B2プレーオフセミファイナル“GREEN DERBY”は神戸ストークスに軍配

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りそなグループ B2 PLAYOFFS 2025-26セミファイナルでは、神戸ストークス(西地区1位/55勝5敗)と横浜エクセレンス(東地区3位/39勝21敗)による今季3度目の「GREEN DERBY」が繰り広げられた。昨年11月は横浜EXの本拠地で1勝1敗と5分、今年2月末からの2連戦は神戸が本拠地GLION ARENA KOBEで神戸が2連勝も、GAME2は4Qの土壇場で追いつかれてオーバータイムに持ち込まれている。その試合では、横浜EXのトレイ・ボイドが残り8秒から3P2本をねじ込み、今季のB2得点王に輝く驚異的な勝負強さを見せつけた。
リーグ最高のスコアラーは今季平均28.4点を挙げ、2位のヨーリ・チャイルズ(神戸)が記録した21.3点を引き離す火力を誇る。昨年のB3プレーオフで劇的なB2昇格弾を炸裂させてからもチームを牽引し続け、今回もシリーズ前から記者席や試合後の会見で数え切れないほど「ボイド」の3文字が飛び交った。入念に対策して臨んだ神戸だが、5月8日の本拠地でのGAME1で、B2ではシーズン含めても1試合歴代最多の3P12本(45得点)を決められる。マッチアップした金田龍弥が5ファウルで退場に追い込まれ、川辺泰三HCも「1対1を止めるのがバスケットの究極で一番難しい」と振り返った。

