月刊バスケットボール10月号

NBA

2026.04.27

河村勇輝、子どもたちに夢を贈るクリニック開催

諦めないことの重要性を伝えた河村


4月26日、東京都内で日本航空株式会社(JAL)が主催するイベント「河村勇輝×JAL Special Basketball Clinic 2026」が開催され、NBAで2年目のシーズンを終えた河村勇輝が参加し、小学1〜3年生17人と交流した。

子どもたちと運動遊びやボール遊びを楽しみ、さらにはドリブルやシュートのコツを伝え、ミニゲームにも参加した。ドリブルを教えるときには「掌で突くのではなく指を使って」、シュートを教える際には「手だけで打つのではなく、膝を曲げて、身体全体を使って」と実際に体を動かしながら熱心に伝えた。その後は参加者からの質問コーナー。「大事にしている言葉は何ですか?」という質問に対し、河村は「諦めないこと」と答え、諦めずに続けてきたことでNBAまでたどり着いたと話すなど、質問の一つ一つに丁寧に、子どもたちに語りかけていた。






イベント後、河村は自身のバスケットボールの原点と、子どもたちへ抱く思いをこのように語ってくれた。
「僕がバスケットボールを本格的に勝負の世界として意識し始めたのは、小学校4年生の頃でした。6年生の先輩方と出場した大切な大会で負けてしまったことがきっかけです。それから勝負の厳しさを知り、チーム練習に加えて個人練習もするようになりました」と、競技者としてのスタートを口にする。その経験から彼は子どもたちに勝負の捉え方についてこう伝える。
「子どものうちはそのバランスは難しいですが、『勝負事』はバスケットボールだけではなく、これから人生を歩んでいく上で必ずどこかで直面するものです。勝ち負けによる悔しさを味わうタイミングはスポーツをやっていたら必ず来ます。その時に、『勝負事を楽しむ』マインドで、じゃあ勝負する上で何が必要なのかを考え、努力することや準備することの難しさを感じながら、練習に取り組んでもらえたらいいかなと思っています」



身長が低くとも世界最高峰の舞台で戦う河村の根幹にあるのは、圧倒的なバスケットボールへの愛である。野球や柔道、水泳など様々なスポーツに触れながらも、最終的にバスケットボールに最も熱中した。だからこそ、どんなに高い壁にぶつかっても諦めずに進んでこられたのだと彼は言う。
「やはり『諦めない』『コツコツやっていく』ということは、自分が夢を追いかける上で必ず設定しなければいけないマインドだと思います。高い目標を設定すればするほど壁に直面しますが、それを乗り越えるためには諦めない気持ちが間違いなく大事になってきます。今回クリニックに来てくれたのは小学1〜3年生ということもあり、一番伝わりやすい『諦めない』という言葉を選ばせていただきました。僕はこれまで大変なこともありましたが、やめたいと思ったことは一度もありません。それは心底バスケットが大好きだったからです。このクリニックが、子どもたちにとって『バスケットって楽しいな』と自分に合うのかどうかを見つけるきっかけになってくれたら嬉しいです」

体格の小ささを言い訳にせず、世界最高峰のリーグで戦う彼は、自身の夢の延長線上に子どもたちの夢を見ている。NBAのコートに立つこと。それが子どもたちに「自分たちにもできるかもしれない」という希望を与えることに繋がると信じているのだ。
「僕がNBAのコートに立つことで、少しでも子どもたちが自分でもNBAに行けるんじゃないかと思ってくれたら嬉しいですし、自分ももっと欲が出てきて、コートに立つだけではなくて、もっと活躍して、当たり前のように子どもたちがNBAでプレイするイメージを持てるような選手になりたいという思いがあります。まだまだやれることはありますし、応援してくださるファンの皆さんや子どもたちと一緒に素晴らしい景色を見たいです」

最後に、現在競技に取り組む子どもたちや、中学・高校生の世代に向けて彼は言葉を贈った。
「日本のバスケットボールのレベルは確実に上がっていますし、NBAに行く選手はこれからもどんどん増えていきます。僕が小・中・高生の頃のレベル以上の選手がすぐに見つかる時代ですし、NBAは決して遠い世界ではありません。自分を信じて、目の前にある目標をコツコツと達成していけば、必ず到達できる場所だと思います。来シーズン以降、その夢をより現実のものとして感じてもらえるように、僕自身もさらに活躍できるように頑張ります」
今回のイベントに臨んだ河村は、世界最高峰のNBAプレイヤーとしての誇らしさと、子どもたちへの温かさを醸し出していた。そして子どもたちに挑戦する心と、諦めないことの大切さ伝えた彼の言葉は、参加者の心に、未来へ続く大きな種を植え付けたに違いない。





文/飯田康二(月刊バスケットボール)

タグ: 河村勇輝

PICK UP