月刊バスケットボール5月号

Wリーグ

2026.04.13

デンソーが5度目の挑戦で悲願の初優勝。髙田真希がMVP【Wリーグファイナル】

王手をかけたデンソーと、後がないトヨタが譲らない攻防


レギュラーシーズン1位、2位対決となったトヨタ自動車 アンテロープスとデンソー アイリスによる「京王電鉄Presents Wリーグプレーオフ2025-26ファイナル」。4月12日、第4戦が京王アリーナTOKYOで行われた。これまでの3戦ではデンソーが2勝1敗としており、初優勝に王手。トヨタ自動車は何としても第4戦に勝利し、最終戦に望みをつなぎたいところだ。
 
そのトヨタ自動車は、司令塔の#15 安間志織が積極的に仕掛けていき、オフェンスの流れを作っていく。一方、デンソーは#21 笠置晴菜が3Pシュート、さらに#8髙田真希、#13 木村亜美が難しいシュートを決めて対抗。また、ディフェンスでは#28 シラ ソハナ ファトー ジャが長い手を生かしたスティール、ブロックを見せてトヨタ自動車のオフェンスを止める。その後、#4 川井麻衣の3Pシュートが決まるなど、1Qを18-13とリードした。
2Qに入り、トヨタ自動車は#3 小野寺佑奈の得点などでデンソーに詰め寄り僅差の状態が続く。クォーター半ば、#15 安間のフリースローで同点にすると、その後は両者譲らず一進一退。終盤、デンソーは#28ソハナがミドルシュートを確率良く沈めるなど、38-33とリードを保って前半を終えた。



トヨタ自動車は、司令塔の#15 安間志織が積極的に仕掛けていった
 


流れを変えたデンソーの新鋭・薮がゲームチェンジャーに


後半に入ると、トヨタ自動車が#14 平下愛佳の3Pシュート、#15 安間のドライブと連続得点で試合を振り出しに戻す。しかし、ここでアクシデントが起こり、#15 安間が負傷退場となってしまう。それでも#13 オコンクウォ スーザン アマカがゴール下をねじ込み、バスケットカウントを奪い41-38と一歩リードする。デンソーはシュートが決まらず、苦しい状況が続く。これを打開したのは#18 薮未奈海。ファウルを受けながらもドライブを決め切りバスケットカウント。さらに連続でドライブを決めて、43-43の同点に戻した。ここから再び両チームが点を取り合い一進一退。クォーター終了間際に#72 今野紀花がドライブを決めたデンソーが50-49と1点リードして最終クォーターを迎えた。


10アシストをマークした川井

4Q開始早々、3Qから乗ってきた#18 薮が3Pシュートを決める。さらに#4 川井からのパスを受けた#13 木村がゴール下で得点。55-49としてトヨタ自動車にタイムアウトを取らせる。その後のトヨタ自動車の攻撃をディフェンスでしのぐと、髙田が正面から3Pシュートを決める。トヨタ自動車も#13 アマカが力強いプレーで1ゴール返すが、再び#18 薮が3Pシュートを沈め、流れを渡さない。#18 薮はさらにもう一本3Pシュートを決めて64-51とデンソーが波に乗る。反撃を試みるトヨタ自動車の攻撃を、堅いディフェンスで守り切ったデンソーが70-51で勝利。シリーズ3勝1敗、デンソーはWリーグファイナル5回目の挑戦で悲願の初優勝を遂げた。


デンソーの新鋭・薮が3Pシュートを射抜き、相手に流れを渡さず



18年目の結実。MVP髙田真希が語った「続けること」の意義


前半無得点ながら、後半に3Pシュート3本を含む14得点。この試合のヒロインとなった#18薮は「対戦を重ねる中で相手のアジャストも分かっていましたので、ボールをもらったときにどこで裏を突けるかを考えていました。どこかで絶対にドライブに行けるという手応えがあり、チャンスが来た場面で強い気持ちを持ってアタックすることができました。あのプレーから自分の流れをつかむことができ、最終的には周りの良いスペーシングやパスのおかげで、3Pシュートまでつなげることができました。あのドライブが、良い流れを作るきっかけになったと感じています」と3Qからのパフォーマンスを振り返った。

ヴラディミール・ヴクサノヴィッチHCは「主力選手を休ませつつ、マッチアップを変えてアグレッシブさを取り戻したいと考えました」と薮ら若手選手起用の狙いを語りつつ、「何より、私は彼女たちを信頼しています。信頼していなければ、このようなファイナルの舞台で起用することはありません。彼女たち若い選手たちのエナジーがチーム全体を勢いづけ、最終的にこのような形で試合を締めくくることができたと思っています」と若手選手たちの活躍を評価した。

そして、この試合も最多となる21得点を挙げ、文句なしのMVPに選出された#8髙田真希は、「18年続けてきて、初めて優勝できました。成功する人は成功するまで続けた人だと思います。続けていくことで、いいことがあるんだなと私自身も感じています」と会場に駆け付けたファンに向けて語りかけた。また、表彰式後の優勝会見では「準優勝を何度も経験してきたので、『自分は優勝できない人生なのかな』と考えたり、昔流行った『2位じゃダメなんですか』という言葉が頭をよぎったりすることもありました」と本音を口にした。そして、「『勝ちたい』という思いが、言葉を交わさなくても練習中からすごく伝わってきます。そんな彼女たちの姿を見て、この年齢になってももっと頑張らなければいけないと思い、バスケットを続けられています。続けることは苦しくて、途中でやめたくなったり、諦めたくなったりしたこともたくさんありましたが、いつか必ず報われるときが来ると、私自身オリンピックでメダルを獲得した時に感じていました。結果的にこうしてみんなと優勝できたのは、みんなが私にモチベーションを与えてくれたからだと感じています」とチームメートとともに獲得した初優勝への喜びを表した。


「18年続けてきて、初めて優勝できました」と語った髙田、文句なしのMVPに選出された 

 Wリーグ 2025-26シーズン プレーオフ ファイナル
優勝 デンソー アイリス(3勝1敗)
MVP 髙田真希(デンソー #8)

プレーオフ ベスト5
川井麻衣(デンソー #4)
髙田真希(デンソー #8)
シラ ソハナ ファトー ジャ(デンソー #28)
オコンクウォ スーザン アマカ(トヨタ自動車 #13)
山本麻衣(トヨタ自動車 #23)






文/飯田康二(月刊バスケットボール)、写真/石塚康隆(月刊バスケットボール)

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