月刊バスケットボール2月号

埼玉ライオンズが神奈川VANGUARDSを下し天皇杯初戴冠【車いすバスケ天皇杯】

関東対決を制した埼玉、盤石の試合運びで初制覇


車いすバスケットボール日本一を決める「天皇杯 第51回日本車いすバスケットボール選手権大会」がTOYOTA ARENA TOKYOで開催された。ブロックごとに行われた予選会を勝ち抜いた16チームが、3月6日より一発勝負のトーナメントで頂点を目指した。

3月8日の決勝戦は4連覇が懸かる神奈川VANGUARDSと初優勝を狙う埼玉ライオンズの関東勢対決。関東ブロック予選では埼玉が1位。神奈川は準決勝で千葉ホークスに敗れ、3位での出場権獲得となった。昨年大会まで主力を担ってきた、日本代表にも名を連ねる鳥海連志(2.5)、古澤拓也(3.0)、髙柗義伸(4.0)の3人が海外リーグに挑戦し不在となっている中、苦しんだ昨年8月の予選から、着実にチームを立て直し、天皇杯の準決勝で千葉にリベンジを果たして決勝まで勝ち上がってきた。

決勝で先手を取ったのは埼玉。キャプテンの北風大雅(4.5)が3Pシュートを決め、さらに速攻からレイアップを決めるなど7-0と好スタートを切った。神奈川も塩田理史(3.0)、丸山弘毅(2.5)を中心に反撃、ディフェンスでも激しいプレッシャーで相手のターンオーバーを誘うが、1Qだけで11得点を挙げた北風、インサイドで強さを見せた大山伸明(4.5/健常)らの活躍で19-11とリードを奪った。

2Qに入っても埼玉がリードを維持する展開。神奈川は持丸英也(3.0)が力強いプレーを見せチームに勢いを付けるが、埼玉は熊谷悟 (3.5)がミドルシュートを沈めて流れを渡さずに、39-26とその差を2ケタに広げて前半を終えた。
後半も崩れを見せない埼玉がリードを守る。追い上げたい神奈川は、アウトサイドからのシュートがリングに嫌われてしまう。4Qに入っても堅実なプレーで試合の主導権を握るのは埼玉。必死に食い下がる神奈川を振り切り、66-47で念願の初優勝を飾った。


チームをけん引した北風大雅(埼玉ライオンズ)




埼玉の中井健豪ヘッドコーチ

「全員が主役」の誇り。激闘を終えた両者の胸中


敗れはしたものの準優勝となった神奈川の戦いぶりもすばらしいものだった。チーム最多の16得点を挙げた丸山は「正直、今は一言では言い表せない感情ですが、一番は達成感があります。主力3人が抜けることが決まってから、残ったメンバーでどう戦うかを話し合い、戦術を練ってきました。誰か一人がエースとして引っ張るのではなく、全員が活躍できるチームになったと思います。下馬評では決勝まで行けると思われていなかったかもしれませんが、自分たちは行けるという自信を持って戦い抜くことができました」と充実感を表した。


チーム最多の16得点をマークした神奈川・丸山弘毅

チーム創設48年にしてつかんだ初優勝を果たした埼玉の中井健豪ヘッドコーチは「今はうれしい気持ちと、どこか寂しいような複雑な感情が入り混じっています」と感慨を口にした。そして「相手の神奈川さんは1週間前にも一緒に練習をした、ライバルであり同志のような存在。今日の試合は、彼らの流れをどう切るかを考え、徹底して準備してきたプランを選手たちが遂行してくれました」と勝因を語った。また、キャプテンとしてチームをけん引した北風は「前半は非常に良い形で進められましたが、後半はチームとしてやることが少しブレてしまった場面もありました。そこを大山選手の踏ん張りなどで修正できたのが大きかったです。優勝がかかった試合でしたが、昨日のNO EXCUSEとの準決勝での勝利が自信になり、プレッシャーよりもバスケを楽しむ気持ちの方が強かったです。中井ヘッドコーチが求める『一貫性』を最後までやり通せたことが、今年のチームの強みだと思います」と優勝をかみしめた。

[天皇杯最終結果]
優勝 埼玉ライオンズ
準優勝 神奈川VANGUARDS
3位 NO EXCUSE
4位 千葉ホークス

●オールスター5
MVP:北風大雅(4.5/埼玉ライオンズ)
クラス1:宮本涼平(1.0/神奈川VANGUARDS)
クラス2:丸山弘毅(2.5/神奈川VANGUARDS)
クラス3:熊谷悟 (3.5/埼玉ライオンズ) 
クラス4:朏秀雄(4.0/NO EXCUSE)






写真/山岡邦彦、文/飯田康二(月刊バスケットボール)

PICK UP

RELATED