ベルテックス静岡・柏倉哲平選手が子どもたちへ届ける、プロとして「還元したい」という強い想い

プロはバスケットボールだけをすればいい存在ではない。還元できるパワーがある
不登校支援や障がい者アート企画への参加など、コート外で精力的にアクションを起こし続ける柏倉哲平選手。小学生のころに見た地元山形のスター、大神雄子選手(現トヨタ自動車アンテロープスHC)の対応を原体験とし、「他人と比較せず、自分らしく挑戦していい」というメッセージを多様な子どもたちへ届けています。プロアスリートが持つ“還元できるパワー”をどう生かし、子どもたちへ元気を与えていくのか。バスケットボールの枠を超えたコミュニケーションを重んじる柏倉選手が抱く、社会貢献への深い想いを伺いました。
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――社会的責任活動に非常に精力的に取り組んでいらっしゃいます。どんなところにやりがいや意義を感じていますか?
柏倉)自分たちはバスケットボールを仕事にさせてもらっていますが、プロ選手になってから「それだけやっていればいい存在ではないな」と強く実感しました。たくさんの方々に支えられている中で、自分たちがバスケットボール以外で社会に何を還元できるかと考えたとき、子どもたちを元気にできる「パワー」を持っていることに気づいたんです。だからこそ、自分たちが力になれることは積極的にやっていきたいと個人的に思っています。
――何かきっかけや影響を受けた方がいるのでしょうか?
柏倉)自分が小さい時はプロの試合を見る機会がなかなかありませんでしたが、たまたま地元・山形での試合時に、JOMO(当時、現ENEOSサンフラワーズ)の大神雄子選手が凱旋するというので見に行く機会があったんです。試合後、大神選手は体育館の外で待っていた子どもたち全員にサインを書いたり、交流してくれたのですが、小学生の自分にとってはそれがすごくうれしかったんです。その体験は現在、子どもたちに対する僕の思いの原点になっていますね。

――B.HopeのON the Court!(不登校支援プロジェクト)にも参加し、子どもたちと直接オンラインでお話をされたそうですね。
柏倉)小・中学生の時期というのは、人間関係などいろんな感情が芽生え始め、他人と比較して敏感になる時期だと思います。だからこそ「他人と比較する必要はないよ」ということを伝えました。自分らしく挑戦して、好きなことに夢中になればいい。不登校という悩みを抱えた子への言葉選びにはどうしても気を遣うところもありますが、自分の考えを押し付けるのではなく、子どもたちの目線に立って伝えようと強く意識していました。

ON the Court!オンライン中の様子
――そういった触れ合いの中で、逆に得られるものは何でしょうか?
柏倉)やはり子どもたちはすごいパワー、エネルギーを持っているなと思います。試合の時期はどうしても戦術やチームのルールばかりを考えて張り詰めているのですが、こうした機会では何も考えずに純粋にコミュニケーションを楽しむことができます。交流を通して自分を知ってもらいバスケットボール選手として頑張る姿を「また見たい」と思ってもらえることは、自分自身の大きな活力に繋がっていますね。
――2月に開催された「VELTEX ART GALLERY ワークショップ*」にも参加されていました。アートを通じたやり取りはいかがでしたか?
柏倉)感じたのは、絵を描くことでの交流には上手い・下手の序列が関係ないということです。自分の好きなものを描いて見てもらうことで、「いい色を使ってるね」などと自然にコミュニケーションが生まれました。言葉のやりとりが苦手な子でも、絵に触れて質問してみるとどんどん言葉が出てきたりするんですよ。いきなり会話をするのは難しくても、お互いの絵を通すことで少しずつ心の壁がなくなっていくんだなと感じました。無理に話さなければと思うのではなく、純粋に楽しむことができたことは、すごく新鮮でしたね。
*スポーツとアートを通じて、知的障がいのある方々をはじめ、多様な人たちが一緒に表現を楽しむワークショップを展開。その過程で制作したアートを県内各所にディスプレーし、共生社会のメッセージを届ける事業。今シーズンは日本財団の助成を受けてまちづくり事業として実施した。

――加納誠也選手も一緒に活動していましたね。
柏倉)はい。加納選手のようなベテラン選手は経験が豊富で、常に先立ってアドバイスをしてくれます。それが本当にチームのためになっていると深く感じるので、見習わなければいけない部分です。自分も今、中堅からベテランへ移行する立場として、若手への助言を重視しています。自信を持って良いところを伸ばせるように、常にポジティブな声掛けを意識して後輩たちには接するようにしています。
――柏倉選手は静岡でキャリア5クラブ目ですね。静岡の魅力をどんなところに感じますか?
柏倉)気候も温かくて過ごしやすいですし、人々も気軽に挨拶してくれるなど、家族連れにも非常に優しい印象がありますね。公園もたくさんあってどこも人がいっぱいで、本当に温かい地域だなと感じています。まだ、どこに行ったら楽しいのかと探索中なのでさらなる魅力が見つかるかもしれません(笑)
――今後、「こんなことをやってみたい」というアイディアはありますか?
柏倉)バスケットボールをやっていない子とボールで遊ぶ接点を持つことはもちろんですが、たとえば地域のゴミ拾いやボランティア活動など、「子どもたちと同じミッションに一緒にチャレンジする」活動もやってみたいですね。自分たちがプレーできているのは、スポンサー企業様や地域、ファンの皆様のおかげです。影響力をもったプロ選手だからこそ率先して地域のために動き、静岡を盛り上げることが、最終的にクラブを盛り上げることにも繋がります。プロ選手として、オフコートでのアクションは非常に大事なことだと強く思っています。
取材協力:Bリーグ
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文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)