レギュラーシーズン中に、3月1日の神戸戦における53得点を含め40得点以上が5試合あったボイド。セミファイナルの2試合では平均得点自体41.5得点という信じられない数字を残し、神戸にとって他では体験できないような脅威となった(写真/©B.LEAGUE)
それでも神戸は3Pを成功率55.2%で16本沈め、フリースローでも28-10とオフェンスの精度に差をつけて112-106で初戦をとった。シーズンでは神戸がリーグ1位の88.4得点、横浜EXは同2位の88.3点を記録していたため点の取り合いは想定されていたが、前者はオフェンスリバウンド後の1078点がリーグ最多と堅実に得点を重ね、後者は速攻からの1132点と552スティールがどのチームよりも多く、スタイルが異なる。失点も74.1点と81.3点なので、神戸の川辺HCが試合前に「(横浜EXは)勝手に(対戦する相手の)ペースが上がってしまう」と危惧していたとおりの展開は、ディフェンスに注力してきたチームにとっては本来望ましくない。過去の対戦時の横浜EXは故障者続出の状態で組み立てに苦闘していた経緯もあり、河合竜児HCは敗れながらも「ステップアップできている」と手応えを口にした。
成熟度に勝った神戸がスウィープ
翌日のGAME2を前に、神戸の川辺HCが「(ボイド対策は)オプション3まで用意していて、それも使っていかなければいけないと思っている」と展望すれば、B2制覇の経験もある横浜EXの河合HCは「プレーオフはひとつのプレーで弱気になったり強気にもなる。ミスが起きても後ろを振り返るな。起きてしまったことを悔やんでも仕方ない」と発破をかけ続けた。コート上でも自ずとプレーの強度が上がり、選手たちが感情をあらわにする場面も見られた。短期決戦特有の緊張感が色濃く表現された展開の中、殊勲の活躍を見せたのが、自然体を貫く神戸の笹倉怜寿だった。本人いわく、プレーオフでも「いつもと変わらない」。B2ファイナルやB1プレーオフを戦った経験を持つコンボガードが「いつもどおり準備して、いつもと同じように試合をする」と心掛けているのは、移籍1年目も「それで勝ってきた自信」を積み重ねられたからだ。
笹倉はGAME2でボイドのマークを長い時間担当。38得点は許したものの、粘り強いディフェンスで簡単にはシュートを打たせず、ボイドの3P成功率を前日の60.0%から33.3%までダウンさせてみせた。試合終盤にはベンチで「怜寿、もう限界に近いです」の声が上がっていたが、笹倉は「任されることがうれしい」と意気に感じながら出場続行を志願。シーズン中から試合途中の様々な状況、あらゆるユニットで出場して1~3番を幅広くこなし、この試合ではゴール下で相手ビッグマンのベンジャミン・ローソン(216cm/118kg)と競り合う場面もあった。それでも「不利だと思われる状況をひっくり返すのが好き。スイッチでポジションファイトするのはわくわくする瞬間なので楽しかった」と言ってのけている。
ポストシーズンの経験も豊富な笹倉は、神戸にとって特にこのシリーズで必要な冷静さをもたらす存在だった(写真/©B.LEAGUE)
その献身について、川辺HCは「(ボールを)持たせない努力が素晴らしかったし、持たせてからもできるだけ(成功率が落ちる)左へ行かせようとしていた」と評価。試合は神戸が99-89で連勝を飾りファイナル出場を決めたが、2Q、3Qが終了した時点のスコアは同点で一進一退だった。穏やかな物腰で肝の据わった言葉を発する仕事人の働きがなければ、シリーズはまた違う流れになっていたかもしれない。先述のように、笹倉はプレーオフでも自身の姿勢を崩さないが、チームメイトには「レギュラーシーズンの結果はまったく関係ない。追われる側になるけど受け身にならずに、チャンピオンをとりにいくためにチャレンジャーであるべき」との気持ちを伝えている。常にイメージしている「ブザーが鳴ってコートに皆が飛び出してくる瞬間」を求め、残りの試合も奮闘を欠かさない構えだ。
横浜EXは胸を張って3位決定戦に
シリーズに勝利した神戸は、実は横浜EXのボイドが「40点以上とったゲームで勝った試合はあまりない」(川辺HC)事実に基づき対策を練っていた。得点を重ねてもシュート成功率が低い試合は勝利に結びついておらず、むしろボールを散らされている方が勝率は高い。ある程度の失点は織り込みながら、時折ビッグマンをマークにつけ、ゾーンディフェンスでボールを手放させる策も試し、わずかでもリズムを狂わせようと試みた。横浜EXの河合HCも「ボイドがいることで相手が(対策として)何を仕掛けてくるかわからない。そこで周りの選手がパニックを起こすとゲームが成立しなくなる」ため、試合中は局面ごとにホワイトボードを手にしながら戦術を伝え続けた。PGの永野威旺も「TB(トレイ・ボイド)に打たせるために皆がどうやって動いていくか。彼が出ていない時間に周りがどれだけアグレッシブになれるか」と話したとおり、GAME2では主砲に次ぐ16点を挙げた。
表向きは派手な撃ち合いでも、水面下では詰め将棋のような駆け引きが繰り広げられていた。そのシリーズを神戸の川辺HCが「出し切れた」と総括すれば、反対に横浜EXの河合HCは「出し切れなかった」と言う。ロスターのほとんどを入れ替えて臨んだ神戸と、B2へ昇格したばかりで加入1、2年目の選手が多い横浜EX。両軍指揮官の言葉は、現段階でチームの成熟度に差があったことを表しているように聞こえる。
敗れた横浜EXはシーズン開幕直後に5連敗を喫するなど序盤につまずいたが、「チーム全員が考えてバスケットをしている。シーズン序盤に比べたらどんどん良くなっている」(永野)結果として、プレーオフへ進出した。チームが次のステップを踏むには、戦術で「(選手への)プレッシャーを外してあげられたら」と語っていた河合HCを、いかに完全燃焼させられるかが鍵になるかもしれない。16日から始まる3位決定戦は、来季へ向けても貴重な戦いの場になるはずだ。

敗れた横浜EXだが、B2昇格初年度にセミファイナルに進出し、リーグ最高勝率の神戸相手に激闘を演じたことは高く評価されるべきだろう(写真/©B.LEAGUE)
プレーオフ全シリーズでホームコートアドバンテージを得ている神戸は、次に本拠地で福島ファイヤーボンズ(東地区2位/42勝18敗)とB2ファイナルを戦う。開幕前から掲げてきた「B2制覇」へ向けて、あと2勝まで迫った。
☆B2ファイナル「神戸ストークスvs.福島ファイヤーボンズ」
【GAME1】5月16日(土)
【GAME2】5月17日(日)
【GAME3】5月19日(火)※1勝1敗で並んだ場合のみ
会場はいずれもGLION ARENA KOBE
☆B2 3位決定戦「信州ブレイブウォリアーズvs.横浜エクセレンス」
【GAME1】5月16日(土)
【GAME2】5月17日(日)
【GAME3】5月18日(月)※1勝1敗で並んだ場合のみ
会場はいずれもホワイトリング
文/藤原彬









