拓殖大が仕掛けた「エース封じ」 早稲田大にインカレのリベンジを果たし3位入賞

3位に輝いた拓殖大。4強入りは7年ぶりだった
7年ぶり4強 3選手が個人賞を獲得
白鷗大の2年ぶり4度目の優勝で幕を閉じた関東大学女子トーナメント(4月18日~5月3日)。3位決定戦では7年ぶりに4強入りした拓殖大が勢いそのまま97-82で早稲田大に勝利。#35高橋胡菜(4年/162cm/F/東海大付諏訪高)の3Pシュート6本を含む22得点の活躍が目立ったが、早稲田大のエース・#1菊地実蘭(4年/175cn/F/桜花学園高)への徹底したフェイスガードが奏功し、1点差で敗れたインカレのリベンジを見事に達成した。大会の個人賞には拓殖大から3人が選出。大目標のインカレ優勝に向け、さい先良くシーズンをスタートさせた。インカレのリベンジマッチ 「フェイスガードで行くしかない」
下級生から早稲田大のエースを張る菊地は言わずもがな、大学界を代表する選手だ。ドライブあり、スリーあり。淡々と、気が付けば20点以上取るスコアラーだ。「あれだけの選手なのでフェイスガードで行くしかないかな」と拓殖大の佐藤森王監督は何人かのローテーションで守る算段だったが、スタートに選んだのは#29佐々木杏花(4年/178cm/F/柴田学園高)。世代別代表候補にも選ばれる、ディフェンスに定評のある選手だ。佐々木自身も、代表などで活動を共にする菊地を「どこからでも点数が取れるオールラウンダー。すごいなと思います」と認めた上で「(フェイスガードを任されたときは)びっくりしたけど、チームが勝つためにはディフェンスを徹底するしかないと思いました」と燃えずにはいられなかった。チームには苦い敗戦の記憶があったからだ。「あれだけ選手に泣かれたので、どうしても早稲田に勝ちたいなという気持ちはありました」(佐藤監督)。両者はインカレ2025の準々決勝で対峙し、早稲田大がわずか1点差で勝利した。その試合、拓殖大は菊地に23点も取られた。佐々木は菊地とマッチアップしたわけではないが、「あの試合、1点差で負けたのがずっと悔しかったので、絶対ここでリベンジしようと思っていました」。佐々木もチームも、一時たりとも悔しさを忘れた日はなかったという。そして、佐々木は完璧と言っていいほどフェイスガードを遂行した。
1Qを無得点に抑える気迫のディフェンス
早稲田大の最初のポゼッションから、佐々木は菊地にぴったりと張り付いた。ボールを持たせないよう必死にディナイし、菊地がボールをもらいに向かう素振りがあれば、コースを塞いだ。佐藤監督は「杏花、もっと前に行け」と距離を詰めるよう指示し、奮い立たせた。「オンボールオフボール関係なく、スクリーンが来ても絶対にボールを持たせないと考えていました」(佐々木)。一般的なディフェンスでは、ボールから遠い位置ではヘルプポジションをとるのが通例だが、佐々木は構わずディナイを続けた。たとえ、菊地はハーフコートラインの近くにいて、他の選手たちが遠くのゴール下で攻防を繰り広げていても。菊地は珍しく無得点で1Qを終えた。対照的に佐々木は序盤で3Pを2本決め、11-0のランを作る最高の滑り出しとなった。
フェイスガードで菊地実蘭(右)を守る佐々木杏花
佐々木がベンチで休んでいる間は#54タンジャマロナオミ(4年/178cm/F/八雲学園高)、#5髙橋京香(3年/178cm/F/明星学園高)が踏ん張り、失点を最小限にとどめた。佐々木は後半に入っても研ぎ澄まされた集中力で菊地に思い通りのプレーをさせない。鬼気迫る表情だった。3人の頑張りもあり、菊地のフィールドゴールは12分の4の12得点に終わった。なんと、佐々木がマッチアップした時間帯は菊地にフィールドゴールを許さなかったのだ。佐々木は「点数を(いつもの)半分以下に抑えられたのが一番よかったです」と自己評価した。ただ、さすがは大学トップスコアラー。あれだけの包囲網を敷いても結果的に12得点。見ごたえある攻防だった。
拓殖大は良い形での船出 再戦はどのような結果に
拓殖大は、𠮷田舞衣(元シャンソン化粧品)らを擁して優勝した2019年以来の表彰台入りとなり、個人賞には、3ポイント王に高橋、リバウンド王に#8ンドイウム(3年/192cm/C/新潟産業大付高)、アシスト王に#47坂口彩花(3年/168cm/G/千葉経済大付高)の3人が選出。リーグ戦に向けて勢いづく大会となった。佐藤監督は「ベスト4は久しぶり。みんなよく頑張った」と佐々木をはじめとした自チームに賛辞を送った。インカレのリベンジを達成した選手たちは試合終了後、歓声を上げ、抱き合って喜びを爆発させた。ただ、これで満足しない。主将を務める佐々木は「今年はインカレ優勝が目標です。そのためにも、トーナメントで3位になったことに満足せずに今後も努力していきたいと思います」とすぐに気持ちを切り替え、最終目標に照準を合わせた。一方、敗れた早稲田大だが細かなパスワークとカッティングを組み合わせたパス&ランのバスケは、強烈だった。菊地も世代別代表でさらに研鑽を積むだろう。両者はリーグ戦で再び戦うことになるが、次に一発勝負で当たるのはベスト4を懸けた準々決勝かさらに上の準決勝か、はたまた優勝を懸けた決勝か――。スカウティングし合うからこそ、バスケは面白い。次はどんな戦いが繰り広げられるのか、早くも再戦が楽しみだ。

3位決定戦、佐々木はオフェンスでも勝利に貢献した
文・写真/磯野雄太郎(月刊バスケットボール)









