京都移籍で重責担う小川麻斗が、それでも感じる楽しさ「責任を楽しめるようになってきている」

負けてなお、京都ハンナリーズの小川麻斗の表情は、充実感に満ちていた。
第29節で宇都宮ブレックスと対戦した京都は、ゲーム1を75-91、ゲーム2は見事なバウンスバックを見せたものの、それでも4Qの勝負どころで14-0のランを展開されるなどし、最終スコアは77-89。戦える時間帯ももちろんあったが、EASLチャンピオンの実力をまざまざと見せつけられる形となった。
結果は伴わない週末となったが、小川のプレーからはこれまで以上の責任感と、自分がチームを勝たせるという意志が感じられた。今季は48試合に出場し、うち過半数の29試合で先発。2桁得点は21試合と、昨季までB1での4シーズンで11試合しか2桁得点がなかったことを考えると、それだけでも大きなステップアップだと分かる。さらに直近13試合は全て先発を任されており、徐々にその立ち位置を確かなものとしている。
宇都宮とのシリーズでも、ゲーム1が11得点、3アシスト、ゲーム2も10得点、5リバウンド、4アシストを記録。両日、苦しい場面で3Pシュートやドライブを成功させ、ゲームクロージングの時間帯にプレーメイクでもチームを率いた。

特別指定選手としてプレーしたライジングゼファー福岡とサンロッカーズ渋谷では、プロとしての心構えを学ぶところから始まり、昨季まで3シーズン所属した千葉ジェッツでは、主にディフェンス面でベンチから活力を与えることを求められた。しかし、特に昨季は「そこが足りなかったです。上には(富樫)勇樹さんがいて、セカンドでチームに良いエナジーや流れを持ってこられなかったところがすごく課題だった」と、コーチ陣の信頼を十分に勝ち取れず、プレータイムが激減。まだ24歳と若い小川にとって、ベンチを温める日々は精神的に苦しかったに違いない。
そんな彼が決断したのが、京都への期限付き移籍だった。高校の同期である河村勇輝が、若くして横浜ビー・コルセアーズを率いて結果を出し、今ではNBAまでたどり着いた。小川はそれを引き合いに、「勇輝はBリーグにいるときも、若いうちに経験を積んで横浜を勝たせていたことを考えると、僕もプレータイムを求めて京都に移籍してきて、やっぱり若いうちはプレータイムがすごく大事だなと思っています」と言う。
ただ一方で、自らが中心になるということは、勝敗の責任の多くを自分が負うということでもある。今季の京都は序盤戦で外国籍にケガ人が出た影響も大きく、思うようなスタートダッシュが切れなかった。現在のBリーグにおいて外国籍のケガはそれだけでチームの成績の大部分に直結するだけに、京都のつまずきもある程度は致し方ない。

だが、小川は「序盤にアンジュ(アンジェロ・カロイアロ)やCJ(チャールズ・ジャクソン)がケガでいなかったのがチームとしては痛いシーズンの入りだったんですけど、でも、そこでなかなか勝てなかったのがすごく悔しかったです。まだまだ自分にはチームを勝たせる力がないなと感じました。外国籍がいないとはいえ、もっとやれることやチームを勝たせるチャンスはあったと思うんですけど…もちろん、それでも役割を与えてもらえているのが楽しいですが、日本人でチームを勝たせるような選手になれるように頑張っていかないといけないなと思いました」と自身のプレーに危機感を持っていたと明かした。
それだけの責任を自らに課し、自分ならそれができると期待もしていた。チームも自分に大きな役割を与えてくれた。だからこそ、理想と現実とのギャップが歯がゆかった。ただ、そんな状況ですらも、今の小川にとっては楽しいのだ。
「こういう経験はなかなかできない」
まさにこの言葉どおりである。チームの命運を任されることほど、名誉なことはない。そして今の彼がそれに順応し始められているのは、千葉Jでの日々が間違いなく価値あるものだったからだ。小川は言う。「千葉のときとはまた違う役割を任せてもらえているので、そこに慣れるための時間はかかっています。ターンオーバーの数などもまだまだだと感じる部分もありますし。ただ、その中でも勇樹さんや(西村)文男さんの大事なときに決め切る力やゲームメイクは、千葉で学んできたところ。それご今の自分のプレーにも出ているなと思います」
今、彼が感じている難しさ、苦しさ、そして楽しさ──それらはSR渋谷ではベンドラメ礼生が、千葉Jでは富樫が長い期間経験しているものでもある。当時の彼らの気持ちが分かる部分もあるのではないか。そう小川に問うと彼は笑みを浮かべながら「ありますね」と答え、次のように続けた。
「接戦の場面で出る責任を任せてもらっているときにそう思います。千葉のときはやっぱり勇樹さんを探していて、自分が空いたら思い切り打つ、ここ一本のディフェンスを止めるぞというマインドだったんですけど、今シーズンは今誰の調子がいいのか、ここは自分で行くべきかとより考えてプレーしています。責任は大きくなりましたけど、それを楽しめるようにもなってきているので、去年までとはまた違った感覚になってきています」
立場は人を変える。まさに今、小川麻斗はもう一段階上のレベルの選手になろうとしている。

