月刊バスケットボール2月号

Bリーグ

2026.03.19

【EASL】宇都宮ブレックスの「習慣」が生んだ逆転劇──遠藤祐亮「相手も守れないような感じだった」

マカオにて開催されている「EASL FINALS MACAU 2026」の準々決勝に、宇都宮ブレックスが登場。ニュータイペイ・キングスとの初戦に挑んだ。ニュータイペイは過去2大会もファイナルラウンド(昨季まではファイナル4)に進んでいる経験値の高いチームだ。

試合前日の公開練習で、比江島慎は「一発目で、出だして流れを持っていかれてしまうと本当に取り返しがつかないような状況になってしまう」と海外での試合の難しさに危機感を示していた。

この試合の1Qは、その危機感がまさに現実になってしまう。序盤から相手の果敢なペイントアタックに手を焼き、そこからのキックアウト、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントで次々に得点を許す。序盤こそ10-5とリードしていたが、そこからクォーターエンドまでの得点は2-18。オフェンスでも、特に比江島とD.J・ニュービルに対して相手が激しくダブルチーム、あるいはハードショーを仕掛けてきたことで持ち味のボールムーブが停滞。ハーフコートのタフショットが増えたことで最初の10分間を12-23とされた。

「序盤は自分たちの『習慣』があまりできていなかったので、まずはそこを変える必要があった」

試合後、ジーコ・コロネルHCがこう振り返ったように、1Qは完全に相手の土俵で戦っていた。


反撃の狼煙を上げる3Pをヒットした遠藤


逆転の3Pを沈めた比江島

流れが変わったのは2Q序盤。その時点までニュータイペイをリードしていた#3 シナ・ヴァヘディ(イラン代表)が膝の負傷により退場。その対応で一時試合がストップしたことで、ニュータイペイの流れが断ち切れた。もちろん、「万全の体制で戦いたかったのが正直なところ」という遠藤祐亮の言葉どおり、両チームが望まぬアクシデントではあった。しかし、ここで悪い流れを断ち切るチャンスを得たことで、宇都宮は息を吹き返す。

1Qは1/10と振るわなかった3Pシュートを、「良いスペーシングで、良いワイドオープンで打てた」(遠藤)と質の高いノーマークへと変え、2Q残り7分44秒には、“いつものブレックス”が見せる美しいボールムーブから遠藤がコーナー3P。この試合で初めてといっていい宇都宮らしい攻めはニュータイペイにタイムアウトをコールさせ、その数分後には比江島の3Pでついに逆転した。

以降、宇都宮は一度も相手に大きな流れをつかまれることなく85-64で快勝するわけだが、1Qのトラブルが嘘のようにニュータイペイを攻防に翻弄できたことは、コロネルHCの言う「習慣」の賜物だろう。遠藤は「自分たちのやりたいことがしっかりできたし、相手も本当に守れないような感じでした。自信を持って打てたからこそ、インサイドもアウトサイドも生きたので、ブレックスらしく試合を進められたかなと思います」と自信を示した。


終始ゲームをコントロールしたD.J・ニュービルは20得点、6アシスト


グラント・ジェレット(ゲームハイ27得点、12リバウンド)とギャビン・エドワーズはインサイドで大きな働き

比江島も「僕らが描いていたプランどおりにはならなかったですけど、ディフェンスで流れをつかむ部分はBリーグで何回も経験してきたのが大きいのかなと思うし、やっぱり自分たちはディフェンスからリズムを作るチーム。そこをこの舞台でもしっかりできたのは自信するというか…本当は最初からアグレッシブに行けたら良かったんですけど、この結果はプラスに捉えて、一発勝負なので自信に変えてどんどん登っていきたいです」と静かに語った。

前からアグレッシブにディフェンスを仕掛け、より良いオープンショットを探す──この「習慣」を取り戻せた事実は準決勝に向けての弾みとなったといっていいだろう。

続く相手は同じBリーグ勢の琉球ゴールデンキングス。Bリーグ勢の対戦が、EASLのフォーマットで実現するのは今回が初となる。どのような展開になるのか、注目が集まる。

宇都宮ブレックス 85
12|36|19|18
23|14|13|14
ニュータイペイ・キングス 64




文・写真/堀内涼(月刊バスケットボール)

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