月刊バスケットボール10月号

Bリーグ

2026.05.03

群馬クレインサンダーズの最終戦勝利&CSホーム開催へのカギは淺野ケニーか「一回一回のチャンスを無駄にしないように、良い精度でプレーし続けたい」

B1のレギュラーシーズンも残すところ1試合。前節でチャンピオンシップ進出クラブは決定しているが、5月2日の最終節ゲーム1を終えた時点でCS進出の8クラブ中5クラブが41勝18敗で並び、順位決定は本日の最終戦に委ねられた。

その中で現時点で東地区3位、ワイルドカード最上位となっているのが群馬クレインサンダーズだ。最終節では仙台89ersと対戦。群馬はトレイ・ジョーンズとヨハネス・ティーマンが、仙台はネイサン・ブースとブーバカー・トゥーレが欠場と、それぞれ外国籍2人を欠いての苦しい台所事情での試合となった。

ゲーム1は群馬が1点差で勝利。仙台はセルジオ・エル ダーウィッチとジャレット・カルバーが最終局面の2つのポゼッションでそれぞれ理想的なショットをクリエイトしたが、それらはいずれも僅かにリングをとらえ切れず。群馬が83-82で逃げ切った。

27得点でけん引したケリー・ブラックシアー・ジュニアを筆頭に4人が2桁得点と奮闘した群馬において、淺野ケニーの貢献は見事であった。


今季初スタメン
信頼を自信に変えて


主力不在の影響もあり、今季55試合目の出場にして初めてスタメン起用された淺野は、開始早々から積極的にシュートを狙い、前半だけで10得点。総プレータイムは27分44秒と個人としての今季最長、そしてこの試合におけるチーム最長を記録した。

今季の平均プレータイムが約10分の淺野にとって、普段の3倍近い出場は体力面で「正直、めっちゃキツかった」と話す。それでも「特に前半は(味方の)ファウルトラブルもあって19分ぐらい出ていました。自分のようにウィングで、やれるポジションが多い選手はこういうときに大変な部分があります。でも、こういうときにコーチたちに送り出してもらえたことには自信を持って、疲れたんですけど、やり切れたのかなと思います」と淺野。

いつどんなときにチャンスが巡ってくるのか分からないプロの世界において、特に彼のような若い選手にとっては巡ってきたワンチャンスでいかに良いパフォーマンスを残し、チームメイトやコーチ陣の信頼を勝ち得るか。また、その経験を自らの自信に変えていけるのかがより良いキャリアを形成する糧となっていく。

浅野にとって、チームが緊急事態の最終節は、自身の価値を高める絶好の舞台でもある。

この試合の序盤は、前述したように積極的にシュートを狙ったが、最初の3本の3Pはミス。それでも「早めに1本目を打てたのがすごく良かった」と消極的にならずに打ち続け、4本目をヒット。「4本目を決めたときに交代するコー(フリッピン)や(藤井)祐眞さんから『ケニー、打ち続けていいよ』という言葉をいただけて、打ち続けることができました」と、2Qにも1本を決めた。

一方で後半は無得点。前半7本あったシュートアテンプトも2本にとどまった。特に3Pに関しては「決め打ちじゃなくてもっとフェイク入れたり、よりベターな判断ができたと思う」と反省を口にする。それでも「僕は今のチームの中ではめちゃくちゃ点を取りに行く選手ではないですが、一回一回のチャンスを無駄にしないように、良い精度でプレーし続けたいと思います」と、すでにその視線は未来を見据えていた。

本日のゲーム2に勝利すれば、他会場の結果次第では、クラブ史上初のCSホーム開催の可能性が残る群馬。そのカギを握る一人が淺野だろう。


「今のところ順調にプロキャリアを歩めている」


大学卒業から数えると、淺野は今季がルーキーイヤーとなる。ただ、大学時代には京都ハンナリーズと三遠ネオフェニックスで特別指定選手として活動し、群馬では今季が2季目。プロの環境には4季携わっているため、本人も「もう自分が何年目なのかよく分からない」と笑う。

特に大学3年時にプレーした三遠では、12試合のみ出場ながらそのスタイルに見事フィット。20分を超えるプレータイムを得る試合もあり、僅かな期間で2桁得点も2度記録した。

それでも、彼がプロキャリアの出発点として選んだのは群馬だった。その理由がディフェンス面での成長を期したから。「群馬に来たのはある意味挑戦で、正直、すごく合うバスケかと言われたら、大学までにやってきたこととは全然違ったことをやっています。ただ、自分はやっぱりディフェンスの部分で成長したいと思って、カイル(ミリング)HCを信じてここに来ました」

そして、そのディフェンスは「今季すごく成長できた部分」だと胸を張る。「今日は(両チームローテーションが違って)イレギュラーではあったんですけど、総じてディフェンスもリバウンドもすごく意識が上がっているので、そこはすごく成長できたのかなと思っています」。ちなみに、この試合は2本のオフェンスリバウンドを含むシーズンハイの7リバウンドを記録している。

昨季から今季序盤にかけてはプレータイムが10分未満だったり、試合によっては一度もコートに立てないこともあった。淺野自身も「今季の途中ぐらいまでは本当に挑戦というか、我慢の時間だった」と認める。それでも自分が選んだ環境で立場を確立すべく、時間をかけながら慣れないスタイルを体にしみ込ませ、チームに少しずつフィットした。伴ってプレータイムも少しずつ伸びていった。

京都でプロの世界を知り、三遠で自分の実力がプロで通用する実感を得た。そして、群馬で本当の意味でプロとしてのキャリアを積み重ねている淺野。自身のここまでのキャリアをどう評価するかと尋ねると、彼はこう返答した。

「今のところ、順調にプロキャリアを歩めているのかなと思っています」

一方で、まだまだ自分の出来に納得も満足もしていない。ただ、その表情は充実しているように見て取れた。



文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

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