第29節で宇都宮ブレックスと対戦した京都は、ゲーム1を75-91、ゲーム2は見事なバウンスバックを見せたものの、それでも4Qの勝負どころで14-0のランを展開されるなどし、最終スコアは77-89。戦える時間帯ももちろんあったが、EASLチャンピオンの実力をまざまざと見せつけられる形となった。
結果は伴わない週末となったが、小川のプレーからはこれまで以上の責任感と、自分がチームを勝たせるという意志が感じられた。今季は48試合に出場し、うち過半数の29試合で先発。2桁得点は21試合と、昨季までB1での4シーズンで11試合しか2桁得点がなかったことを考えると、それだけでも大きなステップアップだと分かる。さらに直近13試合は全て先発を任されており、徐々にその立ち位置を確かなものとしている。
宇都宮とのシリーズでも、ゲーム1が11得点、3アシスト、ゲーム2も10得点、5リバウンド、4アシストを記録。両日、苦しい場面で3Pシュートやドライブを成功させ、ゲームクロージングの時間帯にプレーメイクでもチームを率いた。

特別指定選手としてプレーしたライジングゼファー福岡とサンロッカーズ渋谷では、プロとしての心構えを学ぶところから始まり、昨季まで3シーズン所属した千葉ジェッツでは、主にディフェンス面でベンチから活力を与えることを求められた。しかし、特に昨季は「そこが足りなかったです。上には(富樫)勇樹さんがいて、セカンドでチームに良いエナジーや流れを持ってこられなかったところがすごく課題だった」と、コーチ陣の信頼を十分に勝ち取れず、プレータイムが激減。まだ24歳と若い小川にとって、ベンチを温める日々は精神的に苦しかったに違いない。
そんな彼が決断したのが、京都への期限付き移籍だった。高校の同期である河村勇輝が、若くして横浜ビー・コルセアーズを率いて結果を出し、今ではNBAまでたどり着いた。小川はそれを引き合いに、「勇輝はBリーグにいるときも、若いうちに経験を積んで横浜を勝たせていたことを考えると、僕もプレータイムを求めて京都に移籍してきて、やっぱり若いうちはプレータイムがすごく大事だなと思っています」と言う。
ただ一方で、自らが中心になるということは、勝敗の責任の多くを自分が負うということでもある。今季の京都は序盤戦で外国籍にケガ人が出た影響も大きく、思うようなスタートダッシュが切れなかった。現在のBリーグにおいて外国籍のケガはそれだけでチームの成績の大部分に直結するだけに、京都のつまずきもある程度は致し方ない。

だが、小川は「序盤にアンジュ(アンジェロ・カロイアロ)やCJ(チャールズ・ジャクソン)がケガでいなかったのがチームとしては痛いシーズンの入りだったんですけど、でも、そこでなかなか勝てなかったのがすごく悔しかったです。まだまだ自分にはチームを勝たせる力がないなと感じました。外国籍がいないとはいえ、もっとやれることやチームを勝たせるチャンスはあったと思うんですけど…もちろん、それでも役割を与えてもらえているのが楽しいですが、日本人でチームを勝たせるような選手になれるように頑張っていかないといけないなと思いました」と自身のプレーに危機感を持っていたと明かした。
それだけの責任を自らに課し、自分ならそれができると期待もしていた。チームも自分に大きな役割を与えてくれた。だからこそ、理想と現実とのギャップが歯がゆかった。ただ、そんな状況ですらも、今の小川にとっては楽しいのだ。
「こういう経験はなかなかできない」
まさにこの言葉どおりである。チームの命運を任されることほど、名誉なことはない。そして今の彼がそれに順応し始められているのは、千葉Jでの日々が間違いなく価値あるものだったからだ。小川は言う。「千葉のときとはまた違う役割を任せてもらえているので、そこに慣れるための時間はかかっています。ターンオーバーの数などもまだまだだと感じる部分もありますし。ただ、その中でも勇樹さんや(西村)文男さんの大事なときに決め切る力やゲームメイクは、千葉で学んできたところ。それご今の自分のプレーにも出ているなと思います」
今、彼が感じている難しさ、苦しさ、そして楽しさ──それらはSR渋谷ではベンドラメ礼生が、千葉Jでは富樫が長い期間経験しているものでもある。当時の彼らの気持ちが分かる部分もあるのではないか。そう小川に問うと彼は笑みを浮かべながら「ありますね」と答え、次のように続けた。
「接戦の場面で出る責任を任せてもらっているときにそう思います。千葉のときはやっぱり勇樹さんを探していて、自分が空いたら思い切り打つ、ここ一本のディフェンスを止めるぞというマインドだったんですけど、今シーズンは今誰の調子がいいのか、ここは自分で行くべきかとより考えてプレーしています。責任は大きくなりましたけど、それを楽しめるようにもなってきているので、去年までとはまた違った感覚になってきています」
立場は人を変える。まさに今、小川麻斗はもう一段階上のレベルの選手になろうとしている。

文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)









