月刊バスケットボール5月号

NBA

2026.04.17

5度目のNBAプレーオフに臨む八村塁、次世代に“背中”で見せる最高峰への思い「もっと勇気付けられたり、モチベーションになってくれたら」

NBAは82試合の長いレギュラーシーズンが終わり、いよいよプレーオフに突入。先立って行われたプレーイン・トーナメントが大きな盛り上がりを見せた。

八村塁が所属するロサンゼルス・レイカーズは、レギュラーシーズンを53勝29敗(勝率.646)のウェスタン・カンファレンス4位でフィニッシュし、プレーオフのストレートインを決めている。

1回戦の相手は、ケビン・デュラント率いるヒューストン・ロケッツ、第1戦は日本時間4月18日に行われる。プレーオフに先立って、日本時間4月16日の早朝4時半頃に八村のメディアセッションが行われた。

約10分間、プレーオフについての質問に答えた八村。ウェアは「JAPAN」の文字が刻まれた日本代表のものを着用していた。

八村にとってプレーオフは今回で5度目。ワシントン・ウィザーズに在籍していた2020-21シーズンと、レイカーズ移籍後の直近4シーズン連続での出場となる。今季のレイカーズは八村が所属している期間で過去最高の勝率を残し、特に歯車がかみ合った3月は15勝2敗という圧倒的な勝率。シーズン終盤にして、いよいよ優勝の可能性も感じさせる戦いぶりを見せた。

一方で、そのシーズン最終盤にルカ・ドンチッチがハムストリングを負傷。その直後にオースティン・リーブスの負傷も伝えられ、少なくとも1回戦は彼ら2人抜きでの戦いを強いられる。ドンチッチが平均33.5得点、リーブスが同23.3得点と、チームの2トップの同時離脱は言わずもがなの大打撃だ。

だが、八村は冷静だった。「ケガはバスケの世界、NBAの世界では仕方のないことなので。NBAは待ってくれないですし、そういうときこそ、本当にチームがどれだけ強いのかが分かってくると思います」。チームとしても「『ルカがいない』『オースティンがいない』といつも話しているわけではない」とし、今いるメンバーでどう戦うかにフォーカスしていることを強調した。特にレブロン・ジェームズと八村にかかる責任は増幅する。中でもドンチッチとリーブスがもたらしたシューティングをどう補うかが重要でだと八村は説く。

「彼らがいない分、僕らがもっと頑張ろうと。僕の役割としてももっとボールが回ってきたりするので、オフェンスでもっとアグレッシブにいけとも言われています。あとはシューティングですね。そこ(の役割)が大きくなってくると思うし、チームとしても今シューティングが必要なので、そこは自分でも意識しながらもっとアグレッシブに行けるように頑張っていきたいです」

高校、大学と彼のストロングポイントの一つだったのが、ミッドレンジジャンパーだ。NBAでもその決定率は上位に位置していた。一方で、レイカーズ移籍後はより3Pの比重を増やすことを求められ、過去数年は「2Pと3Pを分けるのが結構僕の中では難しかった」と八村。それでも、在籍4季目にしてその役割が完全に習慣化したことで、リーグ5位の3P成功率44.3%の高確率で長距離砲を決め続けた。



1回戦で激突するロケッツとは今季3試合を戦って2勝1敗


プレーオフは「マラソン」
最高峰を背中で見せる

NBAでは中堅、プレーオフ経験も豊富な部類に入ってきた八村。彼に、プレーオフのマインドセットはレギュラーシーズンやほか国際大会とどう違うのか聞くと、こう答えた。

「国際大会とかでも、大きな大会になるとだいたいトーナメント制になると思うので、1回負けたら終わり、勝てば次という一発勝負になります。でも、プレーオフは本当に長い。1ラウンドで(同じ相手に)4回も勝たなければいけないので、気持ちとしても一発勝負というよりも、“マラソン”だと思ってしっかりと戦術とか、そういうところも考えながらやらなきゃいけないです。だから、どちらかというとフォーカス力を上げたり、メンタル的なところや細かいところをもっと意識しながらやろうと思っています。そういうところで少しゲームの感覚が違う、レギュラーシーズンとは違う部分があります」

NBAのプレーオフはファイナルまで到達すれば約2か月。仮に全てのシリーズが第7戦までもつれれば最大で28もの試合数になる。82試合を終えた後に待っている、最も過酷なトーナメントだ。

ただ、それは彼自身が子どもの頃に憧れた舞台。時には「学校を休んでまでもプレーオフを見ていた」と語る、最高峰の技術と精神力のぶつかり合いだ。「僕が中学、高校でNBAに憧れていたときは、もちろんレギュラーシーズンも見ていたんですけど、僕はプレーオフをすごく見ていたので。それこそ、学校を休んでまでも僕はプレーオフを見ていたので。プレーオフのインテンシティとか激しさ、そして最高のレベルの中で選手たちの本気度を見られるので」

今、その場に自分が立ち、今度は子どもの頃の自分がそうであったように、プレーオフを見てNBAを夢見る子どもたちが現れるに違いない。

常々、日本バスケ界の、特に子どもたちの育成を気にかける八村にとっては、自身が戦う姿勢を見せることでその思いを未来につなげることにもなる。八村は言う。

「僕もそういうレベルの高いところ(プレーオフ)で戦っているんだなと分かっていますし、子どもたちも見てくれているんじゃないかと思うので。もっと勇気付けられたり、モチベーションになってくれたらいいんじゃないかと思います」

レイカーズが目指すはリーグ史上最多タイ18度目のチャンピオンシップだ。八村にとっては優勝を目指すと共に、未来ある子どもたちにその背中を見せるシーズン最後にして最大の挑戦が、プレーオフだ。






写真/Getty Images、文/堀内涼(月刊バスケットボール)

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