月刊バスケットボール2月号

伊藤拓摩強化委員長、W杯予選Window2を総括「正しいプロセス踏めた」

2連勝を逃すも「プロセス」を高く評価


3月5日、日本バスケットボール協会の伊藤拓摩強化委員長がメディアブリーフィングを実施。「FIBAバスケットボールワールドカップ2027 アジア地区予選 Window2」を終えての総括と、今後の強化方針について語った。同Windowでは、中国に80-87で逆転負けし、韓国には78-72で勝利している。

2月3日、琉球ゴールデンキングスの指揮官である桶谷大HCが新指揮官になることが発表となり、短い準備期間で迎えた今大会。1勝1敗という結果について、伊藤委員長は「最高の結果は2連勝することだったが、正しいプロセスが踏めたWindowだった」と振り返った。

今大会を戦う上で重視していたポイントとして挙げたのは、選手たちがコーチ陣の提示した新しいシステムを信じ、思い切ってプレーできた点である。「ただ勝った負けたで評価してしまうと今後につながらない。プロセスとしてはすごく良かった」と述べ、今大会を実りあるものだったと総括している。

一方、課題として挙げたのは、実戦でのラインナップの検証だ。「オフェンスもディフェンスも新しくなったことで、どのラインナップがどの状況で機能するのかを今後知る必要がある」と語り、次回のWindowに向けてさらにチームでの分析を進めていく方針を示した。

また、長きにわたり日本代表を率いたトム・ホーバス前体制との戦術的な違いについても言及があった。伊藤委員長は、ペース&スペースの重視や、リングへのアタック、3Pシュートを狙うというオフェンスのベースは前体制から変わらないとしたうえで、再現性の部分は大きく異なると解説している。

前体制が選手のクリエイティビティや自由度(阿吽の呼吸)を大切にしていたのに対し、現在のライアン・リッチマンAC(三河HC)が構築するオフェンスは、一定のルール(枠組み)の中にクリエイティビティを持たせる方針にシフトしている。ディフェンス面でも、吉本泰輔AC(Grand Rapids Golds/Denver Nuggets)を中心に、相手の弱みを徹底的にスカウティングして潰しにいくスタイルへと変化していることを説明した。





沖縄合宿の意図と中長期的なビジョン


今回のWindowにおいて、日本代表は事前の合宿から試合本番までを全て沖縄で行った。この理由について、伊藤委員長は①環境へのアジャスト(気候やアリーナのフロア、リングへの適応) ②リカバリー(移動負担の軽減や、食事を通じたメンタル面の充足) ③コミュニケーション(新体制における共通認識の確立と一体感醸成)が主眼だったと説明。これらの環境構築が、チームの結束に繋がったと評価している。また、強化委員長という立場からの中長期的なビジョンにも触れ、日本バスケ界全体を強化していくためには、12年という長期スパンでの育成が不可欠であると説いた。

「12歳、15歳、18歳の子供たちが、日本一のチーム作りではなく、世界のどこのチームに勝てるように自らを成長させるかがすごく大切。日本基準ではなく世界基準で育成できるか」と語り、世界で戦うための基準を日常の環境へといかに落とし込んでいくかが、今後の日本バスケットボール界の最重要課題であると結んだ。





文/広瀬俊夫(月刊バスケットボールWEB)

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