月刊バスケットボール10月号

Bリーグ

2026.04.24

岩屋頼(秋田ノーザンハピネッツ)――「おらほのルーキー」の意気込み

3月28日の京都戦で果敢なアタックを見せる岩屋(©B.LEAGUE)

この2月に初めて行われたBリーグドラフトで、秋田ノーザンハピネッツから1巡目5位指名を受けた岩屋頼が、さっそくはつらつとしたプレーでチームの力となっている。


328日にホームでのアルティーリ千葉戦でデビューして以来、422日のレバンガ北海道戦まで15試合に出場。5試合目だった328日の京都ハンナリーズ戦では、フィールドゴール9本中6本を成功(うち3Pショットは2本中1本成功)させて14得点を記録し、チーム加入後初の勝利に貢献したが、この日はMVPにも輝いている。1点差で敗れた419日のA千葉戦でも、岩屋は接戦の4Qにビッグショットを連発させるなど11得点を挙げたほか、リバウンド5つをつかむハッスルぶりでもチームを鼓舞した。

大阪府出身、2003年4月20日生まれの23歳。高い得点力を持つ183cmの若きポイントガードに、秋田でのバスケットボールライフを聞かせてもらった。


得点力、プレーメイク、ハッスルと魅力の多い岩屋は、直近2年間に3x3U23日本代表にも選ばれている(©B.LEAGUE)

ハイレベルなB1のバスケットボールが楽しい!

——のびやかなストロークが美しく印象的ですが、シュートに関して誰か「この選手のようになりたい」と目指した選手はいますか?

プルアップなら一番は富樫さん(千葉ジェッツの富樫勇樹)です。あのスピードは真似できるものではないんですけど、一番うまいと思って見ています。

——フォームやショット・メカニックについて、特に心掛けて練習していることはありますか?

あまりないですけど、ディップしてしまうとボールがずれやすいということを最近アシスタントコーチに教えてもらってからは、ボールをキャッチした後あまり降ろさないようにしています。

——効果は出ていますか?

左右のブレは抑えられていると思います。まだそのシュートに対して自分の中でも信頼しきれていないので、試合中に実践できるかというと分からないですけど、注意してやっていきたいです。

——B1でのプレーを楽しめていますか?

そうですね! もう試合に出たら大学時代と違ってどのチームにも日本代表がいたり、レベルが高い選手ばかりですからね。ディフェンスが弱点なので、そういった選手とのマッチアップはなかなかさせてもらえないんですけど、プレーしているのも、ベンチから見ているのもすごく楽しいです。


©B.LEAGUE





——B1の試合ではディフェンスの強度も大学時代より高いと思いますが、どのくらいアジャストできている感触ですか?

最近はボールロストが少なくなってきています。ようやく慣れてきたのかなと思いますけど、やっぱり上位のアルバルク東京や名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの試合ではめっちゃターンオーバーが増えてしまいました。そのときは強度だけでなく、これまでと違うリーチの長さなど、日本のトップレベルを肌で感じて、「これはヤバいな」という感じでした。

——アルティーリ千葉戦では、得点に加えリバウンドや50-50ボールに食らい付くハッスルも目を引きました。B1のそういう側面も大学の試合よりもよりアグレッシブさが必要になるかと思いますが、どんな意識を持って練習や試合に臨んでいますか?

そこはどのカテゴリーでも言われてきたことですし、大事だと分かっています。僕自身はあまり飛び込みリバウンドなどをしないと言われてきて、今もそれほど飛び込んではいないですけど、予測して50-50ボールになる前に察知して取りに行くことを意識しています。その予測がほかの選手より一歩速くできていることで、取り切れているんじゃないかなと思います。ボールがどういうふうに落ちてくるかは、普段の練習から常に予測するようにしています。

リバウンドはビッグマンたちがボックスアウトしてくれているので、僕たちは「いいとこ取り」のつもりではないですけど、とにかく跳んで取ればいいだけ。そこはしっかり取ろうという気持ちです。

——チームメイトの堀田尚秀選手をはじめ、B1で同年代の選手が活躍していますがやはり刺激になりますか?

なります。けがしてしまった准平(滋賀レイクスの岩下准平)とかも、同じポジションで中学生の頃からマッチアップしていましたし、翔太(島根スサノオマジックの新井翔太)も、ドラフトされたわけではないですけど、全然僕たちよりインパクトのある活躍をしていますからね。見ていてすごいなと思うんですけど、負けていられないなという気持ちもちょっとは出ちゃいますね。

——特に誰かの頑張りに触発されて自分も頑張るぞと思えるような存在はいますか?

