月刊バスケットボール5月号

Wリーグ

2026.04.04

デンソーがトヨタ自動車の追撃を振り切り先勝【Wリーグファイナル】

第1戦で勝利を手にしたデンソー

悲願の優勝に向け、デンソーが初めてファイナル第1戦を制す

京王電鉄Presents Wリーグプレーオフ2025-26ファイナル(3戦先勝方式)44日、京王アリーナTOKYOで開幕した。レギュラーシーズン1位のトヨタ自動車 アンテロープスと同2位のデンソー アイリスが激突。第1戦は2Qでリードを作ったデンソーがトヨタ自動車の再三の追撃を振り切り、75-66で勝利を収めた。大黒柱の#8 髙田真希が26得点したほか、#28 シラ ソハナ ファトー ジャ、#4 川井麻衣、#13 木村亜美 と計4選手が2桁得点を挙げ、初戦を制した。デンソーはこれまで4回進出したファイナルにおいて、全て初戦を落としていたが、5度目となる今回は勝ち切って初めて第1戦を取った。髙田は「まずは初戦を勝てたことが、チームにとって大きな自信になったと思います。40分間、常に自分たちのペースだったわけではなく、相手の勢いに押されて引いてしまう場面もありました。それでも苦しい時間帯に全員で声を掛け合い、乗り越えられたことが今日の勝因です」と初戦勝利の大きさを語った。

 トヨタ自動車は3シーズンぶり、デンソーは3シーズン連続のファイナル。両チーム、第3戦までもつれたセミファイナルを制し、決勝に進んだ。トヨタ自動車は#30 三浦舞華ら2年目の選手がそれぞれ役割を果たすなど徐々に状態を上げてトヨタ紡織 サンシャインラビッツに勝利。デンソーは接戦の末、連覇中の富士通 レッドウェーブを下した一方、第3戦でキープレーヤーの一人である#88 赤穂ひまわりが右ひじを負傷し、ファイナル欠場となるなど不安要素も抱えていた。


髙田真希/デンソー

デンソーがディフェンスで主導権を握り、2Qを5得点に抑える

ディフェンスを強みとする両チームだが、守りで主導権を握ったのはデンソーだった。1Q#13 木村、#23 篠原華美が連続でスティールしたほか、#28シラが2度ブロックショットをするなどトヨタ自動車を抑え込み、好スタートを切った。一方、トヨタ自動車もディフェンスから打開を図り、#30 三浦が連続5得点するなどして19-22と巻き返して1Qを終えた。

 試合が大きく動いたのは2Q。デンソーがディフェンスの強度を上げ、ゲームを支配しにかかる。トヨタ自動車はペイントタッチを仕掛け続けるが、デンソーの寄りの速さに苦戦しなかなか得点に結びつかない。デンソーは#23 篠原がトヨタ自動車の得点源である#14平下愛佳、#30 三浦にぴったりとマークし仕事をさせなかった。このクォーターはリバウンド数でも優位に立ち(13本対7)、トヨタ自動車をわずか5得点に抑えて39-2415点リードで試合を折り返した。試合後、キャプテンでエースの#23 山本麻衣は「戦術以前に、最初からチャレンジャーとしての思い切ったプレーができていなかったことが反省点」と悔しさをにじませた。

 シラ ソハナ ファトー ジャ(デンソー)
シラ ソハナ ファトー ジャ/デンソー

後半はトヨタ自動車が猛追 デンソーは髙田が要所で得点

一筋縄ではいかないのがファイナルの常。後半に入りトヨタ自動車が猛追を見せる。#13 オコンクウォ スーザン アマカ、#11 岡本美優らがしぶとく決めて開始5分で10点差まで戻すと、残り318秒、山本のシュートで5点差まで詰め寄った。ただ、直後に#8 髙田が得点し傾きかけた流れを戻すと、#4 川井にも3Pシュートが生まれ56-41と再び15点のリードを作った。

 それでも、最終クォーターに入り、再びトヨタ自動車が激しく追い上げる。残り3分を切り、#15 安間志織、#42 田中平和の連続3Pシュートで66-715点差まで詰め寄った。ここで初優勝を目指し、並々ならぬ士気を見せる#8 髙田が、外からゴール下にカッティングすると、得点こそならなかったがファウルを獲得。2本とも沈め、貴重な追加点を挙げるとともにチームを落ち着かせた。

最後はファウルゲームで追い上げを図るトヨタ自動車を尻目に、デンソーが落ち着いてフリースローを決め続け、勝ち切った。

 トヨタ自動車
山本麻衣(写真中央)/トヨタ自動車


試合後、#8 髙田はファウルを得た場面について「マッチアップが岡本選手に変わった時間帯で、一度外に広がってスペースを作り、タイミングを見て中に飛び込みました。チームメイトが良いパスをくれたおかげです。リバウンドにもつながる動きだったので、自分の判断がうまく機能した場面でした」と説明する。過去、一度も取れなかった初戦を制したことは、悲願の初優勝を目指すデンソーにとってチームを勢いづかせる大きな意味を持つ勝利となった。木村も「相手の勢いが強まったときこそ、冷静に判断することを意識していました。自分が攻める選択肢を持ちつつ、髙田選手のカットやローポストの状況を見て、どこで攻めるのがベストかを考えてプレーできたのが良かったです」とうなずく。そして、「明日も同じ展開になるとは限りませんので、やるべきことを一つ一つ積み重ねていきます」と、気持ちを第2戦に向けた。

 一方、敗れたトヨタ自動車。山本は「明日は最初から思い切ったプレーをすること、そして1Qから簡単にシュートを決められないよう、ディフェンスからエナジー全開で入ることが鍵になると思います。ファイナルの舞台に立つ難しさを改めて感じましたが、この経験を力に変えて、明日は若手選手たちと共にデンソーさんにぶつかっていきたいです」と巻き返しを誓った。


川井麻衣(左)、木村亜美/デンソー



文/磯野雄太郎(月刊バスケットボール) 写真/石塚康隆

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