【Wリーグ入替戦】アイシン、執念の逆転劇でプレミア残留。渡嘉敷の信頼に応えた坂本雅が値千金の3P!

勝負どころで決め切る強さを見せたアイシン
国立代々木競技場第二体育館を舞台に行われた「Wリーグディビジョン入替戦」は、互いの勝ちたい気持ちが全面に表れた激闘が繰り広げられた。Wプレミア7位のアイシンウィングスとWフューチャー2位の山梨クィーンビーズの最終第3戦。1勝1敗で迎えたこの運命の一戦は、Wプレミア残留を執念でつかみ取ろうとするアイシンと、Wフューチャーからの下剋上を狙う山梨QBが激突する、緊張感に満ちた40分間となった。
第1戦、山梨QBの爆発的なシュート力に飲み込まれ完敗を喫したアイシンだったが、第2戦では大黒柱の#1渡嘉敷来夢が23得点、10リバウンドと圧倒的な存在感を示してタイに持ち込んだ。そして迎えた3月22日の第3戦。勝った方がプレミアの椅子を手にする大一番は、序盤から両チームが激しいディフェンスを繰り広げる。そうした中、アイシンはインサイドの優位性を生かし、#1渡嘉敷と#7ナヤ・ベッカーを軸に得点を積み重ねる。一方の山梨QBは、持ち前の3Pシュートで食らい付き、2Q終盤に逆転。33-32と山梨QBが1点リードして試合を折り返した。

渡嘉敷はベッカーと共にインサイドで得点を重ねた
後半、山梨QBはアイシンの厳しいアウトサイドディフェンスを逆手に取り、果敢なドライブで加点してリードを広げる。苦しい展開となったアイシンだったが、#1渡嘉敷が気迫のプレーでチームを踏みとどまらせた。
51-52と1点を追う展開で迎えた最終クォーター、#5坂本雅のフリースローで同点に追い付くと、#1渡嘉敷のゴールで逆転。流れをつかんだアイシンは残り5分、再び坂本が3Pシュートを射抜き、さらに積極的にドライブを仕掛けて得たフリースローを2投沈めてついに10点差とした。山梨QBは疲労からかシュートの精度が落ちてしまう。それでも粘り続け、ペナルティで得たフリースローなどで7点差まで詰めたが、ここで再び#5坂本の3Pシュートで突き放す。アイシンは最後まで集中力を切らさず、76-62で逃げ切り、プレミア残留を決めた。
#1渡嘉敷は31得点、11リバウンド、5アシスト、3ブロックと第2戦を超える驚異的なスタッツを記録。そして、ベンチからの出場で13得点を挙げ、勝負どころで値千金の3Pシュートを決めた#5坂本は、安堵の表情で激戦を振り返った。
「前半からしんどい試合が続き、自分のシュートもなかなか入りませんでしたが、渡嘉敷さんからの良いパスで1本決めることができ、そこから自分のリズムに戻れ、チームも勢いづいたので良かったです。渡嘉敷さんや岡本(彩也花)さんたちが、『打ち続けていいよ』と言ってくれていたので、思い切り打つことだけに集中できました。今年は3ポイントが入るようになり、プレーの幅が広がった手応えがあります」と、3年目のシーズンでの自身の成長を噛み締めていた。

渡嘉敷と岡本、同級生コンビなくしてアイシンの勝利はなかった
チームを牽引し続けた#1渡嘉敷は、「最後は自分が決めるという気持ちでした。うまくいかない時間帯も、みんなに『大丈夫だから』と伝え続けました。案の定、坂本が来ましたね。信じていました。長年一緒にやっている岡本とも、勝負どころのメンタリティを共有できていたのが4Qの結果につながったと思います」
代表活動からの直行という過酷なスケジュールの中、精神力で戦い抜いた。「正直、時差ボケではなく、追い込まれすぎて寝られない日々でした。でも、若い選手たちに成功体験を与えたい、自分が引っ張れば絶対に付いてきてくれるという思い、そして家に帰って愛犬に会いたいという気持ちだけで戦いました(笑)。今日はたくさん寝たいです」と、エースとしての重責から解放された笑顔を見せた。
またBTテーブスHCは、接戦を制した要因にベンチメンバーの底力を挙げた。
「今はホッとしています。勝因はベンチプレイヤーが大切な時間にステップアップしてくれたこと。特に坂本の爆発にはびっくりしました。また、渡嘉敷と岡本の二人はハートが強く、チームを引っ張りたいという思いがクラッチタイムの強さにつながりました。山梨さんの3ポイントをハーフタイムのアジャストで抑えられたことも大きかったです」

見せ場を作った山梨QB、その軸となった池田
惜しくも昇格を逃した山梨QBの#2池田沙紀は、「悔しいの一言ですが、ここまで来られたのは多くの支えがあったからこそ。感謝しかありません。勝負どころでのコントロールや決めきる力は、相手が一枚上手でした。ですが、スタッツに残らない泥臭いプレーを全員でやり抜く今年のチーム力は、私の誇りです」と悔しさをにじませながらも前を向いた。
石川幸子HCは、「1戦目は自分たちのリズムでしたが、最後は渡嘉敷選手のレベル(の高さ)を痛感しました。そこまで引き上げないとプレミアでは戦えない。ただ、選手たちは最後まで引かずに立ち向かってくれました。その姿勢には感動しました」と語ると、「以前は器具もそろっていない状況でしたが、今は自主練を止めなければならないほど練習熱心な選手がそろっています。特に池田の成長がクィーンビーズの成長そのものでした。この経験を糧に、また強くなりたいと思います」と、改善してきたことがみを結びつつあるとチームの進化を強調した。

今後への可能性を示した3試合となった山梨QB
激闘の末に幕を閉じた入替戦。アイシンは守り抜いたプレミアの誇りを胸に、山梨QBはつかみかけた手応えと課題を胸に、それぞれの次なるステージへと歩み出す。
25-26 Wリーグ入替戦第3戦
アイシン(2勝1敗) 76
15 | 17 | 19 | 25
11 | 22 | 19 | 10
山梨QB(1勝2敗) 62

写真/山岡邦彦(月刊バスケットボール)、文/飯田康二(月刊バスケットボール)