新井選手でしょうかね。ずっとバスケをやってきた中で、同年代では一番スキルがある選手ではないかと思います。「同年代だと誰がうまい?」と聞かれたら新井翔太と答えるくらいです。それがB1の舞台で、試合を支配するくらいの活躍をしているときもあるので、メディアを通じて見ていますし、参考にもしています。ライバルではないですけど、気にはしていますね。

秋田ノーザンハピネッツ・ライフの魅力

——秋田に移り住んで、街や文化などについて「こんなところは素敵だな!」と感じた側面はどんなところですか?

治安がいいですね。大阪と東京で暮らしてきましたが、お世辞にも治安がいいと言える地域ではなかったですからね(笑)。空気も街もきれいで、治安がいいと思います。

——秋田ノーザンハピネッツに関して「このチームはここがいいよ!」とファンにお奨めするポイントはどんなことですか?

たくさんあるんですけど、ケガ人も多くなっている中で、自分がやったことのない役割を与えられた選手も言い訳をせずに全力で戦い続けるところはすごく注目してほしいポイントです。毎試合活躍する選手が変わるところもそうですね。調子のいい選手が次々と出てきて活躍する試合も多いので、皆さん誰を推すか迷うくらいヒーローがいるんじゃないでしょうか。

——面倒見よく「秋田ノーザンハピネッツ・ライフ」を教えてくれている人と言ったら誰でしょう?

みんなよくしてくれるんですけど、大陽さん(元田大陽)はその一人ですね。年も近いですし、最初から秋田やBリーグについて分からないことを教えてもらいました。いつも仲良くしてくれていてお世話になっています。でも、そろそろご飯に連れて行ってほしいなと(笑)

——まだ行ってはいないんですね?

まだなんですよ~(笑)


はつらつとした岩屋のプレーはチームにとって元気の源でもある(©B.LEAGUE)

——秋田弁は何か教えてもらいましたか? もし覚えた言葉などあったら教えてください。

詳しいニュアンスまでは分からないんですけど、「おらほ」ですね。チームのモットーとして「おらほ」と言っているので、それは覚えました。
※おらほ=「おら(私)」と「方」が組み合わさった秋田弁で、「我々」を意味する。ハピネッツはローマ字の「ORAHO」をチームビジョンに掲げており、ファンクラブも今季「おらほ魂」をキャッチコピーとしている

——稲庭うどんやきりたんぽなど秋田はソウルフードも多いですが、何か食べてみたご当地グルメはありますか? もし何か食べたものがあったら、どんな感想を持ったか教えてください。

きりたんぽは、鍋も焼いたものもいただきました。あと、ぎばさとか…。結構色々と食べていますよ。僕が一番「おおっ!」と驚いたのは比内地鶏です。初めて食べたとき、肉の弾力がほかの鶏と全然違って、筋肉を感じました(笑)

——最後に、シーズン終盤からオフ、そして来季に向けた意気込みを教えてください。

今季の残り試合では、とにかくコートに出たら自分の通用する部分と課題を見つけるところを頑張りたいです。その上で、オフシーズンに強みをより強くしたり課題を克服したりして、来シーズンはさらにステップアップした姿を皆さんに見てもらえたらと思っています。残り試合はとにかくトライ。自分の良さを出したいと思います。


©B.LEAGUE

シーズン最終盤、しっかり学んで飛躍につなげたい

早稲田大時代の岩屋の実績は輝かしい。3年生のときには、関東オータムリーグ2部でチームを優勝と1部昇格に導くとともに、自身は3P王のタイトル(成功率38.0%)を獲得。最終学年だった昨年は、昇格直後の1部リーグにおいて57年ぶり6回目の優勝、インカレでも準優勝と古豪復活を果たした早稲田大にあって、今もチームメイトの堀田尚秀とともに爆発的なオフェンスの原動力となっていた。

チームが成し遂げた成功に加えて、個人として手にしたオータムリーグ優秀選手賞、インカレ敢闘賞という勲章は、間違いなく自信の源となっていることだろう。ミック・ダウナーHC19日のA千葉戦後、「ヨリは自信を持ってアグレッシブにプレーしてくれています」と話していた。

秋田ノーザンハピネッツの今季は非常に厳しい戦況ではあるものの、岩屋の言葉からは、期待を感じながら非常に前向きな意欲を持って1試合1試合を大切に戦っていることが伝わってくる。シーズンの最終盤においても、思い切りよく攻め、ひたむきにプレーする「おらほのルーキー」の活躍が、チームと秋田県を元気にしてくれるに違いない。





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