を追う4Qのオフィシャルタイムアウト明け、トップからこの試合5本目となる3Pをねじ込んでまずは試合を77-77のタイに戻す。さらに、ディージェイ・ホグのスコアで2点リードとした残り1分5秒、今度は左ウィングからもう1発3P。いずれもブラックシアー・ジュニアの上から長距離砲を沈め、決定的な5点リードをチームにもたらした。





リトルにとって、このチャンピオンシップは初めて大きな役割を担ってのポストシーズン。それだけに、「チャンピオンシップを本当に楽しみにしていた」とリトル。「プロになってから大きな役割を持ってプレーオフに挑むのは初めて。もちろん、NBAでは何回かプレーオフに進んでいますが、役割は小さかったです。今回はプレーオフの中でも大きな機会を得て、本当に楽しみだと思っていました」

彼にとって33得点はBリーグでの自身2番目のハイスコアだったが、キャリアハイ46得点を記録した三遠ネオフェニックス戦(2月15日)でチームは敗れている。今度こそ、個人もチームも結果を出したというわけだ。

ただ、彼は自身がゴートゥガイだとは思わないと話す。「誰かが当たっていれば、そこにボールを回せるチームだし、昨日と今日はたまたまそれが自分だったのであって、シーズンをとおしてそれがディージェイ(ホグ)だったり、(富樫)勇樹だったりしました。誰が当たってもおかしくないようなチームであるところが、このチームの強さでもあると思っています」

トレヴァー・グリーソンHCも「誰にどうボールを持たせるか。活躍している選手が持たせたりして、そこをしっかりと選手たちが引っ張ってくれました。そういうところでチームは大きな自信を得た」と同様の見解を述べているが、一方でリトルのパフォーマンスについては「ナズ(リトル)は今日も昨日もチームを背負って引っ張ってくれていると思いますし、負けている状況のタイムアウトでも常にリーダーシップを取って声をかけてくれていました。ロッカールームでもチームを鼓舞するような声をたくさん発してくれています。そういうエナジーがこのチームの雰囲気を作ってくれて、本当に良かった」と、オンコートにとどまらない貢献を高く評価した。

「リトルがプレーオフモードに入っていると思うか?」と問うと、指揮官は柔らかなスマイルで「だと信じています」と答えてくれた。

千葉Jの次なる相手は今季リーグNo.1の勝率を記録した長崎ヴェルカ。千葉Jが中3日でアウェーゲームなのに対し、5月8日にクォーターファイナルを勝ち切った長崎は丸1週間の準備期間がある。コンディションの面では明らかに不利な状況だが、それを言い訳にはできない。

試合がもつれた最後の時間帯には、個で打開しなければならないタイミングが訪れるかもしれない。そこで“プレーオフ・ナズ”がまた爆発すれば、勝利は千葉Jに傾くはずだ。





文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

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